神様だってさびしい
宿で空を見上げていた。
大きな月が出ている。
もうすぐ満月やなぁ。
と思っていると、
ピコン♪
=マッチング成立=
*明日 20時
*ギルド奥の間
え?夜?
しかもギルド?
何でやろ。
またなんか訳あり?
「どう思う?マシロ」
あ、爆睡や。
翌日は、一旦宿に戻って晩御飯を食べてから出かけた。
あまり夜には出歩かないのでちょっと不安だったが、大きな満月が出て案外明るい。
「マシロ、でっかいお月さまだね。
そう言うと、ケツメがお団子作ってたよ。帰ったら食べようね」
「きゅん」
ギルドについた。
中に入ると、クニオとスセリ。
「もうお待ちです。どうぞ」
ニッコリ手を振るクニオ。
奥の間に入ると、綺麗な長い銀髪の男性が、背中を向けて座っていた。
まわりこんでお辞儀。
「はじめまして、カツミです」
顔を上げると
ピコン♪
*ツッキー*(月読尊)
なんでやー。
神様きたー。
白い衣、透き通る程に白い肌の神は、目を伏せたまま
「ツ、ツッキー」
そのまま動かない。
膝に、真っ白なウサギが、赤い目をクリクリさせている。
まいったなぁ。
と、マシロがぴょんと飛び出した。
「あ、マシロ」
するとウサギも膝から飛び降りて、マシロと遊び始めた。
それを優しい目で見つめるツッキー。
「ツクヨミ様、あの......」
「ツッキー」
いや、呼べるか。誰がつけたんや、その名前。
「すみません、うちのマシロが....」
「いい」
あーじゃれ合ってるー。
「あの、ウサギさん、ペットですか?」
「家族」
「.......」
ウサギがいなくなった膝で、ツッキーの手が所在なく動いてる。
何か話さなきゃ。
「あの、ツクヨミ様は」
「ツッキー」
「ツッキー様は、お仕事は?」
あー何聞いてんだ、私。
「よるを......」
「?」
「まもって......いる」
そうよね。だからこの時間。
「大変ですよね」
「いや」
本気で婚活する気やろか?
「ツクヨミ様は、ご家族は」
「ツッキー」
クソっ。絶対クニオの仕業や。
「ツッキーさん、ご家族は?」
「うさ」
うさちゃんね。まんまなのね。
「カツミ......さん
きつね」
「はい。マシロです」
ツッキーがふっと笑った。
あぁなんていい顔するんよ。
ちっとも会話が続かない。
2人でマシロとうさが遊んでいるのを黙って見ているだけだ。
でも不思議と嫌ではない。
温かい何かに包まれたような安心感。
これがツクヨミ様の力なのかな。
不思議な神様だ。
そのうち、遊び疲れた2匹はくっついて眠ってしまった。
トントン。
ノックの音。
ツッキーがはっと上を向く。
スセリの声「ツクヨミ様、そろそです」
「ツッキー」
「ツッキー様、お時間です」
ツッキーは立ち上がると、ウサギをそっと胸に抱いた。
「たのし......かった」
そう言うとスルリと出ていった。
「スセリぃー」
スセリが頭を撫でてくれた。
マシロを抱いて部屋を出ると、もうツッキーはいなかった。
「クニオ、どういうつもり?」
「ん?いい方でしょ」
「確かにね。でも神様だよ。私は無理」
「ツッキー、マジだったんだよ」
「そうかもだけど」
「コミュ症の神はダメ?」
「そういう意味じゃないって」
「クニオやめなさい、カツミちゃん困ってる」
「カツミちゃん、今日は遅いから、帰りなさい」
「うん」
ギルドを出て、歩いて帰る。
見上げた空に大きな満月。その中にウサギがいる。
さっきと同じ温かさだ。
宿に着くと、テラが出迎えてくれた。
「おかえりなさい。
部屋にお団子置いてあるから、食べてね」
「テラさん。
今日、弟さんでした」
「うん。そうかなーって思ってた。
あの子、ちょっとシャイだけどいい子よ」
「はい。とても。
でも、私には.......」
「そうよね。うん。わかった」
「ごめんなさい」
「いいのよ、たぶん夜中にうちに来るから」
「え?」
「お団子食べに来るわよ。絶対。好物だから。ふふっ」
「はぁ」
「ちゃんと慰めます。任せて」
「お願いします」
神様も、寂しかったりするんだろうか。
ウサギを抱いてふっと微笑むツッキーの顔が大きな満月と重なる。
その光に包まれて、よく眠れた。
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=月読尊=
夜と月を司る神。
静けさと闇の中で、世界の調和を保つ存在。




