もりのなかでくまさんにであった、そのほかにもであった。
少しだけでもほのぼのとさせたかったんです!
でも残酷な描写ありです。
1.23改稿、最後を追加しました。
大惨事である。
軽くと思ってはじめて見たが、思った以上に付近に肉食獣が多く、血の匂いに敏感で、しかも餌だと思うとぞろぞろと集まってくるらしい、そんなに楽がしたいのか!
ゴブ程度なら大きさも普通の人サイズの大人より小さいし数十集まってもたいした量だとも感じないのだが、今目の前に転がっているのは大型肉食獣サイズ、【暴風熊】に【魔犬】、【猪頭】に【森林鬼】、一番小さいサイズの【魔犬】ですらアフガンハウンド位のサイズはある、あれこれ纏めて20余、虫の残骸まで含めるともっと多いだろう、肉片多数。
餌のつもりで虫を集めたはいいが最初にやってきたのが割と大物の【暴風熊】だった、とりあえず虫に注目してる間に魔法で串刺しにして魔石を抜きとり、残った魔力を頂こうとしていたら血の匂いに誘われたのだろう、【魔犬】が10頭余、群で肉を奪いにやってきた。
こちらも【暴風熊】のサンプルは既に何体か採取済みだし、肉は別に必要ないのでその場に転がし【魔犬】たちに譲る、彼らは魔石とか食べないし。
不思議なものでこちらが動かず、攻撃を仕掛けたりしない場合、傍で眺めていても大抵の魔物がこちらを無視してくる、土槍を消すところとか見られてると思ったが本当の樹だと思われてるのだろうか? 魔力とか生命力なんかが視えている訳ではないらしい、既にこちらの攻撃範囲内に全て収まっているというのに。
【暴風熊】の死体に群がっている【魔犬】達を一気に土槍で貫き、そのまま空中へと持ち上げる、範囲内であれば複数だろうと何も問題はない、魔力吸収用の魔手を1本伸ばし先端を無数の細い触手へと変えて魔力を吸い取る。
魔力が見える者が居たならそこに見えるのは半透明に薄く輝く何かの華の様でもあるし、イソギンチャク状の触手が獲物を襲ってる様にも見えるだろう、以前は手の形にこだわっていたが、吸収だけならこの姿で十分でなにより便利だ、動かなくなった獲物の頸を魔法で斬り飛ばし、残骸を地面にばら撒く。
地面が獲物から流れ落ちた血で黒く染まっていく、地面に拡がる蔦が群がる様にそれを吸い上げ自分の生み出した花の蕾を赤く染めていく。
次に血の匂いに誘われてきたのは【猪頭】、【振動感知】では6体、魔力視で見ても変わらない、アイビーの赤く染まった蕾が静かに震えながら花開く、眼には見えないが周囲に舞い始める花粉、そして花の放つ香り、違和感を感じ取れたらその時点で既に手遅れなアイビーの毒、効果は幻惑、そして全身を襲う行動から思考にまで及ぶ甘い痺れに身を任せるとそのまま目覚める事無く死に至る。
反対側から乱入者、【森林鬼】、彼らも周囲に漂う血の匂いに誘われた一団だろう、肉食で生食を好む彼等からすれば【猪頭】の獲物を横取りしようという感じかもしれない、いやむしろ【猪頭】も含めて食料かもしれない。
俺よりは頭ひとつほど身長が低めだが【猪頭】よりは背が高く、やや丸みを帯びた頭は牙が目立ち、全体的に筋肉質だが浅黒い肌にずんぐりとした丸い身体つき、尖った爪の目立つ手脚は丸太の様に太く、鎧でも着込んでいるかのようだ。
【猪頭】は【森林鬼】が近くに来てもなにが起こったのか判らなかっただろう、既にアイビーの毒に思考まで侵されて眼の焦点もあっていなかったのだから。
一方的な蹂躙、その丸太のような腕で殴り飛ばし、強力な鋭い爪が肉を引き裂く、別に俺達が手を降すまでもなく、【猪頭】も地面に転がっていた【魔犬】も粉砕されていく、だがそれは彼ら【森林鬼】もアイビーの毒の領域内に既に入って居ると言う事、同時に俺の攻撃範囲に居ると言う事。
彼らはまだ俺達が普通の植物だと勘違いをして居るらしい、獲物を引き裂き、自分達の住処へと持ち帰る部分を選別している。
以前の俺、生前の頃であれば、間違いなく眼前に広がる惨状に動揺して眼を背けていただろう、だが今は眼を背けようにも全視界、しかもこんな状況でも特に感情の変化は無い、大量の血を見てもそんなものかと思う程度だ、この辺確実に変化してしまっていると自覚する、そしてそんな事を考える余裕すら今の俺にはある。
【森林鬼】の眼が焦点を失い始める、アイビーの毒が獲物の身体に浸透し、平衡感覚を狂わせている、俺は魔法で軽く地面を波打たせ彼らが素直に立って居られなくする、地面に手や膝を突いたらそこで終わりだ、放っておいても毒で死亡するが暴れても面倒なのでそのまま地面に半分ほどめり込ませて固定し、胸と喉を土槍で抉る、背後から触手で魔力を奪うのも忘れない、これで暴れる余力もないまま死体となる、死体はすぐにアイビーの蔦が覆い隠し、残った水分を奪われる、俺の【悪食】がこんなところに影響を与えている。
残った残骸から魔石を回収、俺達として利用価値の無くなった残骸はまとめて土の中へ呑み込ませ、千切れてしまった地面に拡げたアイビーの身体と共に魔法でミキサーにかける様に粉砕し、魔石を軸にした加熱の魔法をかけて埋めておく、魔法が切れる頃にはもともと栄養豊富な森の土と一緒に堆肥化も進んでいるだろう。
ちなみにアイビーは地面に拡げた部分から再生不能な部分を切り離し、俺の身体に戻って再生を開始している、途中で切って大丈夫なのかと以前聞いたが接木のような感じですぐに繋がるらしい、花は戦闘終了と共に枯れ落ちた、彼女の戦闘用のスキルのひとつみたいなものだ、失った部分の再生には俺の魔力も使うが獲物から大量に養分を奪っているので実際の消費は微々たる物でしかない。
『アイビー、ご苦労様、相変わらずの効き目だね』
(地面に展開した部分の損失が3分の1程ありました、精進致します)
『展開しちゃうとアイビーの上ででかいのが大暴れしてるようなもんだから、うん、気にしない方が良いよ、下手に絡みついてもあの力では君でも引き千切られてしまうだろうし』
(ですが……はい、何か手を考えておく事にします)
自分の被害があった分納得していないようだ、真面目さんである、俺としては魔法だけで魔手や奥の手を使ったりしてない分圧勝に近い感覚なのだが。
アイビーも再生可能レベルで無事だったし。
ここに長居していても飛散した血の匂いでまた他の魔物を呼んでしまうかも知れない、始末が完了するとそそくさとこの場を退散する、俺の表面に飛び散っていた血はアイビーがいつの間にか吸収してしまった、ついでに今は消臭効果のある葉を全身多めに伸ばして残った血の匂いの飛散を抑えてくれているらしい、アイビーさんが頼りになりすぎる。
ちなみに普段は防虫効果の高い香りを出しているそうだ、なるほど虫が寄って来ないと思ったよ。
そう思った直後、森に漂う魔力が大きく震えた。
それはまるで何かが眠りから目覚めたかのような、深く、大きな脈動だった。
今日のアイビーさん
(御主人様の肌を清めるのは私の特権なのです!)




