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何でサキュバスなの! ~VRMMO 8時間で別の人生を全うした件について~  作者: じゅんき
第四章

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310/311

見なかったことにしよう

朝食をいただいた後、コトネン伯爵にきちんとお礼を言って執事さんに見送られながら屋敷を後にした。

馬車に乗るように勧められたけど、街に行くくらいで馬車に乗ってどうしますかと丁重にお断りしたのだ。なだらかな坂道を下り、門番の人にもにこやかに別れの挨拶をした。


ああ、やっとこの街を出発できるわ!

職安ギルドもいい感じに運営できてるし、ホストクラブもなかなかの滑り出しなんじゃないかしら。もう後のことは残された人が頑張るべきでしょ。さっさとクラウンたちと合流しないとまた何言われるかわかったもんじゃないからね。次の街でもまたギルド立ち上げだったらどうしよう。もういい加減面倒臭くなってきたわ。もしそうならもう私がいなくても大丈夫だというのをきちんとわかってもらわなきゃいけないわね。


エリオットはというと昨日から領地の視察で屋敷を空けている。

その時に挨拶は済ませたんだけど、この街を発つときには冒険者ギルドに寄ってほしいと言われたのだ。二、三日前から次の街に行くまでの街道で凶悪な魔物が出たんだとかで出立制限がされているみたい。ギルドに行けば馬車を出してもらえるとか何とか言ってたな。

今からそのギルドに行くんだけど、両ギルドのみんなには昨日に挨拶しるからなんか気まずいのよね。




相変わらずこの時間のギルド周辺は閑散としている。

以前に比べれば職安ギルドに顔を出す人で多い方だけど、やっぱ歓楽街が近いからか夜と比べると全然ね。

ギルド内に足を踏み入れたけどやはり冒険者は少ない。受付も空いてるし、早く馬車の手配でもしてもらうかな。


暇そうな職員に近づこうとした時、ものすごい視線を感じたので何気なく掲示板の方へ目を向けた。

そこには冒険者らしき男性がこちらを向いて立っていたのだが、その姿を見て思わずハッと息を飲んでしまった。なるべく驚いたことに勘付かれないよう、私は単にそれとなく辺りを見回した感じを出して足早で受付に向かう。


あれはヤバいな。見なかったことにしよう。

普通の冒険者だと認識していたのだが、腹黒と同様姿形が一瞬にして変化してしまったのだ。白を基調とした金の刺繍が施されている漫画やアニメに出てくる教皇様のような煌びやかな衣装にジャラジャラとしたロザリオのようなものを首から下げている姿だ。そして人を小馬鹿にしたようなキツネ目にくすんだ金髪、もうこれ絶対に神族関係者でしょ。

無視しよう。


心臓をバクバクさせながら私は受付の女性に声を掛けた。

馬車の手配の件でと伝えると、聞こえていたのか奥からキヨラさんが出てきた。


「アリスはん、おはようさん。ちょっと困ったことになってしもたんよ。」


そう言って、ギルドの端の方に居た男性を呼び寄せた。

年の頃は二十代後半ってところかしら。冒険者っぽいけど、何?なんなの?まさかこの人が御者とかではないわよね?馬車が出ないとか?歩いて行けとかいうんじゃないでしょうね。


(ボン)がな、アリスはんのために馬車の護衛でBランク以上の冒険者を二人雇ったんやけど。一人しか行かれへんて、今さっき言いに来よったんよ。」


キヨラさんは呆れを通り越して頭を抱えている。

エリオットが私のために?そんなことしなくても一人で平気なのに。


「すみません!あいつの前金は私の報酬から引いていただいて構いませんから。半額でいいので何とかこの依頼を受けさせてください!」

「そう言われてもなぁ、(ボン)からは二人て言われてるんよ。それに二人の護衛をつける約束で御者にも馬車出してもらってるさかいにな。」

「護衛依頼を受けないとBランクの査定が、、、。」

「そんな理由でお客さんを危険にさらすわけいかしまへん。査定がどうのこうのっていうのはあんたらが悪いんちゃうんどすか?逆に直前にキャンセルした相方に罰金もんやと思いますけどな。」


もう全面的にキヨラさんの言う事は正論でしかない。

どうやらもう一人の男性が昨日野良の立ちんぼとヤッちゃって病気うつされて寝込んでるらしいのだ。そりゃ自業自得でしょ。

なんだか雲行きが怪しくなってきたときに掲示板の近くにいたあの冒険者、もといジャラジャラロザリオ男が近づいてきた。


「よければついて行ってやってもいいぞ。」


出た!胡散臭そうなイケメンボイス!

この手のキャラには大概この声が当てられてるよね。正直言ってナッシュの次くらいに好きな声だわ。でも平常心、平常心っと。


「あんた、冒険者なんどすか?悪いけどこの依頼はBランク以上やないと受けられへんのんどす。」


キヨラさんは顎を上げながら値踏みするようにジャラ男を見ている。

確かパッと見は普通の冒険者っぽい格好をしてたと思うけどインパクトがないせいで低ランク冒険者だと思われているのかもしれない。人は見た目じゃないんだけどね。


「これでいいのだろう?」


そう言ってジャラ男が差し出したのは見たこともない木目調の薄い札のようなものだった。

目が点になる。いくらなんでもそれは無いでしょ、木の札って。狐か狸か!


「あら、Bランクやないの。それやったら話が早いわ、受けとくれやす。」


えーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

いやいやいやいや、変な木の札ですやん。鼻で笑いかけてたのに、逆に鼻水出そうになったじゃないの!もしかしてそれも魔法か何かでギルドカードに見えるようになってるの?ますます怪しい。ってか、何でついて来ようとしてるの、この人。



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