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時は流れる


油断していたが、もうすぐ試験期間だ。

全ての教科で単位を取らなければ、来年の実技の授業に移れないため落第する。


試験期間の1週間は勤務を休んで良いと言われ、有り難く休み勉強に集中した。


その結果、最難関であった『人体の解剖と機能』はレポートの点数割合無しで試験結果が10割である。見事、200点満点中180点を叩き出し、『SA』の評価を得た。その他の教科も平均点を見事に上回り、300人中9番で授業料4割免除の枠に入ることができた。

母に良い結果が報告できると嬉しかった。


テオとユリアも今年度は見事に単位を取得することができた。


母に手紙を送ると衝撃的な内容の手紙が返ってくることが殆どだった。


例えば、

{16歳でお父さんと結婚して、すぐにお父さんの浮気が発覚したのよ。怒り狂っても、平然な態度を崩さないお父さんに腹が立って、家出したの。嫁入り道具売ってラージリア国に行ってそれから2年間調理学校へ住み込みで通って資格を取って、気づくと18歳じゃない?離婚して移住しようって思ったら、お父さんが迎えに来たのよ。}


母がリンを産んだのは19歳の時だった。そんなことが結婚してからの3年間にあったのかと驚きを隠せなかった。


またある時は、


{義母から「嫡男は産めないわ、一人娘をどこかに隠すわで碌な嫁じゃない。息子もそう思ってる」って今更言われたの。だから、お父さんに「碌な嫁じゃないと思っているなら何故迎えに来たの?」って義母の目の前で聞いたの。その後、大乱闘になったわ}


一応皆、軽症だったようだ。


またある時は、


{リンの所にマリウスを迎えに行かせたらどうだって、お父さんが言うから耳が悪くなったのかと思って医者にかかったのよ。そしたら、耳は正常だって信頼できる先生が仰ったから、今度はお父さんを目の医者に連れて行ったの。そしたら、視力的な意味でおかしいんじゃないくて、ただの節穴だったわ!}


とあった。

リンの母である間違いなく。


そんな手紙をやりとりをしながら、一年間次を終えた。単位を落とすことなく、常に10番以内で学費4割免除を常に受けることができた。


二年次に進むと実技が増えた。

人体に初めて針を刺す前には手が震えた。


その震えが針を狂わせ、人体を傷つける。


深呼吸し、どう血管が走り、神経が走っているか、どの部位に何のために針を刺すのか、どれくらい鋭角の針でどのくらいの大きさの針を、どの角度でどのくらい深く針を刺し、どのくらいの速さで投薬するか、今一度考え心を落ち着かせた。


最初に刺し合いをしたのはユリアだった。


お互いに内出血した。

技術を磨こうと2人で練習した。


試験勉強も何時間もしたし、ユリアとテオと明け方まで学校の図書室で問題を出し合ったり、倫理のことで討論をしたりした。


あっという間に時は経ち、ラージリア衛生師国家試験の時が来た。


3人とも卒業式の単位は揃っている。

就職はバクスター領から離れ、ラージリア国の中心、ラージリア領東部の部隊に内定している。ただ、国家試験に受からなければ内定は取り消しで留年だ。


国家試験に受かれば、母に移住しようと思うと伝えた。


母は{資格取って移住できるなんて、すごいわ。母はいつでも応援しています。何があっても夢を諦めないで。}と手紙をくれた。



国家試験は1日に何十時間も勉強したかいがあり、手応えはあったが合否発表の通知を見る時は気絶しそうだった。


スーモア国を飛び出して、2年。


リンは国家試験に合格し、ラージリア国ラージリア領東部の衛生師として移住許可がおりた。



やっと一歩踏み出せたのだ、自立への道を。


毎日、22時更新予定です。

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