神のレベル
造物主のレベルが上がっていた。
朝になって行きと同じ方法で帰ろうとしたところ、ガラテアが断固として拒否したので、ゆっくりと廃街道を回って帰る道すがら、ステータスを見てみたのだ。
名前:ヨーハン・ハイデンベルク
種族:多彩の渦
称号:墜ちた者
称号:造物主(仮)
職業:レッサー・デミウルゴス
後見人:
レベル:105
経験値:0
HP:3400
MP:特殊(制限無し)
力:97
敏捷性:168
正確性:152
魔法力:特殊(制限無し)
耐久力:125
無限彩の大翼
極限飛翔
肉体技能
専用武器使用(常時拘束)
神聖・邪悪属性付与(使用可能・使用制限無し)
エーテル実体化(常時使用)
精神技能
全知(制限有り)
召喚魔法(使用可能・全ての召喚にボーナス)
異界との通交(使用可能・全ての異界との通信にボーナス)
万能魔法知識(オールドワールド限定・専用武器使用時限定解除)
万能言語知識(オールドワールド限定・専用武器使用時限定解除)
混沌魔法
混沌の呼び声(特殊)
混沌から造られし者(特殊)
神聖魔法
光輝の眼差し
眷属
アリス(聖戦士・大司教・多彩の渦教団)レベル125
フェイ(聖闘士・司教・多彩の渦教団)レベル119
これはひどい。
レベルが上がったのに能力値が軒並み下がっている。
種族が混沌の渦から"多彩の渦"とやらに変わった影響か。
こうなるとレベルなどあってなきようなものだ。
そして新しい技能、"無限彩の大翼"と"極限飛翔"。
我は地上を去ることを求められているのだろうか。
大きくため息をつくと、御者台のアリスとフェイが「どうなさったんですか?」「隣、空いてますよ!」
などど能天気に騒ぐ。
仲間はずれにされて寂しいわけではない!
お前たち、勝手に所属する教団の名前が変わった上に大司教と司教になっているのだぞ。
まあよい。あとでステータスを見た時に驚くがいい。
我は心の中で無慈悲に呟いた。
結局、その後御者台に三人で窮屈に乗るはめになった。
二人だけなら無視するのだが、ガラテアが無駄な気を効かせるせいだ。
本当に困る。
だいぶ疲れ易くなっているようだし、このままでは造物主が風邪で体調を崩すなどというつまらぬ事態を引き起こしかねない。
我は難しい顔で靄に煙る森を睨んでいたが、やがて単調な揺れと暖かさが呼ぶ眠りに引きこまれて行った。
「尊き御方よ……」
「呼んでいないぞ」
我は目を開ける前にほとんど事態を予期していた。
「それがしの夢に勝手に入るな。そして貴様は誰だ。」
「わたくしは下僕ジェスター……そしてここは夢ではなく御方の領土でございます」
つまりここは煉獄か。
「見違えたな」
いっそ、春風の吹く散歩に向いた野原と言っても通ることだろう。
人工物はジェスターの背後に立つ小さな四阿ほどの聖堂以外には見当たらない。
そしてそのジェスターといえば、以前の姿とは似ても似つかない二十歳ほどのほっそりした若者の姿で、声すら全く違う。
超自然的な軽やかさで翻る長衣だけを身につけ、背中には小さくシンボリックな羽根がなびいていた。
「しかし、いくらなんでも違いすぎだ」
我は文句を述べたが、この穏やかさには少々心惹かれるものがあった。
道を踏み外さねば、老後をこうした小さな聖堂で過ごしていたかも知れぬ。
ジェスターはそれを読んだように小さな笑みを見せ、我はまたいくらか不快になった。
「無礼は変わっていないな」
「聖霊や悪魔といった我等のようなエーテル生命は変化できませぬ。大きく、強く、小さく、弱くはなりますが、破壊を経ずに根本が変わることはありませぬ。よくご存知のはず」
「それ故に塵芥の如き人の世に関るのだったな」
ジェスターは我の嫌味に微笑んで見せた。
「で、なぜ呼びもしないのに現れたのだ」
我は諦めてジェスターに聞いた。
「御方の力がいや増すにつれ煉獄との距離は縮まっておりまして」
「なに?」
「つまり、お寝みになられると自然とこちらにお渡りになられるわけです」
「なんだと……」
これから寝る度にジェスターと顔を合わせることになるのか。
それはそれで気が滅入るような話ではあった。




