神様もカレー好き
うーん。と、思いっきり背伸び。
今日も気持ちいい朝。さぁ出かけよう。
マシロがカートにぴょんと飛び乗った。
休みの日は、朝、まずカレーの材料を買いに行く。毎回少し違う野菜や果物を加えてみる。
お肉も色々試し中。なんせ魔獣肉だ。食べてみないとイマイチ分からないのだ。
ハーブや香辛料は、洗濯場の軒に吊るしてドライにして常備している。
今日はハチミツを見つけた。さすがに高いな。でもちょっと欲しい。うん。小瓶にしよう。
帰ってきたらすぐに作り始める。お昼に間に合うように。
だってーー
毎回誰かしら、神様がやってくるのだ。
どうやら元はニギーのようだ。
よほど気に入ったのかニギーは毎週のように現れる。
クニオが来た時も、大騒ぎだった。持って帰ると言って聞かないので、小鍋に取り分けたら、後でスセリにお礼を言われた。なんだかんだ言っても優しいのよね。
三女神に聞いたと、モーリーもやってきた。オレンジジュースを携えて。
さて、今日は誰が来るのやら......
今日の肉はボアだ。
いい感じに仕上がってきた。
台所がカレーの匂いでいっぱいになる頃、現れたのはなんと。
スサノーとヤマト。
「姉者にな、呼ばれたんだが」
うっそー。あかん。顔火照る。
「あら、来たのね。
カツミちゃん、この子たち、大盛りでよろしく」
マジでっか。
どっかと座るスサノー。
ヤマトは鍋を覗きに来た。
「うわぁうまそー。」
あぁ~近いですぅー。
大盛りにして出す。
横にスライスしたパンを添えた。
「あの、パンも試してみてください」
黙々と食べる2人。
どうなんだろう。あー。ドキドキするー。
「うむ。旨いな。これはうちの冒険者どもが喜びそうだな」
「すっごく美味しいよ、カツミちゃん。これ、いける。パンもよく合ってる。コレも焼いたの?」
「いえ、それは、行きつけのパン屋の女将さんに頼んでわけてもらいました」
「俺はやはり米が好きだが、ここのものでと言うなら、パンもいいと思うぞ、なあ姉者」
「そうね、案外ソースが染みやすくて、ここの人にはパンの方がいいかもしれないわよ、カツミちゃん」
「カツミちゃん。売れるレベルだよ。うん。」
「そう......かな」
「うむ。そうだなぁ、カツミ。
この肉、肉屋で買っているのか?」
「はい。市場で」
「ギルドから直接おろせるぞ」
「え。本当ですか?」
いやそれ、めっちゃありがたいんですが。
「ああ、それと売る気なら、商業ギルドには行ってこい。闇はいかん。真っ当にやれよ」
「はい。ちょっとオモジイに相談して......」
「それがいい。急がんでもいい。一歩ずつだ」
「わかりました。頑張ります」
「あ、カツミちゃん、少し残しておいて」
「え?」
「きっと今夜は来ると思うわ」
「ハッハッハ、兄者か」
え、ツッキーも食べるの?
「あの子案外こういうのが好きなの。ふふっ」
あぁ~なんだか神のイメージがー。
その夜、台所には、一人こっそりカレーを食べるツッキーがいた。
翌朝、綺麗に空になった鍋と皿が残されていた。
カツミは片付けながらその姿を思って、ふっと笑った。
翌日、オモジイに店を出したいと言うと
「おぉ。ええと思うぞ。
そうじゃなぁ、この店の前をちょっと片付ければ屋台くらいは置けるじゃろ」
「最初は、私のお休みの日だけでいいんです。どれくらい売れるかも分からないし」
「そうじゃの。まぁ反応を見ながらでええと思うぞ。
ここの者には初めての味じゃ、そう簡単にはいかんじゃろうし」
そしてオモジイは、商業ギルドの場所を教えてくれた。
「まずは登録だけじゃ。屋台は登録だけでできるから、行ってこい」
商業ギルドに行くと、たくさんの人が忙しそうに動き回っていた。
えっと。受付ってあるのかな?
キョロキョロしていたら、ポンと肩を叩かれた。
振り向くと
「おう、カツミ、今日はどうしたんじゃ?」
ウカミーだ。
あれ?今日はこざっぱりした服を着ている。
「ウカミーさん。なんでここに?」
「あぁ、ここの副長なんでな。
まあたまにしか来んが」
「私、登録しようと思って」
「そうか、聞いておるよ。旨いそうじゃな。今度ワシにも食わせろよな」
「はい。ぜひ」
「登録はこっちじゃ」
横のカウンターに連れて行かれた。
通行証を出して本人確認。用紙に記入してサイン。
「コレで登録はできたから、後は、営業日と場所が決まったら届けを出しなさい」
「はい。ありがとうございます」
「そうじゃな、挨拶だけしておけ、こっちじゃ」
ついていくと、一番奥の大きな机の前に来た。
どっしり座った目の鋭い人。
ピコン♪
*カナヤン*(金山彦神)
「カツミ、商業ギルドのギルド長じゃ。
カナヤン、この子カツミ。きいておるじゃろう」
「あぁ」
「よろしくお願いします」
「登録にきたんじゃ」
「そうか。うむ。頑張りなさい」
「はい、ありがとうございます」
深くお辞儀をして、顔を上げると、カナヤンはニコッと笑った。
ウカミーとギルドを出た。
「まあ立場上な、厳しい顔をしておるが、面倒見のいいやつじゃ。わからんことは遠慮なく聞けばいい。
ワシは、田んぼがあるからな、あまりおらんから」
「はい。そうします」
よし。一歩前進。
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=金山彦神=
金属・鉱山を司る神。刀剣や農具に用いられる鉄の源を担い、古くから鍛冶や鉱山の守護神として信仰される




