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神様のご縁は


カレー屋は順調だ。

最初、恐る恐る食べていた人達も、少しずつ慣れて来たようだ。

今は開店準備中から待っている人もいる。

特に冒険者風の男性に、ウケがいい。獣人にも好評、元々スパイス好きらしい。

ラディスもやってきた。

食べた後、パフッと小さな火を吹いて、みんなを驚かせた。



そんなある日の夜。

ピコン♪

=マッチング成立=

*明後日 3時

*カフェたちばな


あれ?何で?

私、頼んでないのにな。

「マシロ、どう思う?

またアイツ何か企んでるのかな?」

「きゅる?」

「まあいいや。明日ギルドで聞いてみる」



翌日、オモジイに断ってからギルドに行った。

クニオはいなかったので、カウンターのスセリに。

「ねぇ、私、マッチング頼んでないよ。

またなんかあるんでしょ」

「いえいえ。カツミちゃん、考えすぎよ。

いいお相手が見つかったから。会ってみてよ」

「今忙しいのになー。

そんな気分じゃない」

「そう言わずに。ちょっと息抜きも必要よ。

気軽に会ってみなさいな」

「うーん。スセリがそこまで言うなら」

「ね。そうして」

「わかった」



店でオモジイに言うと、

「ああ、行ってこい。

モーリーのケーキでも食って、息抜きすりゃいい」

まぁスセリがああ言ってるんだしな。

久し振りにケーキも食べたいし。

マシロが頷いた。

お前、ケーキ目当てだろ。



カフェたちばなの前に行くと、黒い馬車が止まっていた。

ん?

入るとタゴリンが

「お待ちですよ、どうぞ」

ついたての奥に行くと、ハンチングを被った男性。

「すみません、お待たせして......」

あっ。

あのおじさんだ。

帽子被ると若く見えるけど、あの人だ。

「近藤 武史です」

「あ。今野 香津美です」

そうだ、この人も私と同じだった。


肩にカラスをとめて、伏せ目がちに

「今日は、ありがとうございます」

小さな声だ。

「いえ、こちらこそ。

あのカートすごく助かりました。ありがとうございます」

「あ、いや」

そこにケーキと紅茶が運ばれてきた。

ぴょんとマシロが飛び出して、ケーキの前で私を見つめる。

「いいよ。

すみません、とっても食いしん坊で」

「ここのケーキ、うまいもんな」

かぶりつくマシロを見つめて笑った。

あれ。案外かわいい目。


おじさん、ケーキをめっちゃ嬉しそうに食べている。

見た目とのギャップが可笑しくて、つい聞いちゃった。

「武史さん、甘党ですか?」

「うん。いや、カレーはもっと好きだ」

あちゃー。やられたー。


ケーキを食べ終わったマシロが、もぞもぞとおじさんの膝に乗る。

珍しい、この子がこんなに早く慣れるなんて。

優しくマシロを撫でるおじさんは、やっぱり目を細めている。

動物、好きなのかな?

カラスは......

じっと前を見つめたままだった。

「あのー。カラスさんはー」

「カースケは......ナビだ」

ナビ?ナビがいるの?

突っ込みたいが、今日はやめておこう。

「香津美さんは......」

「はい?」

「いや......」

あー。ツクヨミ様程じゃないけど、結構なコミュ障かも。

でもなんか、頑張ってる感がかわいいな。

会話は続かないけど、あまり気にならない。


「香津美さん.......送ります」

おじさんは席を立った。

「はい。じゃぁ店まで」

黒い馬車で、店まで送ってもらった。

「ありがとうございました」

「ん。じゃぁ」

去っていく黒馬車を見送っていると、ギルドからクニオが顔を出し手招きする。

はいはい、行きますってば。


「カツミちゃん。どうだった?」

「どうって。んー。普通?」

「普通?」

「うん。

でもあの人ってさ、だいぶ前からギルドに来てたよね」

「そう。彼はね、こっちに来たのは3年前......」

クニオの話ではーー

彼が来たのは3年前。私と同じように、テラの宿に泊まって、婚活ギルドにも登録していたそうだ。

「でも、退会しちゃってさ」

上手く話が合わせられなかったようだ。

仕事もなかなか続かず、色々とやっていたが、結局テラの宿も引き払い、町外れのウカミー農園の近くの小屋に引っ越した。

それから馬車作りを始めたそうだ。

「元々さ、車屋さんだったみたい」

そうかーそれで、あんなにオシャレで乗り心地のいい馬車に.......

「やっと軌道に乗ってきたって。で、またギルド登録したんだよ。

だからね、カツミちゃんに紹介したんだ」

「へー。ウカミーの近くにいるんだ」

「馬車の注文とかで、よくこっちに来てるよ。

だからさ、また会ってあげてよ」

「うん。まぁいいけどね」




それから、タケシはカレーを食べに来るようになった。毎週、必ず1番に来て、大盛りで食べていく。

他のお客さんの手前、あまりおしゃべりは出来ない。

ーーでも、笑いかけてくれるようになった。


「あー。今日も売り切れたぁー

マシロ、おつかれさん」

屋台を片付け始めたら、通りのずーっと向こうが騒がしい。

ん?

ーおい、馬車がぶつかったらしいぞ

ーなんでも、冒険者の馬が暴れたって

ー怪我人が出てギルドに運ばれたって

え?

まさか......

振り向くと、オモジイがうなずいた。

ーー走り出していた。



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