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5-3 水汲みの広場で井戸端会議とか

2020年10月25日-行間や句読点などを修正。内容に変更はありません。

2021年10月02日-字句などを修正。後書きを削除。内容に変更はありません。


「さて、それじゃ、お洗濯してから、おでかけでもしましょうか」

 この1週間で、洗い物もそれなりにでている。

 とはいえ、うちには洗濯機があるので、綺麗にするのはそんなに手間ではない。

 溜まった使用済みの下着なんかをネットに入れてから洗濯機に入れ、洗濯用に調剤された専用の石鹸を投入、魔石を起動する。

 あとはこの魔道具にお任せだ。

 アメジスト様から借りたハンカチだけは別に手洗いして。それから学院の課題を済ませたころには、洗濯機のなかみはすっかり綺麗に。

 それを干したら、今度は私服に着替える。

 チュニックを着て、細身のパンツをはく。どちらも冒険者も使う、丈夫でヘタりにくくタフに使えるので評判の品物だ。

 この間の夜に倒した悪魔のことが気になる。

 ユーリ様も動いておられるけれど、自分でも調べておきたい。

 そんなとき学院の制服はすこし目立ってしまうけれど、この服ならたぶん大丈夫。

 そんなかんじで準備を整えると、

「いってきます!」

 まずは、このまえの悪魔との遭遇地点へと向かった。


 いつも通る大通り。

 このあたりで、建物の上から『アレ』が降ってきた。

 追われていたようだったし、建物の中から出てきたというかんじではなかった。

 あのとき追っていた騎士様の足音は、たしかあちらから……

 裏路地に入って、なにか痕跡は見当たらないか、あたりを見回しながら歩く。

 ……『あれ』は、手傷を負っていた。

 ウルフやオークなら血痕などが残るものだが、悪魔は倒すと消滅してしまい痕跡を見つけにくい。

 街の活動が少ない夜なら、もしかしたら残った魔力の痕跡を見つけることもできるかもしれないが、今は昼間だし、私もあまりそちらの方は専門ではない。

 それでも、悪魔が呼び出された場所がこのあたりにあれば、さすがにわかる。

 悪魔が召喚された場所には、呼び出された悪魔がすべて送還されるか失われるまで、強い痕跡が残る。

 でも、いま見た限りではそんなものは見当たらない。


「念のため、すこし広い範囲を確認しておきましょうか」

 小路地の交わるところにある、すこし開けた広場。

 真ん中にある魔石により溢れる泉から、水路を通って、広場の端に作られた排水口へと水が流れている。

 ここは、水道の魔道具がない家に水を提供する、聖都のあちこちにある給水設備だ。

 広場には緑もおかれているため、近くに住む人がここに集まってくることも多い。

 その泉に、ユーリ様から借りている探査の力が込められた魔道具をポーチから取り出して沈めると、水面にいくつかの光が浮かぶ。

 魔道具のとなりの動かない光は私。他の光はぜんぶ動いているので、動かない悪魔召喚の痕跡は探査範囲には無い、ということだ。

「どうやら、あの悪魔は、どこかから流れてきたようですね」

 そう結論を出すと、魔道具を泉から引き上げる。


「あら、どなた?」

 ちょうどそのとき、路地からたくさんの汚れた食器をバスケットにいれた女性が現れた。

「すこし水をお借りしていました」

「そうなの。私は急がないから、どうぞごゆっくり。

 ところで、いま泉が光ってなかった?」

「気のせいじゃないですか?」

「そう?」

 女性はそういいながらも、不思議そうな顔をしている。

「そういえば、このあたりで最近なにか変わったことって、ありませんでしたか?」

「ん? そうねえ……

 そういえば、光で思い出したけど、何日か前の夜に窓の外が一瞬明るく光ってね?

 どうしたのかと思って見に行ったんだけど、大通りに出てみたらなにもなくて。

 気のせいだったのかしらね」

 といって笑った。

「おや、こんにちはテリーザ。洗い物?

 そちらのかたは?」

「こんにちは、ジャネットさん。こちらは……」

 しばらくすると、ご近所さんだろうか、違う女性もやって来た。

「レンガといいます。お水をすこしお借りしました、ありがとうございました」

「いえいえ。毎日きれいな水をくださる陛下に感謝だね。

 そういえば、テリーザ。一昨日あたりからドナルド坊やの姿が見えないそうなんだけど、しらないかい?」

「? いえ。そういえば、見ませんね……」

「ご両親が心配して、騎士団に届け出ようかって。どうしたんだろうねぇ」

 この前の悪魔の口からした血の臭いを思いだし、嫌な想像が頭をよぎる。


 もうすこし、なにか情報はないだろうか?

 そのまましばらく、適当に相槌を打ちながら話を聞いたが、それ以上の情報はでてこない。

 ……そろそろ頃合いだろうか。

「それじゃ、私はこれで」

「お嬢ちゃんも、気をつけてね」

 私は2人に別れを告げて泉をあとにした。


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