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15-3 保健室で寝る2人

 目を開けると。

 白い天井に、白いカーテン。

 胸の上に、少し重い感触。

 目線を下げれば、アジィ様が目を閉じて、頭を乗せていた。

 どうやら、お昼からずっと私に付き添ってくれているうちに、寝てしまわれたようだ。

 そういえば、アジィ様は昨晩パーティだったはず。

 アジィ様こそ、お疲れじゃないのかな。

 こうやってみると、アジィ様って、やっぱりお綺麗ですよね。

 いつもは頼りになるキリッとした雰囲気なんですけど、あれは瞳の印象が強いんですね。

 だって、いま目を閉じているアジィ様は、とても柔らかくて、キレイというより可愛らしい感じです。

 でも、美人さんって得ですね。

 この造形で、頬もほんのりピンク色って、パーティとかだとこれでも更にお化粧いるんでしょうか?


 とりとめのないことを考えながら、ただぼーっとアジィ様を見つめる。

 しばらくそのままでいたのだけれど、少し姿勢を変えたくなって。

 起こさないように、ちょっと体を動かしてみる。

 すると、アジィ様のいる右側の腕が、動かない。

 どうやら、アジィ様の身体が上に乗ってしまっているようだ。

 なんだか、柔らかい感触がした。

 ……うーん、アジィ様、意外とありますね。


 腕をゆっくり抜けないか、色々と試していたら、

 すぐそこで閉じていたアジィ様の眼が、ゆっくりと開いていく。

 どうやら、結局起こしてしまったようだ。


「おはよう、レンガ様」

「おはようございます、アジィ様」

 慣れた挨拶を、慣れない場所で、交わした。


「ごめんなさい、寝てしまっていたみたい」

 アジィ様はそういうと、ゆっくり頭を持ちあげた。

「ずっとついていてくれたんですか?

 ごめんなさい、ご迷惑をかけました」

「いいのよ。

 放っていったりなんかしたら、きっと心配で、それこそ授業なんて手につかなかったと思うわ」

 そう言いながら、アジィ様の顔が私の顔に、近づいてくる。

 アジィ様の眼、なんだかいつもより、なんていうかドキドキしますね……

 なんとなく、魅入られたようにそれを見ていたら。

 コツン。

 アジィ様の額が、私の額に触れた。

「まだ、熱があるようね。もう少し休んでいたほうが、良さそうだわ」


 アジィ様はそう言ってくださるけれど。

「いま、何時頃ですか?」

 確認する。

 もう授業が終わっているようなら、私、『研究会』にいかなくちゃ。

 魔力操作の訓練が待っている。

 昨日も体調不良で休んでしまったし。


「失礼。いいかしら?」

 そんなとき、ベッドの周りにかけられていたカーテンの外から声がかけられた。

 あれ?この声、ミイツ様?

「どうぞ」

 アジィ様がベッド横の椅子に座り直したのを確認してから、そう返事をすると。

 カーテンを少し開けて顔を出したのは、やっぱり『研究会』のミイツ様だった。

「お邪魔して、ごめんなさいね。

 レンガ様が、体調不良って聞いたから。

 はい、差し入れ」

 ミイツ様が私の上に手で持っていた手提げの箱を軽く乗せる。

 ひんやりと冷たい感触が伝わってきて、気持ちいい。

「後で、食べてね」

 ミイツ様はそう言いながら、箱をまた持ち上げて、私の隣におろした。

 それから、

「はじめまして、アメジスト=グリシーヌ様。

 私はミイツ=ザスリー。保健委員よ」

 え?

 保健委員だったんですか?

 保健委員って、保険医先生をお手伝いする役ですよね。

「はじめまして、ミイツ様。本科1年のアメジストと申します」

「存じております。お噂はかねがね」

 微笑みあうお2人。

 ブルッ

 少し、寒気がする。まだ、熱があるようだ。

「はい、レンガ様、ちょっと失礼」

 そういうと、ミイツ様はどこからともなく取り出した魔道具を私の額にかざした。

「そうね、多少熱がある程度だけれど。

 でも、今日は無理せずもう帰ったほうが良さそう。

 レンガ様は特例をとってアルバイトをしていたわよね。

 できるなら、お休みを取ることにして、誰かに伝えてもらったほうが良いんじゃないかしら」

「そういうことでしたら、私がレンガ様を家までお送りして、そのついでにお仕事先にもお休みをお伝えしてきます」

「それも良いかもしれないわ。

 ……でも、お休みについては私の方で手配するから。

 だから、アメジスト様はどうぞレンガ様についていてあげて」

 なんだか、私のいる前で、まるで私の意思が確認されることなく、私の取り扱いが決まっていく。


 だいたい話がまとまった頃。

「あら?

 お客様が来たようだわ。

 それじゃ。レンガ様、お大事にね?」

 ミイツ様はそう言って、カーテンの向こうへと出ていった。


「それでは、家までお送りするわ。

 レンガ様、立てそう?」

 私はベッドを降りて、立ち上がる。

 まだ少しふらつくようだったので、アジィ様の肩をお借りして、保健室を出た。


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