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神の記憶


「おーいカツミー。これ、配達してくれー」

オモジイに呼ばれた。

袋を渡された。

「で、どこに?」

「あぁ、冒険者ギルドじゃ」

え。行ったことない。

「これをな、届けてくれ」

「なんですか、それ」

袋を開けてみると、いろんな色の小さな紙包み。

「これはな、きぃ付け薬」

??

「森の奥で、魔獣の群れが見つかってな、討伐に行くそうじゃ」

「討伐ですか」

「まぁスサノーがおるから大丈夫やろうが、一応な」

「で、どんな効果があるの?」

「そうじゃなぁー。ポーション程の直接の効果はないんじゃが、少しな、自己免疫をアップさせるんじゃよ。

どうしてもささいな傷とか起きるからな。ひどくならんようにな」

「色は何なの」

「それは種族ごとに量を調整してあるんじゃよ、冒険者は種族も様々おるからのぉ」

へーやっぱりオモジイってすごいなぁ。

「なるほど、で、その手にあるものは?」

オモジイ何やら隠した。

「こ、これはじゃな、今改良中のじゃな」

「改良中の?」

「き、記憶消しゴム」

「確認します」

「いやまだできとらん」

「帰ってきたらチェックしますから、売らない様に」

「わ、わかったわい」




冒険者ギルドは門の近くにある。

門も、今日はなんだか人が多くて、ものものしいな。

サルコーも忙しそうだ。


ギィー。

ギルドのドアを開けると甲冑姿がいっぱいだ。甲冑と言っても動きやすそうな軽いものが多い。つえを持っているのは魔道士?あ、女騎士もいる。

すごーい。かっこいい。

いやーもう。異世界そのもの。


驚いていると、声をかけられた。

「お嬢さん、どうしました?」

あ。真っ白な服のきれいなお兄さん。

ピコン♪

*ヤマト*(日本武尊命)

「あ、あの、オモジイから、お届けものです」

なんて凛々しい。つい声がうわずっちゃった。

「あー、ご苦労さまです。奥のカウンターに持っていってください」

「はい」

人混みをすり抜けてカウンターに行くと、スサノーがどっしり座っていた。

「あの、これオモジイから」

袋を渡すと、スサノーはニッコリと笑った。

「あぁ、助かった。ごくろうさん」

やだ。相変わらず素敵。

「気をつけて帰るんだよ」

「はい、ありがとうございます」

ギルドを出て振り返ると、タケルが手を振っていた。

ヤバい。こっちも素敵。

「ねぇマシロ、あんたどっちが好み?」

「きゅる?」

だよねー。神だもんね。



帰り道には市場がある。

ちょっと寄って行こう。

下見だ。

肉屋、あるな。いろんな魔獣肉があるけど、やっぱボア?オークも捨てがたいなー。

野菜は、結構種類あるみたい。

あ、これ玉ねぎっぽい。クンクン。匂いもそれっぽい。

こっちはトマトに似てる。

きのこもあるし......

あった、唐辛子。なんかデカいけど、多分これでいける。

あとはハーブ。案外色々あるんだ。匂いをちょっと嗅ぎながら。

うん、何とかなりそうだ。

あとひとつ。どこにあるだろう。

もしかしたら......

薬屋に寄った。

すみません、黄色い粉薬あります?たぶん二日酔いに効くやつ。

あったあった。ウコン

バッチリじゃん。さすが私。



店に帰るとオモジイは、まだ記憶消しゴムを弄くっていた。

「どうですか?」

「ううむ。なかなかのぉ。

なぁカツミよぉ......

やっぱり事故防止装置いるかの?」

「当然でしょ」

「......んー。もういい!」

オモジイはバシッと消しゴムを床に投げつけた。

「やめじゃやめじゃ。できん」

やっと諦めたかな。

「オモジイ、もう普通の消しゴムにして売っちゃえば?」

「え?そりゃー誰も買わんぞ。

だってこの世界に鉛筆は無いからの」

じゃぁ何で消しゴム作るのさ。

「なら、インク消せるようにすれば?」

「お?」

「きっと売れるよ」

「ほう。そうじゃのう。よし、やってみるか」


「なぁオモジイ、なんでそんなに記憶消しゴムにこだわったんよ。

昔、なんかやらかしてた?」

「んー忘れた」

あ、絶対なんかやらかしてる。


まぁ神様だって、出来ないものは出来ない。

力は有効活用すべし。






******



=日本武尊命=

各地の敵を討ち、国を平定した英雄的存在。

知略と武をもって道を切り開き、その生涯は伝説として語り継がれる。



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