↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/39

第33話 贈り物(おっさん視点)

おっさん視点です。

 こいつ、本当にそれにするつもりか。


 台の上には輪っかや葉っぱの形をした飾りもある。色のついた石を紐に通しただけのものもあった。それを端から眺めた末に、コータの手が持ち上げたのは、銀色のハートだった。


 二つも。


「これ、同じのですか」

「そうだよ。紐の長さも揃えられるけど」

「お願いします」


 店の女が奥から紐を出してくる。コータは二つを並べ、片方をひっくり返した。裏までしっかり見ている。欠けていないか確かめているらしい。


『レイナにやるのか』

「うん」

『二つとも?』

「片方は俺。お揃いでつけられるかなと思って」


 そうか。お前もつけるのか。


 昼飯のあと、レイナたちと別れて一人で出かけると言うから、明日行く飯屋でも探すのかと思った。寄ったのは飾りを売る店で、俺は最初から当てを外している。


 目の前で女がハートへ紐を通す。


 俺が代わりに選ぶなら、たぶん隣の細い輪っかにする。コータはそっちを見もしない。紐が通ると持ち上げ、二つが並んで揺れるところを眺めていた。


 いや、こいつのいた世界ではハートに別の意味があるのかもしれない。


『コータ、その形は……』

「変かな」


 手が止まる。


 ああ、たぶん同じだ。


 変だと言って別のものを選ばせることはできる。だが、そうしてやりたいかと聞かれると、何とも言えなかった。


「恋人っぽいかなって思ったんだけど。こういうの、買ったことなくて」


 声が低くなる。店の女が布を探している間に、もう一度二つを重ねた。


「一緒につけてたら、嬉しくないかな」


 俺に聞くなよ。


 そう言おうとして、やめる。


 ここへ入る前、コータは財布を開いていた。宿代を払ったあと、どれくらい使えるか数えて、それから店を二軒回った。最初の店で俺が何か言う前にも、自分で選んでは戻している。


 それで、この二つだった。


 俺にはレイナが何と言うかは分からない。気に入るかもしれないし、二人でつけるのは恥ずかしいと言うかもしれない。


 ただ、コータが明日これを渡したいのは分かった。


『いや。お前はそれでいいと思う』

「ほんと? ありがとう」


 褒めたと思われた。


 コータが代金を払い、女が二つを同じ布へ包んでくれる。コータは袋を開け、中のものを寄せてから、包みを一番上へそっと置いた。


「よし。あとはどこ行くかだな」


 景色が通りへ向き直る。


『そこはまだ決めてねえのか』

「これ買うのに思ったより時間かかった」


 もう昼の客も減った通りで、飯屋の看板を探し始める。


 通りの先では店先に出た男が肉を焼いていた。俺はそっちへ行こうと声をかけた。


お読みいただき、ありがとうございます。

「面白かった」「続きが気になる」と思っていただけたら、ブックマークや☆からの評価をいただけるとうれしいです。

感想も楽しみにしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。