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魔剣ゴルデリウス

エスカローネはセリオンのもとに駆けつけた。

「セリオン!」

「エスカローネ!」

「セリオンは大丈夫?」

「ああ、俺は大丈夫だ。エスカローネの方こそ?」

「私はローザリントを倒したわ」

「そうか。俺はアイトラを倒した」

「フッ、まったく使えない奴らだ」

「「!?」」

エスカローネとセリオンは声のした方を見た。

そこには空中に浮かび、白衣をはためかせる一人の男がいた。

「アルフレート・カンザキ!」

セリオンは男の名を呼んだ。

「アイトラもローザリントも敗れたか。まったく、、使えない」

「使えない?」

エスカローネが語気を強めた。

「そうだ。私の部下としては使えない奴らだ、と言ったのだ。本当に失望させられたよ。こんなにも無様であるとはね」

「ローザリントへの侮辱は許さないわよ!」

「ローザリントか……あやつも私の娘になれぬ無能者だ。愛する価値もない」

「あなたがローザリントを恐怖や絶望で操っていたのね!」

カンザキは地上に降下した。

「フフフ、その通りだ。だが私は別にひどいことはしていないのだよ。ローザリントは私を『父』と見ていた。そして自分でも私の『娘』でありたいと思っていた。私は私の仕方でローザリントを愛してきたつもりだ」

「つもり、ですって!?」

「君はローザリントにずいぶん肩入れするのだな、エスカローネよ」

「そうよ! だって姉妹だもの! 自然な感情よ!」

「フッ、自然か。そんなにローザリントが愛しいのかね? 私は使えない者など私の『娘』ではないと思っているだけだが……」

「あなたはローザリントを虐待してきたのね! そうとしか思えないわ! あなたの言葉は一種の暴力だわ!」

「では、君はなぜ私を非難するのかね? 私の何が悪いというのだ?」

「あなたは真実の愛を知らないからよ! あなたがひどいことを言わなければ、ローザリントは傷つかずにすんだわ!」

「真実の愛と来たか……まったく乙女チックな夢想論だな」

「夢想、ですって!?」

「では君は真実の愛とやらを知っているのかね? それともそこの男との恋愛を言っているのかね?」

「それは……」

「別に気にする必要もあるまい。たとえ、真実の愛があるにせよ、ローザリントは私の娘たりえなかった。それだけのことだよ」

「エスカローネ、気をつけろ! こいつはずいぶん舌先が滑らからしい。詭弁だ。気にするな!」

「セリオン……」

「ところで、エスカローネよ」

「何?」

エスカローネは身構えた。

「私の『娘』になる気はあるかね?」

「何を、言っているの!?」

「君のその戦闘力……実にすばらしい。あのローザリントを上回るとは。私はヴァルキューレを研究したいと思っているのだよ。どうかね?」

カンザキが右手をエスカローネの前にかざした。

エスカローネは反発した。

「ふざけないで! お断りよ!」

「別に私はふざけてはいないのだよ。いたってまじめだ」

「私はあなたの娘にはならないわ!」

「どうしてもかね?」

「ええ、そうよ! 私は私を愛してくれる人とずっとともにあるわ!」

「ふう……残念だ」

「そうだ、エスカローネ。エスカローネはシュヴェスターたちから愛されている。それが真実なんだ。そして俺も君を愛している!」

「セリオン……ありがとう。私もあなたを愛しているわ」

「我愛する、ゆえに我在り。それが俺の本質だ」

「ふうむ……それでは君たちには死んでもらうしかないな」

「武器も持たず戦う気か?」

「フフフフ。私には秘蔵の武器がある。見せよう。魔剣ゴルデリウス(Gordelius)!」

禍々しい闇がカンザキの手に現れた。

それはしだいに形を成し、大剣の姿に変わっていく。

「なんて、禍々しい闇!?」

「フフフ。これが私の剣、魔剣ゴルデリウスだ。君たちとお手合わせするのにはおあつらえだと思うがね」

セリオンは大剣・神剣サンダルフォンをカンザキに向けた。

セリオンの戦いの準備はすでにでき上っていた。

「それでも2対1で戦うことに変わりはない。その余裕、いつまで持つかな?」

「行きましょう、セリオン!」

「それではかかってきたまえ」

カンザキは左手を伸ばしてエスカローネとセリオンを挑発した。

セリオンは光の力を大剣に集中させた。

それから光の刃を飛ばしてカンザキを攻撃した。

光波刃である。

セリオンは光波刃を三発放った。

光波刃がカンザキに向かう。

カンザキはゴルデリウスに闇の魔力を込めた。

カンザキは飛来する光波刃を三発ともゴルデリウスを振るって破った。

セリオンは大剣を光輝かせた。

光輝く刃が神剣サンダルフォンに宿った。

「行くぞ!」

セリオンは光輝刃でカンザキを攻撃した。

カンザキに斬りかかる。

カンザキはゴルデリウスで光輝刃を受け止めた。

セリオンはなおもカンザキを攻めた。

「フム、実に見事だ。さすがは『青き狼』と言ったところか。これほどの剣術の使い手はそうはいない」

カンザキは余裕そうに分析した。

カンザキはゴルデリウスを振るった。

強力な連続斬りだった。

科学者とは思えなかった。

セリオンは守勢に回った。カンザキの剣を大剣で防ぐ。

「くっ!?」

「フッ、どうかね、私の剣術は? 私に剣を使わせても、このくらいは行けるのだよ」

セリオンとカンザキの武器がぶつかり合った。

二人の武器が拮抗した。

セリオンはこの男のどこにこんな力があるのか、いぶかしんだ。

「む?」

セリオンの大剣が魔剣を押していく。

「セリオン、どいて!」

そこにエスカローネの声が届いた。

セリオンはバックステップでその場を離れた。

「リヒト・シュトース!」

強力な光の突きがカンザキめがけて繰り出された。

「フッ……」

カンザキはそれを見てほくそ笑んだ。

カンザキは魔剣を逆手にすると、リヒト・シュトースを防御した。

「この程度かね、君たちの力は? 私はまだまだ余裕だが……む?」

そこにセリオンが斬りかかった。

大剣を上から下に斬り下ろす。

「はあああああああ!」

セリオンはさらに連続で大剣を振るい、カンザキを攻撃した。

カンザキはセリオンの攻撃をすべてガードした。

「話の最中に攻撃してくるとは……無粋ではないかね? それともそこまで野蛮なのかね?」

「そういつまでも調子に乗っていろ」

セリオンはさらに連続攻撃を叩き込んだ。

再びセリオンが押していく。

つるぎの舞だ。

「フン! 闇斬り!」

カンザキは魔剣に闇をまとわせると、セリオンを狙って攻撃した。

「光輝刃!」

セリオンは大剣を光輝かせると、カンザキの闇に光をぶつけた。

セリオンは後退した。

再び間合いを取る。

セリオンは蒼気を発した。

セリオンの体から凍てつく闘気がほとばし出る。

「蒼い闘気か……すばらしい。これほどの闘気はそうそうみられるものではない!」

セリオンは蒼気をカンザキに叩きつけた。

カンザキは魔剣でガードした。

カンザキは涼しい顔だ。

「今度はこちらから行くぞ? 魔震剣ましんけん!」

カンザキは両手で魔剣を持つと、膨大な魔力を魔剣に集中した。

さらにそれを大地に向けて突き刺した。

カンザキの前方に、強烈な衝撃波が連続して巻き起こった。

「うおああああ!?」

「きゃああああああ!?」

セリオンもエスカローネもかろうじて衝撃を殺すことができた。

セリオンは蒼気で、エスカローネはリヒト・ヘレバルデで。

「くっ、光子斬!」

セリオンはカンザキに反撃した。

光子を大剣に集めて放つ、一撃必殺の技だ。

「闇斬り!」

カンザキも闇をまとった魔剣で反撃してきた。

二人の技は互角だった。

互いの技が、光と闇が相殺し合う。

「くらいたまえ! 魔影破まえいは!」

地面から闇の牙のようなものが現れた。

セリオンは巧みなステップでこの攻撃をかわした。

「まだだぞ? シュヴェーア・ドナー!」

「この攻撃はあのドラゴンと同じ技ね!」

重い紫色の雷球がカンザキの前に出現した。

それは圧迫し、放電した。

セリオンはエスカローネの前に移動した。

「セリオン!?」

「俺が君を守る、エスカローネ! はあああああ! 蒼気!」

セリオンは蒼気を展開し、紫の雷球からの放電をガードした。

シュヴェーア・ドナーが鎮まる。

「今度はこっちの番よ! グロース・リヒト・プファイル!」

エスカローネは大きな光の矢を撃った。

カンザキはそれを魔剣で迎撃した。

「ハイリヒ・バル!」

エスカローネから聖なる球が撃ちだされた。

カンザキは飛来した球を魔剣で斬り裂いた。

「リヒト・カノーネ!」

エスカローネは砲撃態勢から光の波動砲を放った。

カンザキは魔剣でガードした。

「これが俺の最強の技だ! 蒼気凄晶斬!」

セリオンはカンザキに接近すると、蒼気を収束した長い刃で、カンザキを攻撃した。

蒼気が魔剣に叩きつけられた。

ぴしっと音がした。

何とセリオンの技はゴルデリウスに傷を入れた。

「どうだ!」

「むう……まさかこの魔剣ゴルデリウスのひびを入れるとは……」

「光輝刃!」

セリオンは追撃した。

ゴルデリウスを狙って、ひびの入ったところをセリオンは光輝刃で攻撃した。

魔剣ゴルデリウスはセリオンによって破壊された。

魔剣の刃は粉々になって砕け散った。

しかし、カンザキの顔からは余裕が消えなかった。

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