5-1 学院予科へはいろう
2020年10月25日-行間や句読点などを修正。内容に変更はありません。
2021年10月02日-字句などを修正。後書きを削除。内容に変更はありません。
エメラルド様との楽しい一日も終わり。
寝て起きれば、2日目の休日だ。
昔は6日働くと1日休みの繰り返しだったそうだが、災厄のあと執政官が5日働いて2日休むように改めたらしい。
もちろんこれは職業にもよるが、仕事と休みの比率はどの職業も同じくらいになるよう指導されている。
これを含め災厄後の政策はいろいろかなり強引だったそうだけれど、今を生きる私には休みが多いのは嬉しい。
いつものように身だしなみを整えて朝食をとると、今朝は自分の部屋で机に向かい、頼まれたレオくんの家庭教師をどう進めたものかと考える。
「でもまあ、まずは勉強の進度を把握するところからですかね」
レオくんの歳から試験をイメージして、自分なりに問題をいくつか作り、そこから順に要素ごとの基本的な問題を増やしていく。
文章・関数・代数・幾何・統計・物理・錬金・生物・天文・社会・地理・王国史・神学・魔法学、などなど。
だいたい網羅できたかなと思ったら、思いの外時間が過ぎていた。
「そろそろ、お邪魔しても大丈夫かな?」
一張羅の制服を着て、作った問題をまとめるとファイルに入れたら、
「いってきます!」
レオくんの家を訪ねた。
玄関の扉をノックすると、ルチアさんが顔を出す。
「おはようございます、ルチアさん。昨日の家庭教師のことで伺いました」
「おはよう、レンガちゃん。ようこそ、中にはいって」
居間に案内されて、すすめられるままに椅子に腰掛ける。
「あら? レオナルドは自分の部屋に戻ったのかしら? さっきまでここにいたのに。
そうだ、レンガちゃん、おなかすいてない? いただきもののライチがあるんだけど」
「それじゃ、あとでレオくんと一緒にいただいて良いですか? 勉強すると、けっこうお腹が空くので」
そこでいったん話を切って。
それから、学院入試の予定を確認する。
「それより、いくつかお伺いしたいことがあるのですが」
「なあに?」
「ルチアさん、レオくんは予科から受験するおつもりなのですか?」
「うーん、勉強が間に合うようなら、年末になったら予科を受験してもいいとは思っているわ。おかげさまで、紹介状のあてはあるし。
本科からだともう3年待たなければならないでしょう? 早く学院に行けるかどうかはっきりさせたほうが、レオナルドのためだと思うの」
「たしかに、紹介状がなんとかなるなら、予科からは良いと思いますよ。
私も予科からでしたけれど、とても充実していましたから」
私がそういうと、ルチアさんはすこし考えるようにして、
「それなら、レオナルドにもぜひ予科から学院に行って欲しいけれど。
でも、予科から本科への進学試験は難しいのかしら?」
「授業の内容をきちんと押さえていれば、大丈夫でした。
でも、さすがに少し気が早いんじゃ?」
「……そうね。
レオナルドの将来のことを考えると、ついね」
これも親心というものなのだろうか。微笑ましく、ちょっとだけ羨ましい。
「レンガちゃんは、今年から本科だったかしら?」
「はい。無事に進学できました。
本科の間の、3年分の学費もなんとかなりそうでしたから、進学を遅らせる必要もなかったですし」
「進学を遅らせるの?」
「進学試験は、不合格なら翌年以降も挑戦できるんです。その間、籍は学院に残りますし授業を受ける必要はないので、そこで本科分の学費を準備する人もいるそうです」
学院では有名な裏技だ。
「へぇ、いろんな方がいるのね」
「年齢に上限は設定されていませんから、少ないですがだいぶ大人の方もいらっしゃいますよ。予科も、本科も」
「レオナルド、うまくやれるかしら」
「そこは、本人に努力してもらうしかないですね。
ですが、年末の入試で合格できれば、まだ私が本科にいますから、少しはお力になれるかと思います」
「それなら、あの子にも頑張ってもらわないとね」
ルチアさんはそう言って笑うと、
「それじゃ、そろそろあの子のところにいきましょうか?」
立ち上がって、私をレオくんの部屋まで案内してくれた。




