エンペリオンへレッツゴー⭐︎
——一旦、今の状況を整理しよう。まずヒュリオス陛下の神聖力が切れてしまって、エンペリオンに行けなかった。すると、ヒュリオス陛下は空から女性を召喚した…。
そして私は今、
「はい⭐︎ロムっピも一緒に〜!」
「「あげ〜⭐︎!」」
「うんうん!メッチャいい感じぢゃん〜!ロムっピまじノリ良し卍〜!」
「あ、ありがとうございます!」
アマテラス様、通称あーこ様とぎゃるをしている。——————なんで?
この国でも珍しい輝く黄金の髪と、それと同じくらいの明るい雰囲気がなぜか王宮にある貴族特有の息苦しさを、まるで浄化させるように照らしている。聞いたこともない言葉がたくさん飛び交うがそれでもなんとなく彼女の言いたいことが伝わる。
(なるほど、これが彼女の能力……!)
「ロムっピブッブー!あーこ、もうちょっとおつよなんだから〜!…ヒュリオよりも強いぢゃんね?」
ヒュリオス陛下が私の方を見て、少し口ごもりつつも「あぁ…」と小さな声で囁いた。
「だからこうやってヒュリオのれすきゅーにも来たんだし〜!」
「レスキュー?」
「ヒュリオ、エンペリオンに帰れなくなっちゃったんでしょ?好きな子にかっこいいとこ見せつけよーと思って〜(笑)!だからあーこが送ってあげんの〜!」
焼けた肌を覆う白いブラウスをめくり、細くしなやかな腕を自信満々に見せてそう告げた。
(本当に大丈夫なのかしら…)
彼女のことを疑っているわけではないが、どうしても初めてのことなので少し笑顔がひくついてしまう。
それに気づいたらしい彼女は、ちょうどいいタイミングで主人を追って庭に出てきたモースを標的にした。
「エンペリオンまで」
「陛下ー!…って、え?アマテラスさm…」
先ほどまでの、太陽のような明るい笑顔から一転して、何もない場所へ向かって囁いたかと思えば、その瞬間あたりに小さな風の渦が巻き起こった。彼女の指パッチンが響くと共に、その風は動き出し、モースに近づいたかと思えば、その次の瞬間風に巻き込まれた薔薇が地に落ちるのと共に、モースの姿は無くなっていた。
「ん〜、こんな感じで人をどこにでも送れちゃうわけなんだけど…ロムッピ、まだ怖い?」
そう言ってどこか申し訳なさそうな顔をした彼女を見て私は自分の愚かさを恥じた。
(私はなんて臆病なの?彼女に伝わってしまうほどの不安を顔に出してしまっていたわ。彼女は親切心でここにいてくれていると言うのに…)
意を決した私は、頬を思いっきり叩いてあーこ様の方を見た。
「え?ちょ、顔、叩いて…だ、大丈夫?」
そう困惑している彼女に対して私は澱みない誠実な目を向け言った。
「ヒュリオス陛下とお会いしてまだ一日と経っておりません。しかし、前世からの宿命だけでなく、今世の彼と向き合うためにどうか私もエンペリオンに行かせていただきたいです!よろしくお願いいたします!」
大きく振りかぶった頭をできるだけ深く下げる。
そんな私をあーこ様は快く受け入れてくれた。
「…ん!もち!」
「…ロムティア…!」
心なしか、ヒュリオス陛下はどこか嬉しそうな顔をしていて、頭に犬の耳が見えるようだった。




