18-3 『銀月』のみなさんに『ヤキトリ』の相談2
2023年1月22日-誤字修正。
今『銀月』の皆さんが受けている依頼について、私達は話し合うことになった。
内容は、『怪鳥の調査』。
つまり、ガーランさんが言ってくれたのは、
私と私の『ヤキトリ』について、表向きどうまとめるかを考えよう、ということだ。
「レンガちゃんに『なにかある』ってことになると、やっぱマズいよな?」
グラントさんが一番のポイントを最初に確認する。
「そうだな。
良くて、保護と言う名の監禁。治療という名の実験。レンガちゃんごと魔法なんかで封印だって、ないとは言い切れない。
どう考えても今までみたいに過ごすことは難しいだろうな」
ジャックさんの指摘は、間違っていない。
改めて今私の置かれている状態が不安になり、『銀月』と『研究会』のみなさんの厚情が有り難くなる。
「これ以上ヘタに誤魔化すと、嘘のために嘘をつかなきゃならなくなるよ。
成体の水竜を餌にしちゃうような『怪鳥』は大物すぎる。ちょっとした嘘でも影響が大きくなるから、気をつけたほうがいいね」
悩み顔でレイランさんが言った。
たしかに、下手に誤魔化そうとして収拾できなくなってしまっては、しゃれにならない。
「いちど、『ヤキトリ』さんとも相談してみましょう?
自己紹介とか、してもらうのはどう?
レンガちゃんの学院でのお友達にも協力をお願いして。
必要なら、私達も手伝うわよ?」
セーラさんの言葉に、ハッとする。
いままで驚いてばかりで、『ヤキトリ』とはそんな話をすることにも思い至りませんでした。
やっぱり、いちど勇気を出して話し合ってみれば、得るものも大きいに違いありません。
いちど、ユーリ様たちに相談してみましょう。
私は、そんな決意をする。なぜか、アジィ様がじっと私を見つめる目を思い出した。
パン、パン、と。
私の表情をずっと見ていたガーランさんは手を打つと、笑顔を浮かべながら立ち上がって、宣言した。
「どうやら、当面の方針は出たようだね。
それじゃ、良ければみんなでランチでも食べに行かないか?
ここの料理は、ランチもかなりいけるんだ。
レンガちゃんにもごちそうするから、よかったらいちど食べてみてほしいな」
彫刻の刻まれた机椅子、ステンドグラスに、シャンデリア。
ここの食堂は、とてもお洒落だ。
受付前の吹き抜けで流れ落ちる水が、どことなく落ち着く騒がしさを演出すると同時に、適度に周囲の音も隠している。
よく考えられていますねぇ。
「おまたせしました」
ランチは、サラダとスープとパンそして選べるメインに飲み物とデザートが付いた、なかなか立派なものだった。
「このサラダ、シャキシャキして、ウマいよね。
きっと、『冷蔵庫』とかあるんだぜ」
グラントさんが言いながら、ムシャリとサラダを頬張る。
グラントさんって、さっきの相談のときもそうですけれど、けっこう鋭い直球を投げてくるタイプですよね。
「パンプキンスープは、たぶん粉末ベースだと思うんだけど。
ここまで味の複雑さを出してるのって、すごいよな。
戻す水になにかあると思うんだ」
どうやら『銀月』の料理担当であるジャックさんは、あいかわらず味の研究に余念がない。
「私はこの前セーラが買ってきてくれた『猫のパン』のほうがすきだなぁ」
レイランさんがそんな事を言いながら、こちらを見てニカっと笑ってくれる。
お世辞かも知れないけれど、そんなことを言われてしまえば、嬉しくないわけがない。
私も、ニコっと笑顔を返す。
「この、おにく。
なかなか、じゅーしぃで、おいしいですよ」
私は、でっかいチキンステーキにナイフを突き立て、もぐもぐと齧る。
『ヤキトリ』のことを考えると、ついつい鶏肉が食べたくなるような気がします。
「はは、あんな話をした後に、その大きな鶏肉を頬張っているレンガさんを見ると、なんだか説得力を感じるね」
丁寧にナイフとフォークを使ってローストビーフを食べるガーランさんは、若干呆れたようにそう言った。
さすが騎士のおうち出身。
食べ方がとてもキレイで、しっかりした人柄を感じます。
「レンガちゃん、この後なにか予定あるの?」
セーラさんが魚のソテーを切り分けながら、そう聞くので。
「はい。近いうちに、ネイビィ様にもお話を伺いたいなと思うので、なにか差し入れを買おうかなと」
そう答えたら、セーラさんはなるほどねと頷いた。
みんなで賑やかに食べるランチは、それは美味しかった。
「それじゃ。ネイビィ様にもよろしく」
そして、食事も終わって、帰り際。
ガーランさんが代表して挨拶をしてくれる。
「はい。これからもよろしくお願いします」
私も挨拶を返すと、町に買い物へと向かうのだった。
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