違和感センサー発動
結婚式の翌日、店にクニオがやってきた。
すっかり元通りのクニオだ。
「カツミちゃーん。お待たせ。やっとね、セッティング出来たよ。ちょっとスケジュール合わすのに手こずっちゃって」
と、紙を渡された。
「じゃぁねー。」
クニオは手を振って去っていった。
相変わらず軽い。
昨日と同じやつとは思えんな。
紙を開く。
==明日10時 カフェたちばな==
==ご要望 イケメン==
イケメンって、ストレートやな。
んー。でもちょっと楽しみ♪
翌日少し早めにカフェに着いた。
いつものついたての奥へ。
マシロと、オレンジジュースを飲みながら待つ。
んー。まだかなぁ。
ちょっとドキドキするなぁ。
5分過ぎた。
カラン。ドアが開いた。
「あー、ごめんごめん。待たせちゃったかな」
現れたのは、目がくらむほどのイケメン。エルフ。
「僕、ハーブティーね」
爽やかに笑うイケメン。
「はじめまして、僕はエルディウス ラファミール。エルディーって呼んでね」
「あ。カツミです。よろしくお願いします」
ニッコリ笑って長い脚を組んだエルディーは、青い目に長いまつ毛。長い金髪を柔らかく編んでいる。
あかん。
これヤバい。綺麗すぎ。
見とれていると、ポン♪と違和感センサーに黄色が灯る。
いやいや。
「かわいいね、この子。名前は?」
「あ、マシロです」
「マシロちゃん」
エルディーが手を伸ばすと、マシロはひょいと飛び退いて、私の肩に乗った。
「恥ずかしいのかな、あはは」
エルディーは話し上手だ。
エルフの住む森のことを、面白おかしく話してくれた。
気づくと30分以上経っていた。
「なんだか僕ばっかりしゃべっちゃったね。カツミさんって聞き上手だね」
「いえいえそんな」
「また今度、ゆっくりお話しましょう。僕もカツミさんのこと、知りたいし」
「え。はい。」
「ごめん、今日はこの辺で」
エルディーは爽やかに片手を上げて出ていった。
「ふー。素敵だったぁ」
ちょっとスキップしたい感じ。
「きゅる?」
「あれ、マシロは好みじゃないの?」
「......」
「あ、もうこんな時間、お店に戻らなきゃ」
カフェを出て顔を上げると、ずーっと向こうに。
あれ?エルディー?
隣に、女?
腰に手を回してる?
てことは......
これかー。違和感センサー。
優秀やな、危ないとこやった。
「ねえマシロ、あんたわかってた?」
「きゅ」
あー。バカなんは私だけか。
ギルドに戻ると、またクニオがとんできた。
「カツミちゃーん」
「はぁー」
「すっごくきれいな子だったでしょー。ギルドNo.1だよ」
「まるでホストやな」
「あれ?」
「あんなぁー。二股かけるやつは要らんし」
クニオにいきさつを話すと
「まぁエルフってモテるんだよ」
「なら何で婚活するんよ」
「結婚したかったんじゃない?
たぶんきっちり線引きするんだよ」
「いや何に線引くねん。ええ迷惑や」
「んー。だってさー」
「あー。あんたもおんなじやもんな」
「いや僕は違う。神は一夫多妻なんだ」
「もういい」
「えぇー」
スセリが来た。
「ごめんねカツミさん。うちのバカが」
うわ。バカって。
「これに懲りずにまた来てよね」
クニオ、スセリに耳を引っ張られてズルズル退出。
「ほんまにもう。これやから男ってのは.......」
ふぅ....
しばらくお休みしよ。婚活。
なんだかイライラする。
店でオモジイにぼやいた。
「そう言うてやるな。
クニオはな、そういう仕事なんじゃ。
それで国が作れた。
ただの女好きじゃないんじゃよ」
わかってる。それくらい。
でもスセリさんだってさ、きっと我慢してる。
「スセリはわかっておる。その上でクニオを愛しているんじゃからな。
じゃから2人でギルドなんぞやっとるんじゃ。
カツミよ。もうちいとオトナになれよ」
..….そうやな。
ちょっとクニオに当たりすぎたかも。
「うん。明日謝りに行くわ」




