カレーこそが神
今日は朝から市場だ。
肉は迷ったが、ノースランドオーク。ほとんど赤身の魔獣肉の中でも、少し脂身が多い肉だ。すじも多いが煮込み向き。きっといい味を出す。
これくださいと言うと、ドカンと固まりが。やっぱ異世界だなー。
野菜は玉ねぎやニンジン、トマトなど。名前は違うがほぼ似た形でちょっとでかい。
山盛りに置いてあるから数個づつ買う。
おばさんがデカい麻袋に詰めてくれたが、ちょい重い。
ヤバ。
野菜背負って肉を持って、動けずにいたら、そこにちょうど配達に来ていたニギーに出会った。
「どうした?」
「ちょっと重くて」
「運んでやろうか」
「いいですか?宿なんですが」
「ああ。」
「すみません。
あ、じゃぁーお昼に皆さんで宿に来られませんか?」
「ん?」
「エヘ。ちょっとお楽しみです」
「おぉ。わかった」
ニギーはひょいと荷物を担いで行った。
あとは......ハーブ。店のおじさんに聞きながら、こっちも数種類。束が大きいけど、残ったらドライにすればいいしな。
それからー、薬屋でウコンね。
最後に鍛冶屋に寄って、ナイフを受け取って帰った。
ケツメには半日、台所を貸してもらった。
ニギーの届けてくれた肉と野菜、それからハーブ。山盛りだ。
よし、やるか。
丸い板とナイフを出す。
これがまな板。
この台所の道具で、魔獣肉は切りたくない。ここはケツメの大事な場所だから。
カレーを作ると言ったら、ケツメは材料を用意しようと言ったけれど、丁寧にお断りした。
ここの、この世界の材料で作りたいんだ。
これからも、ここで生きていくんだから。
肉は大きく切った。大鍋に、脂身を下にして焼く。脂が出たところで細かく切った野菜を入れ、炒めていく。
全体にしっかり炒めて、水を入れて、アクを取って煮込む。
ハーブは細かく刻む。粒のものはしっかりつぶした。
肉が柔らかくなったら塩とハーブを入れる。加減しながらすこしずつ加えて調整。おっと、ウコンも。
さらに煮込んで.......ちょい味見。
おぉー。それっぽいぞ。
野菜が溶けてとろみも出てる。
ちょっとハーブを足して......
いい匂いだ。
こっそり覗いていたケツメが、我慢しきれずにやってきた。
「いい匂いですねぇ、何だかお腹が空く匂いです」
そうでしょ。
初めてにしては、いい出来だと思うよ。
ご飯も炊いた。
よし。みんなで試食会だ。
台所いっぱいにカレーの匂い。
テラもやってきた。
「あらぁーいい匂いじゃない。
お客様、おこしですよ。」
後ろから身を乗り出すニギーとイワナとサクヤ。
「いらっしゃーい」
皿の半分にご飯をよそい、空いたところにカレーを入れる。
「どうぞ、カツミ特製スパイスカレーです」
「じゃぁいただきましょう」
「どう?」
「美味しいわよ。お肉もホロホロで。」と、テラ。
「野菜の甘味も良く出ていますね」と、ケツメ
マシロはしばらくクンクンしていたが、ペロっとカレーを舐めて、ぴょーん!と1メートルくらい飛んだ。
「マシロちゃんには辛かったかもね、私はもっと辛くてもいいわよ」とテラ。
「私はもう少し甘いほうが」とケツメ。
あ、ニギーは無言ガツガツだ。
私も食べよう。
「んー。お肉はいい感じですね。
スパイスはもうちょいいじってみよ。
辛さは、そうだ、何かフルーツ使って甘味出すといいかも」
マシロのお皿のカレーを少しよけて、ご飯を足してやる。
「マシロはご飯食べてね」
「凄いわよ、ここの材料だけでつくったんでしょ?」とイワナ。
「オイシイ」とサクヤ。
「おかわり」ニギーはやっ!
結局ニギーは3杯食べた。
「美味しかったわよ、カツミちゃん。もう少し改良すれば、十分売れるわよ」
「ええ、私もそう思いますね。たまにこういうの、いいですね」
「きゅん」
エヘヘ。
またー、おだて上手なんだからぁー。
ヤバ。その気になりそう。
翌日、残ったカレーをオモジイの店に持っていった。
買ってきたパンを添えて、オモジイに出すと、「ほう」とオモジイは目を細めた。
「こりゃー。なかなかのもんじゃな」
「エヘヘ。ねえオモジイ。買い物がさ、重くて。なんかいい道具作ってよ」
「ん?それならー」
奥でゴソゴソしているオモジイ。
風呂敷のような布を持ってきた。
「カルガルーじゃ。
ポケットの中身が軽くなる」
広げると、ロングベスト。前に大きなポケットが付いている。
あ、わかった。ダジャレジジイめ。
「このポケットじゃ入らないよ」
「後ろもつければいい」
いや。前後にって。ダサすぎ。
「やだ。こういうんじゃなくってさ、カートみたいなの作ってよ。変な機能は要らないから」
「ううむ。そうじゃのぉ」
ポンと手を叩くオモジイ。
「そういうのが得意な奴がおる。そうじゃのぉ、頼んでやろう」
「ほんと?じゃあお願いするね」
「おう。任せておけ」
1週間後、店に行くと
「おぉ、カツミ。出来とるぞ」
わぁ。木製のカート。
ちょうどスーパーのショッピングカートくらいの大きさだ。
「すごーい。オモジイ、バッチリだよ」
「ほっほー、そうじゃろう」
やったぁ、これなら買い物も平気だ。
よし、じゃぁぼちぼち頑張るか。




