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何でサキュバスなの! ~VRMMO 8時間で別の人生を全うした件について~  作者: じゅんき
第四章

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カミさん

職安ギルドオープン当日はエリオットパパが顔を出してくれた。

公衆の面前に現れるのが久しぶりということもあって集客は上々だ。しかも馴染みのお年寄りや自営業の人なんかも来てくれているようで早速依頼を出している。ギルドカードは簡単な身分証にもなることから登録する人も多い。もちろん依頼を受けてくれる人も多かった。今日明日はジェシカさんも助っ人としてカウンターに立つことになっている。その後は王都に即行帰るらしい。一応王都からもう一人来てくれるみたいだけど、私が出て行ってから入った人だから名前は知らない。


そして我がホストクラブ従業員募集記事なのだが、一番見やすい位置にでかでかと貼らせてもらっている。

これはもう立場を利用した最大の特権ともいえる。やっぱより多くの人の目に留まらないと効果が期待できないでしょ。原稿もいかに気を引けるかに拘ってみたわ。



【夜の社交場で輝ける人、求む】

― ホスト & 黒服スタッフ募集 ―

「おしゃべりが好き」「清潔感には自信がある」「誠実さだけは誰にも負けない」

そんなあなた、夜の世界でちょっと輝いてみませんか。


◆募集職種◆

• ホスト (接客)

• 黒服 (ホールスタッフ)

どちらも未経験歓迎。副業でもOK。黒服は制服貸与。

「まずは雰囲気だけ知りたい」そんな軽い気持ちの応募も大歓迎。


◇応募条件◇

• 成人で三十歳以下の未婚の男性

(黒服は成人以上年齢制限なし・既婚未婚問わず)

• 週五日くらい入れる方(副業可)

• ホスト希望はおしゃべりが好きな方

• 清潔感と誠実さを大切にできる方


<勤務時間>

夕方六時から深夜零時まで。(時間相談OK)

「夜九時まで」「少し遅めから」など柔軟に対応。


!こんな人に向いてます!

• 人と話すのが好きで、気づけば場を明るくしている

• 夜の時間帯の方がテンションが上がる

• 誰かの“楽しい時間”をつくるのが好き

• ちょっと新しい世界を覗いてみたい


●店長からひと言●

「夜の仕事って怖そう…」

そんなイメージをひっくり返す、誠実でクリーンな職場です。

あなたの“人柄”がそのまま武器になる場所。


              ~ホストクラブ 『ナイト』 店長エンリコ~



どうよ、いい感じでしょ?

本当にきっちりとそう書かれているのかはわからないけれど。だって読めないんだもん。

で、店の名前は私が決めた。夜と騎士をかけた、ベタ中のベタ。これくらいの方がわかりやすくていいのよ。もちろん看板はギャランさんにギルド改築のついでに作ってもらった。キラキラしたイメージでとだけ伝えたのだが、まあこれがめっちゃ出来がいいのよ。木の看板じゃないわよ。鉄で出来たくにゃくにゃって感じの字体で、“いかにも!”っていうやつ。もうこの人、現代人なんじゃないのって思うくらい。


面接は今日の夕方から随時受付なのよね。

もちろんダラダラやるつもりはない。期間は三日、指定した時間に面接をして人数確保出来たら終了。時間厳守なのは基本でしょ。正当な理由がない限りこれが守れないような輩はアウトです。

面接官はエンリコさん、エンリコさんの奥さんと息子さんにやってもらう。私はこんな人材がいいよとアドバイスするだけ。最初のうちは参加するかもだけど、基本はエンリコさん一家に任せる方が後々のためにもいいと思ったからだ。奥さんと息子さんが普通の感性の持ち主であることを祈る。

いい人材が集まりますようにと祈りながらギルドを後にした。





何回見てもいい看板だわ~。

オシャレ感が半端ないもの。うっとりした気持ちでホストクラブナイトのドアを開けた。面接までの時間にある程度の打ち合わせをするためにエンリコさんと待ち合わせているのだ。薄暗い店内を進むと、二十席あるうちの一つに長い髪をひとつにまとめ上げた細身の女性がこちらに背を向けて座っていた。背中が丸見えの臙脂色のホルターネックのドレスを着ているようだ。はて、エンリコさんには準備中の看板を立てておいてと言ってあったのだが、お客様だろうか。どうしようかと立ちつくしていると、その女性がこちらに気付きカウンターの方に向かって声を上げた。


「エンリコ、お客様が入ってきちゃったわよ。」


その声は低く柔らかい。

言葉の端がそっと鼻先へ抜けていくような、そんな甘く湿った声だった。


「え?マジ?あ、ハニーちゃん!」


カウンターの下を整理していたのか、エンリコさんが顔を覗かせ手を振った。

ちょっと、女連れ込んでんじゃないわよ!打ち合わせだっつってたでしょ!相変わらずなパイレーツ衣装でこちらに小走りで寄ってくる。腕を思い切り捕まえて小声で意見した。


「何やってんのよ!お店のことについて話し合うって言ってたでしょ?どうして知らない女の人がいるのよ!」

「あ、あれ、俺のカミさん。キャサリンって言うんだ。よろしくな。」


カミさん?

えーーーーーーーーーーーーー!!奥様なの?嘘でしょ?全然イメージ違うわ!もっとなんかこう薄幸な女性像だったんだけど。思わずガン見しちゃったけど、色気のある美人さんじゃないの。逆になんでエンリコさんを選んだの?


「あら、あなたがハニーちゃんなのね。初めまして、エンリコの妻のキャサリンよ。」


少し首を傾げ、足を組み替えている。

不思議と嫌味が無く、思わずこちらがフードを取って深々とお辞儀をしてしまった。いいよな~、色気のある人って羨ましい。私なんかしゃべったら残念ってよく言われるもの。かと言って黙ってたらいけずって言われるし。どうしろって言うのよ。



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