Influenced Insect.
子どものころ平気だったものが、いつの間にか苦手になっている――。
小学校の低学年だったときは、興味津々にわしづかみしたり、籠にいれて観察したりと、少年のような毎日を過ごしていた。
特に理由も思いあたるふしもないのに、気付けば避けるようになっていたし、突然現れたら叫んでしまう。
四本なら動物と変わらない。でも、六本もしくはそれ以上の脚が別々に蠢いて這う姿には戦慄する。
夏の終わりは毎年地獄だ。
一斉に出現し、栄え、地面に転がるそれらは、私にとって核兵器と大差ない。
処理することが不可能な時限爆弾は、いつも最悪な、そして絶妙なタイミングで発動する。
最期の悲鳴をあげるだけならばまだしも、残り少ないはずの命を振り絞って地を滑るのだ。こちらの方がそれを超える奇声を発し、遁走するのが日常茶飯事。
ある日のことだった。
散歩していると、私はそれに出会った。この場合は「出遭った」が正しいかもしれない。
蜘蛛の巣に引っかかった、絡まった、一匹の蝶。蛾かもしれないけれど、どっちでもいい。
それは、とても、美しい翅をしていた。
気持ち悪いよりも不気味よりも、綺麗だなと、かつてのように手を伸ばしていた。
触れた途端に、それは存在そのものが消えた。
美しく散る花火のように、儚く。あっさりと。
指に絡まった無数の糸だけが、そこに何かがあったのだと示していた。
子どものころ平気だったものが、いつの間にか苦手になっている――。
好きか嫌いかの境目は曖昧で、針がどちらに振れるかは、ささいなきっかけで変わる。
今は――。
こんにちは、白木 一です。
本当にダイッキライです。
道路に転がっていて、気が緩んでるところに、ドカン。
心臓に悪いですよ。




