表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣のクラスの「氷の令嬢」が、隣の部屋で空腹のあまり倒れていた件。〜胃袋を掴まれた彼女が、俺の前でだけ「ふにゃふにゃ」になるまで〜  作者: 比津磁界
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/220

第89話:溶けた不安と、気がついたこと。

親友・陽菜ちゃんとの密談。

なにか掴めるといいですね!

最初は、ただの「救世主」だった。


ボロボロだった私を救い、生活を整えてくれた、頼りになる裏方。


でも、いつからだろう。


彼が作ってくれる味噌汁の匂いに、子供みたいに安心するようになったのは。


彼にマッサージをされている時、本当はもっと「このままでいたい」と願うようになったのは。


「……私ね。たぶん、彼に『甘える』のが怖かったんだと思う」


絞り出すように、私は言葉を紡いだ。


「サポーターとして完璧すぎるから、私がわがままを言ったり、女の子の部分を見せたりしたら、この心地いい関係が壊れちゃうんじゃないかって。……でも、昨日のあの時。ブラジャー姿を見られた時、最悪だって思ったけど……。どこかで、『彼ならいいや』って思っちゃってる自分がいたの」


「…………」


「私を救ってくれたからじゃない。……朝陽くんが、不器用で、真面目で、時々ズレてて。それでも私のために必死になってくれる……その『全部』が、もう私の中で、代わりがいないものになってるんだと思う」


言葉にしてみて、初めて気づいた。


私はもう、彼がいない生活を想像できない。


それは仕事のパートナーとしてだけじゃなく、一人の男の子として、私の隣にいてほしいという「欲」だった。


「……なんだ。凛、もう答え出てるじゃん。瀬戸のこと、好きなんだね」

「男の人として好きかは…まだわからない…かな…」


陽菜はふっと柔らかく笑い、私の頭をポンポンと叩いた。


派手なネイルが、私の髪を優しく撫でる。


「過去に色々あって臆病になってる瀬戸と、自分の気持ちに気づいちゃった凛。……いいじゃん、じれったくて。」


「……もう、すぐそういうこと言う」


「いい? 凛。彼は過去のせいで、自分から踏み込むのが怖いだけ。だったら、無理に距離を詰めたりとかしなくていい。ただ少しずつ少しずつ寄り添って、彼がいてくれることに心から感謝して、笑ってる。それが、彼にとっての『救い』になるんじゃない?」


陽菜のアドバイスは、私の不安をきれいに溶かしてくれた。


特別なことをしなくていい。ただ、私は私のままで、彼を信頼していればいいんだ。


「その内、凜の抱いてる感情が、恋なのかそうでないのかもハッキリすると思うな」


「……陽菜、ありがとう。なんか、胸のつかえが取れた気がする」


「いーえ。またパンクしそうになったら、いつでも呼び出しなさいね。その内ご飯食べに行っていい?」


「聞いてみるね!」


夕暮れ時。陽菜と別れて、一人アパートへの道を歩く。

カフェを出た時よりも、足取りは驚くほど軽かった。


(……サポーターだから、じゃない。朝陽くんが朝陽くんだから、私は一緒にいたいんだ)


アパートの前に着き、私は深く息を吐いてから、ドアノブに手をかけた。

「ただいま、朝陽くん!」


玄関を開けた瞬間、私は自分でも驚くほど明るい声を上げた。

それと同時に、食欲をそそるスパイスの香りが鼻をくすぐる。


「……お、おう。おかえり」


キッチンで鍋をかき混ぜていた朝陽くんが、びくっとして肩を揺らした。

ゆっくりと振り返った彼の顔は、今朝のあの「鉄の意志で目を合わせない」状態とは違い、少しだけ戸惑ったような、でもどこか安心したような表情をしていた。


「……早かったな。リフレッシュ、できたか?」

「うん! 陽菜といっぱい喋って、すっごくスッキリした」


私は靴を脱いで、そのままキッチンまで歩いていく。

朝陽くんが着ている、少し使い込まれたエプロン。その後ろ姿。

今までは「完璧なサポーター」に見えていたその背中が、今はなんだか、守ってあげたいくらい愛おしく見えた。

朝陽君への感情が少しわかった凜ちゃん。

恋かはまだわからなくても、接し方がわかってよかったと思います。


続きが気になる!と思ってくださった方は、ぜひブックマークや下の【☆☆☆☆☆】で応援をいただけますと嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ