House or Home.
私には居場所がない。なんて言ったら家出少女みたいだけれど、実際私には、家と呼べるものがない。建築物としての家はあるけれど、それを住まいとは言えない。言いたくない。
家=ホテル、つまりはただの宿泊施設としか思わなくなっていた。時々、一夜を凌ぐためだけに立ち寄る場所。
そこに私の心はない。
『家が嫌いなの?』
と、冗談まじりで訊かれたことがあった。
その時は曖昧な言葉でごまかしたけれど、もしかすると、その通りなのかもしれない。
嫌いだから、避け続けているうちに、私の居場所がなくなった。もともとなかったわけではなくて、失われてしまったのかもしれない。
だから居場所を捜し求めて、私は彷徨っているのだろうか。
自由気ままに。
家出少女を気取って。
心に残された穴を埋めてくれる何かを捜して。
求めれば求めるほど、それは遠くなっているような気がするのはわかっていても、止まってしまったら二度と手に入らないかもしれない。
私は人の弱さを集める。
誰かの痛みを、傷を、私が背負う。
それは私が存在していることの証。
たとえ居場所がなくても、私は、ここにいる。
――ねぇ、気付いてよ。
こんにちは、白木 一です。
右手第二関節あたりの傷を眺めながら書いた、病んでる掌編です。
イライラしてベッドにパンチしたら、ベッドも右手もダメになりました。といっても組織液が染み出た程度なのでお気になさらず。




