興奮冷めやらぬ
マリナとヨーゼフとの別れを惜しみながらも、「立派な衛生師になってね」と見送られ、単身寮へ急いだ。
バクスター領西部からラージリア領東部には移動に1日半を要した。
単身寮へ入り、新人の教育担当と職場に挨拶へ行く。
「本年度の新人教育担当のザーリロフです。こちらが明日から配属となります新人10名です。宜しくお願いします。では、右から順に名前と卒業学校を。」
ザーリロフ教育担当が合図を送る。
「バクスター領衛生師学校を卒業しました。リンです。宜しくお願いします。」
「右に同じく、バクスター領衛生師学校を卒業しました。ユリアです。宜しくお願いします。」
「右に同じく、バクスター領衛生師学校を卒業しました。テオです。宜しくお願いします。」
ユリアとテオも偶然同じ就職先で少し緊張が和らいだ。
以下、7名が自己紹介をし、制服2種類を5着ずつもらった。
内勤時の制服は白地に紺の刺繍が施されたパンツタイプで両ポケット付き、上衣は臀部を覆い隠すくらいの長さで胸ポケットを始め、左右に大きめのポケット、その中に内ポケットが付いた仕様であった。
外勤時の制服は濃いめのベージュに紺の刺繍でこちらもパンツタイプで前後左右の4箇所にポケットが付き、腰部は布ベルトを締めるようになっている。上衣は着丈は短めで裾にゴムが入っている。胸ポケットを始め前後左右に合計8箇所内ポケットがあり、その全てにチャックが付いている仕様であった。
身嗜みとして、頭髪が長いものは感染や事故に繋がるリスクを避ける為、肩に付かないようまとめ、指輪や腕輪などの装飾品も感染のリスクや事故を避けるため外すように指導を受けた。
ピアスは長くないもの、つまり絡まったり引っかかったりしない物は可とされ、ネックレスも制服の中に忍ばせることができる長さの物は可と追加で説明があった。
最初は内勤となり、怪我や病気の方が寝ているベットなどでケアを行い、進捗状況を見て外勤に移る。
外勤は緊急コール時や通報時に駆けつけ、その場で最低限の医療を施し搬送する。負傷者や傷病者のところにファーストアタックするため、即座に動ける瞬発力と判断力が必要だと言われた。
新人10名は2名ずつに分けられ、様々な部署に配属、全ての内容はチームで行うため、報告連絡相談を怠ってはいけないと指導を受け、明日から日勤のみで勤務開始となった。
寮へ帰宅する時、
「リン!同じ職場で同じ部署に配属なんて!本当によかったわ!実は少し不安だったの。」
とユリアが声をかけてくれた。
「私もよ!都会に出て見たくて、ラージリア領を受けたんだけど、合格した途端に不安になったわ!」
ユリアが「私と同じ理由で受けてるじゃない!」と笑い、
「不思議ね、バクスター領は農業が盛んだったから大気を守るために馬車が主流だっただけで、こっちでは何倍も早く動く車が走ってるんだもの。」
軽く石畳になっている道路の左を馬車、右を車が走っているところを指さす。
「本当ね!私も、車って初めて見たわ!外勤ではあれに乗れるんでしょ!ドキドキするわ!」
リンは車を見ながら祖国を思い出だし祖国は牛が馬車を引いている所だってあるのにと思った。
互いに「頑張ろうね」と言い、同じ寮へ帰宅した。
今日は興奮で眠れそうにない。
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