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隣のクラスの「氷の令嬢」が、隣の部屋で空腹のあまり倒れていた件。〜胃袋を掴まれた彼女が、俺の前でだけ「ふにゃふにゃ」になるまで〜  作者: 比津磁界
第2章

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88/220

第88話:陽菜の分析と、素直になれない私の本音。

カフェの片隅で、ついに「女子会」が始まります。

出会いから三日間の濃すぎる思い出、そして昨日の大惨事。

一人で抱えるには重すぎた秘密を、凛ちゃんはついに親友・陽菜ちゃんにぶちまけます。

見た目は派手なギャル、中身は誰よりも友達思いな陽菜ちゃんが導き出す、二人の関係の「本当のところ」とは。

待ち合わせ場所の駅前に着くと、そこにはすでに陽菜がいた。

流行りのシアーシャツをさらりと着こなし、スマホをいじる姿は、遠くからでも目立つ。


「おーい、陽菜!」

「おっ、きたきた」


陽菜は顔を上げると、私を上から下までジロジロと眺め回した。

そして、不敵な笑みを浮かべる。


「今日は変装なし? っていうか凛……顔に『色々ありました』って書いてあるよ?」

「……やっぱり?」

「隠す気ないでしょ。っていうか、その服。おじいちゃん(瀬戸)を殺しにかかってるの?」


「殺してないよ! ……ていうか、そもそも見てもくれなかったし」

「へぇ……? 『見ないようにしてた』の間違いじゃなくて?」


陽菜は私の腕を掴むと、グイグイと近くのカフェへと引っ張っていった。

「さて。話を聞かせてもらおうか。おじいちゃん(瀬戸)と孫に何が起きたのか……一言一句漏らさずね?」


カフェの奥まった席に座るなり、陽菜はストローを指で弄りながら、獲物を見つめるような目で私を見た。


「まずは、その……『手を使わないマッサージ』を相談してきた凜が、どうやって今の『顔に色々書いてある』状態まで進展したのか。……全部聞かせてくれる?」


「……うぅ」

私は冷たいアイスコーヒーを一口飲んで、覚悟を決めた。

これから話すことは、きっと自分でも整理できていない「熱」の話になる。

朝陽くん、ごめん。……全部、話しちゃうからね。



カフェの隅、結露したアイスコーヒーを前に、私は出会いから今日までのすべてを話した。

スランプでボロボロだった私を救ってくれた、完璧すぎるサポーターとしての朝陽くんのこと。

事務的だったはずの距離が、いつの間にか「お姫様抱っこ」や「深夜のパスタ」でかき乱されていったこと。


「……で、気づいたら十日間だけ一緒に住むことになってて」


陽菜は、派手なネイルを施した指先でストローを弄りながら、一言も挟まずに最後までじっと話を聞いてくれた。


「……そっか。凛、本当によく頑張ったね。一人で抱えてて、しんどかったでしょ」


陽菜の口から出たのは、揶揄する言葉ではなく、私を労わる優しいトーンだった。


「……う、うん。でも、昨日のことが本当にもう……最悪で」


私は顔を真っ赤にして、昨日の「脱衣所ブラジャー鉢合わせ事件」と、その後の自分の「どうだった?」という自爆発言までを白状した。

話し終えると同時に、私はテーブルに突っ伏した。


「もうお嫁にいけない……。朝陽くんにも、きっと変な子だって思われてるよ」


「……ぷっ、あはは! ごめん凛、今の話はちょっと面白いわ。でもさ」


陽菜はクスクスと笑いながらも、身を乗り出して私の手をそっと握った。


「……凛、自信持ちなよ。瀬戸が凜のこと嫌いなわけないじゃん」


「いい? プレートのルールを徹底しようって言ったり、今朝わざと凜を見ないようにしたり。それ、嫌悪感じゃなくて『敬意』だよ。凜を大事な仕事相手として、一人の女の子として大切にしたいからこそ、必死に自分を律してるんだって」


陽菜の言葉は、派手な見た目からは想像できないほど落ち着いていて、すとんと私の心に落ちてきた。


「瀬戸はきすごく真面目だからね。凛が『臭い』って思ってるかもってパニックになって消臭剤買いに走るなんて、もうアンタに嫌われたくなくて必死なだけでしょ」


「……そうなのかな」

陽菜の言葉が、私の耳の奥で反芻される。

嫌悪感じゃなくて、敬意。私を大事にしたいからこその、必死の自制。

そう言われてみれば、朝陽くんの行動はいつだって私の「創作」と「プライバシー」を守るためのものばかりだった。


「……ねえ、凛。アンタにとって、瀬戸ってどういう存在なの?」


陽菜が、覗き込むように私を見た。その瞳は、茶化すような光ではなく、親友として私の「本当」を知りたいという、深い優しさに満ちていた。


「どういう……って……」



私はアイスコーヒーの氷をカラリと鳴らした。

朝陽くんを、どう思っているか。



第88話、ありがとうございました!

陽菜ちゃん、見た目はギャルでも、凛ちゃんのことを一番に考えるいい人でしたね。

朝陽くんの頑なな態度を「誠実さ」と捉える彼女の視点は、迷える凛ちゃんにとって大きな道しるべになったはず。


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ギャルはエスパー。これ常識ね!
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