Love is fickle.
失ったものは二度と戻ってこない。中でも、感情やそれにまつわるものは一つとして同じものなど存在しないために、取り返しがつかない。
同じ名前の感情でも、受ける者によって、見る者によって、感じ方は複雑に変化するのだから。
私は感情というものをナマモノだと思っている。
ある感情が生まれたとき、その感情の輝きは強くて、人の心に色を与えてくれる。そして、その時の状況が記憶に刻まれる。
時が経つと輝きも色も薄れて、場合によっては記憶さえも透明になってしまう。
愛の鮮度は特に気まぐれ。蜜を求めて舞う蝶のように、ゆらりゆらりと変化する。
長い時間彩りを残す愛もあれば、はたと終わりを迎えてしまう愛もある。
愛も含めて、感情の輝きがたとえどれだけ強くても、想いがどれだけ深くても、その感情はいつか失われてしまう。
永遠に続く愛なんて幻想に過ぎない話であって、幸せは不幸までの待ち時間に過ぎなくて。
私自身が例えておいてなんだけれど、感情はナマモノとはまるで違う。
プラスもマイナスも関係なく、記憶とともに、感情はふとした拍子に蘇る。
失ったものは二度と戻ってこない。しかし、記憶ある限り感情は失くならない。感情は思い出となって記憶に刻まれているのだ。
どれだけ遠く離れていようと、私のことを忘れていようと、二人で過ごした幸せな日々は彼の心に刻まれているはず。
私の愛は揺るぎなく、ただただ一途に旅を続ける。
こんにちは、白木 一です。
ある日、バイト先にてお客さんに、『君は感情がないのか』と言われました。
その場は苦笑いで濁しましたが、もしも私が
「感情があるから、今あんたの言葉にムカついたんだよ、このやろー!」
と逆ギレしたら、私が感情を持っていることの証明になったのでしょうか?
――間違いなくクビですが……。




