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おふろ

エスカローネとアンネリーゼは公共浴場に入っていた。

二人とも服を脱ぎ、シャワーを浴びた。

夕食の後だった。

「ふう……暖かい。やっぱりおふろはいいわね。一日のしめにおふろは欠かせないわあ……」

とアンネリーゼ。

「そうね。一日の疲れを取るのにも、汗や汚れを落とすにもおふろは欠かせないわね」

エスカローネが応じた。

二人はシャワーで体を濡らし、体を洗っていた。

「それにしても、きれいね、エスカローネの長い髪は」

「そ、そう?」

「そうよ。うらやましいわ。そんなに長くて、きらめくような金髪何だもの」

「じゃあ、アンネリーゼも髪を長く伸ばしたらいいじゃない?」

「私はダメよ。性格的にロングヘアは合っていないの。むしろショートカットがいいわ」

「そんなこと言っちゃって……でもアンネリーゼにはショートカットが似合っているわね」

「うふふ。ありがとう。お礼にエスカローネの長い髪を洗ってあげようかな」

アンネリーゼがエスカローネの髪に手を入れた。

エスカローネの背後に回る。

「自分で洗えるわよ」

「そんなこと言わない、言わない! ほんとにきれいな髪ね……」

アンネリーゼはシャンプーでエスカローネの髪を洗い始めた。

両手でシャンプーを塗り付ける。

洗うたびに、エスカローネの髪は滑らかになった。

「なんだか、洗ってもらえると昔を思い出すわ。子供のころよ」

「子供のころ?」

「ええ、小さかったころ。よく母に洗ってもらった記憶があるわ」

「へえ、そうなんだ」

アンネリーゼが感慨深く言った。

「父はシュテファン・エルフェンクランツ(Stefan Elfenkranz)。

母はハンナ・エルフェンクランツ(Hanna Elfenkranz)。

二人とも科学者よ。ああ、洗ってもらえて気持ちいい……」


髪を洗ってもらったエスカローネは湯船に入った。

「ふう……あったまる……この修道院に浴場があってよかった……」

「そうね……」

アンネリーゼはエスカローネの背後から忍び寄った。

アンネリーゼの目が光る。

なにか獲物を見るような目だった。

「エスカローネエ!!」

「きゃああああああ!? 何するのよ、アンネリーゼ!」

アンネリーゼはエスカローネの胸を揉みしだいた。

背後から羽交い絞めにする。

「ちょっと、アンネリーゼ! やめてよ! はああん! いやああ!」

「形といい、大きさといい、第一級品だわ! 女の私でも触りたくなるんだから!」

アンネリーゼは二やついた笑みを浮かべた。

「アンネリーゼ! いい加減にしないと、怒るわよ!」

エスカローネは本気でしゃべった。

「はいはい、わかりましたよ~」

アンネリーゼがエスカローネを拘束から解いた。

「ふうー! もう、いい加減にしてよね!」

エスカローネは少し、怒りぎみだった。

顔が赤く染まっている。

「だって、エスカローネの体がいやらしいんだもん」

「だもん、て……」

エスカローネは呆れた。

「そんなにいい体しているんだもの。思わず触りたくなっちゃうのよねー」

「だいたい、体だったら、アンネリーゼだってよくできているでしょ!」

エスカローネが抗議した。

「ダメダメ。私は神に貞潔を捧げているから。エスカローネは修道女じゃないでしょ?」

「そうだけど……もう! 二度とやらないでよね! 次やったら本当に怒るわよ!」

「はいはい。ところで、エスカローネ?」

「何?」

「エスカローネに好きな人はいるのかな?」

「好きな人って……」

エスカローネはかあっと顔を赤くした。

胸が高鳴る。

それを見たアンネリーゼが。

「あっ、いるんだ? へええ……どんな人?」

「え、ええ、いるわよ。私が愛する人は……」

エスカローネはふと遠くを見るような表情をした。

視線をわきに向けた。

「今はどこで、何をしているのかわからないの……もしかしたら、ほかに愛する人がいるかもしれないし……」

「そうなんだ……」

アンネリーゼが湯船につかりつつ、エスカローネの横に並んだ。

「でも、本当に何をしているのかしらね……また、会ってみたいわ……」

エスカローネはその後黙って浴場の天井を見つめた。


エスカローネは自室に戻った。

(神よ、今日も無事に一日を過ごすことができて、私はあなたの感謝し、あなたに祈りを捧げます)

エスカローネはベッドの上で軽く祈った。

「今夜はいつもより髪の流れがいいわね。アンネリーゼに洗ってもらったかしら……?」

エスカローネはおふろでの一件を思い出した。

父と母のことを思う。

「お父さんとお母さんに会いたいな……」

エスカローネは真実を口にした。

エスカローネは髪をすいた。

それからふとんの中に入った。

ライトを消して眠りに入る。

エスカローネは強烈に父と母に会いたいという思いに駆られた。

そう思いつつ、エスカローネは眠りについた。

朝、早くにエスカローネは修道会を去った。

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