神だって流行り好き
オモジイが、また何か作ってる。
「なにそれ?」
「おぉ、これなぁ、ドワーフに頼まれたんじゃ」
一見するとただの大ぶりなとっくり。
「ハットとっくりじゃ。ガハハ」
ん?
「酒いれたらな、3倍に増える」
ちょい待ち。
「そんなことしたら酒屋が潰れるやん」
「じゃが、ドワーフがな......」
「いやいや、余計にアカンやろ。
ドワーフでもってるようなもんやで、酒屋って
そやなぁー。オモジイ、それ、増やしてもええけど、薄めて」
「いやそれじゃぁ......」
「ええねん、どうせわからんくらい呑むんや。
3倍に薄める。量が増えたらええねん。」
「大丈夫じゃろか」
「薄いって言われたら、加護の力やって答えとき」
「そうかぁ」
「うん。大丈夫。何ならヘールジョッキ改良してもええやん」
「フエルジョッキ?」
「そうそう、3倍に薄まるやつ(笑)」
「なんや面白そうじゃな、やってみるかの」
よしよし。
オモジイ作業再開。
店番をしていると、クニオがやってきた。
「カツミちゃーん」
「はい、何がご入用ですか」
「あのねー。スセリがさ、カツミちゃんに用があるって。手が空いた時にギルドに寄ってくれないかな」
ん?何だろう。
お昼休みにギルドに行った。
多分スセリも休憩中。一緒に食べようとバーガーを買ってきた。
「あ、カツミさん。すみません、じゃぁちょっと奥へ」
「これ、今流行ってるやつ」
「まぁ、魔獣バーガーじゃないですか、食べたかったんです」
スセリ、お茶を持ってきた。
ソファーに座って袋を開ける。
「うわーいい匂い。スセリさんどっちにします?」
散々迷ったが、スセリはストームチキンバーガー、私はレッドボアバーガー。マシロにはハイランドオークバーガー。
封をあけて、かぶりつく。
「レッドボア美味しい。ぎゅっと肉って感じ。野菜もたっぷりだし、タレも濃いめでいいわ」
「ストームチキンの方はあっさりフワフワですよ。クリームソースが優しいお味です」
「マシロ、どう?」
「......」
「ちょっとマシロ、半分変えっこして」
「......」
無理やりマシロのをむしり取って、一口。
「オークもいいやん、ハーブ効いてる」
「これなら流行るわ」
「あー。わかったマシロ、待て」
私のをちぎってマシロの口へ。
夢中になって食べていたが、思い出した。
「何か用があったんじゃ?モグモグ」
「モグモグ、そうそう。モグ。
カツミさんにどうかなって。マッチング希望者がいましてね」
「.........」
「先に食べましょう」
「うん」
しっかりした人という希望だったらしい。
相手は?と聞くと
「まだ誰とは言えないんですが、お金持ちです」
「お金持ち。ですか」
「ええ、しっかりした気の利く方がいいと。で、カツミさんを思い出しまして」
「ふーん」
「気が進まなければ、断って結構ですよ」
「どうしよかなー」
黙って待つスセリ
「とりあえず会ってみようか?べつに断る理由もないしね」
「ありがとうございます。
では、日程を調整して、またお知らせしますので」
「うん。私は今のところいつでもいい。オモジイにも頼んでおくし」
「はい。よろしくお願いします」
クニオがやってきた。
「あっ。僕の分は?」
「自分で買って」
「そんなぁー」
店に戻るとオモジイは勾玉を作っていた。
ちょっとだけ綺麗になるペンダントだ。
勾玉は小さいけど案外可愛い。
「オモジイ、注文あったん?」
「あぁ、ちょっとな。
最近な、まがい物出てるらしい」
「え。それアカンやろ」
「いやまぁ、見たらわかるんや、デカいんよ、勾玉が。
何の効果もないけど、デカいからなぁ」
「じゃあこっちもデカくする?」
「いや、これ以上は大きくできんのじゃ。これはこういうものなんじゃ」
「ふーん。でも困るよね」
「いや、この形な、この世界では異質なんじゃ。じゃからこれ以上大きくすると、割れる」
「てことは?」
「ま、今出回ってるやつ、1ヶ月くらいでみーんな割れてしまうじゃろ」
「じゃぁまたこっちのが売れると」
「そういうことじゃよ」
まぁ、人のアイデアをパクったらあかんわな。うん。
3日後、スセリから連絡があった。
明日10じ。地図を渡された。
いつものカフェじゃないんや。
まぁええけど。




