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隣のクラスの「氷の令嬢」が、隣の部屋で空腹のあまり倒れていた件。〜胃袋を掴まれた彼女が、俺の前でだけ「ふにゃふにゃ」になるまで〜  作者: 比津磁界
第2章

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第75話:お好み焼きと、猫プレート。

今夜は二人でお好み焼きです。

同じキッチンに立ち、同じ食卓で笑い合う。

しかし、夜が深まるにつれ、朝陽くんは「サポーター」として、そして「一人の男」として、徹底的なルール遵守を自分と凛ちゃんに課します。

「凛、野菜切るのが上手くなったね!まだ少し危なっかしいけど……。」

「ほんと!?ありがと!まだまだ練習しないとね!」


キッチンには二人の影が並んでいた。

これまでは僕が作ったものを届けるだけだったが、今は隣で彼女の危なっかしい手元をハラハラしながら見守っている。


「ほら、貸してみろ。……左手は添えるだけだ。こうやって……」

「わぁ、やっぱり朝陽くんがやると全然違うね。……なんだか、こうやって一緒にご飯作るのって、家族みたいで楽しいな」


「……サポーターと依頼人だろ。ほら、生地。ダマにならないようによく混ぜて」

「…はーい! ねえ、マヨネーズで猫の絵を描いてもいい?」


数分後、焼き上がったお好み焼きを囲み、いつもより数倍賑やかな食卓。

「……美味しい。今日色々あったけど、いつも通り朝陽君のご飯が食べれてよかった」

「……そうか。……ほら、冷める前に食べろ。野菜もちゃんと摂るんだぞ」


食後、買ってきた日用品を片付けていた時だった。

凛がパジャマを抱えて、ふらっと脱衣所に向かおうとする。


「……あ、凛。待て」

「ん? なあに?」


僕は脱衣所のドア横を指差した。

「……札。ひっくり返してないだろ」


「あ……! 忘れてた!」

凛が慌てて戻り、猫のプレートを『空室』から『使用中』へと裏返す。


「マジで気を付けてくれ。お互いのプライバシーを守るためのルールだし、もし僕が間違えて開けたりしたら、この生活は続けられなくなる。……分かってるな?」

「う、うん。ごめんなさい……。朝陽くん、本当にルールに厳しいんだね」


「凛に安心して過ごしてもらうためだ。次からは忘れないでくれ」

「はーい……。気をつけますっ」


少しシュンとした様子の凛だったが、脱衣所のドアを閉める直前、「……でも、それだけちゃんと考えてくれてるんだよね。ありがとう」と小さく呟いた。


……心臓に悪いから、そういうのはやめてほしい。


お風呂上がりのリビング。

ドライヤーの熱気と共に、凛のシャンプーの香りが微かに広がる。

彼女はソファに座ると、テーブルに鏡を置いて化粧水を取り出した。


「ふぅ……。」

凛は無防備に、腕や足に手際よく化粧水を馴染ませていく。パジャマの袖を捲り上げ、しっとりと濡れた肌が街灯の光を反射している。


「…………」

僕は持っていた参考書を強く握りしめた。

ただお肌の手入れをしているだけなのは分かっているが、自分の居住空間に「女の子のプライベートな時間」が入り込んでいる事実は、想像以上に刺激が強かった。


「……凛、悪いけど」

「ん? どうしたの?」


「……お肌の手入れは、寝室でやってくれないか」

僕は顔を赤くして、視線を完全に逸らしながら言った。


「え? ……あ。……あぁっ! ごめん、私ったら、ここ朝陽くんの部屋なんだもんね! 無防備すぎた……!」

「……ルール以前に、目のやり場に困る。……次からは、そういうのは全部向こう(寝室)で済ませてくれ」

「う、うん! わかった、今すぐ行くね!」


凛は顔を真っ赤にして、スキンケア用品を抱えて慌てて寝室へ逃げ込んでいった。


その後、寝室の入り口で凛の仕事疲れを癒すためのマッサージを行った。


「……朝陽くんの指、ちょうどいい力加減。……仕事で腕が重かったから、本当に助かるよ」

「……凛、10日間我慢してくれ。 狭いし、僕が同じ空間にいて、落ち着かないだろ。…任せてくださいとは言ったが、やっぱり他人の男女がひとつ屋根の下は不安だと思う。ホテルとかの方が、気楽だったんじゃないか?って……。」


僕はマッサージをしながら、ずっと抱えていた不安を口にする。

「どうしてそんなこと言うの? 朝陽くんは、私にとって一番信頼できるサポーターだよ。……私は、ここに来られて良かったって思ってるよ」


「……そうか。ならいいんだけど。……とにかく、十日間、全力で支えるから。……寝心地が悪かったら、遠慮なく言えよ」


マッサージを終え、僕はリビングの床に最高級の布団を敷いた。

「……じゃあ、おやすみ。凛。……何かあったら、すぐ呼べよ」


扉一枚を隔てて、凛の声が聞こえる。

「……うん。おやすみなさい、朝陽くん。……あの、シーツ、戻してくれてもいいよ?」


「……早く寝ろ」


短く返したが、僕の顔は今、間違いなく誰にも見せられないほど赤くなっていた。

静まり返った部屋。

二人の、長い十日間が始まった。

第75話、ありがとうございました!

朝陽くんの徹底したルール厳守と、無自覚な凛ちゃんの距離感。

「猫のプレート」や「スキンケアの場所」など、一つ一つの動作が二人の緊張感を生んでいますね。


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