ひろいんのきもち
しばらくして。
部屋のドアがノックされた。
「「あーけーて!」」
「まだいるんだろう緑羽」
「あなたに話があります」
生徒会のやつらか。
ヒロインかと強ばった緊張をとき、鍵を開ける。
「ごめん、わざわざ応援に来てくれたのに」
無理矢理笑顔を作り謝ると、会長が話し出す。
「あんなことになったからな。お前が気になってつけていたんだ」
「そうしたらあの娘が泣きながら部屋から出てきてさぁ」
「優しくするふりして聞き出したら、緑羽やっと振ったんだって?」
双子が楽しそうに続け、聞いてきたのに頷くことで返事をする。
「なんで自分が嫌われたのか理解していないようでしたので、私たちからもしっかりと説明しておきましたよ」
と、副会長。
そうか、ヒロインは自分が嫌われていることすら理解していなかったのか。
でも助かった。副会長から説明してくれたなら…
「…説明?」
「はい、そうです。全員がわかっていて恋愛ゴッコに付き合っていたことや、中でも貴方が一番逃げたがっていたこと、ついでに双子の見分けが彼女だけ出来ていないことまで全部話して笑ってやりました」
スッキリしましたよ。と笑う副会長。ものすごく満足気だ。
ゴッコ遊びと言いながらも案外ストレス溜まってたんだな。
「「目の前で指さして笑ったら、やっと本気で驚いた顔が見れたよ」」
双子まで。いや、こいつらは純粋に楽しんでバカにしたに違いない。
「最大の過ちは恋愛ゴッコに夢中で相手の気持ちを全く理解しようともしていないことだったからな。そこは泣くまで強めに説教しておいた。反省はしたようだったぞ」
泣くまでって、会長。
「それでな、緑羽」
会長が珍しく、言いづらそうにしている。
「ついでに聞いてみたんだが。お前一人に絞った理由」
「っ!続編が目当てなんだろ?イベントを無理矢理起こすくらいに」
また苛立ちが蘇り、吐き捨てる。
「それが違ったらしい。彼女は続編の存在を知らなかった」
「え?じゃあなんであんなことを!?」
「なんかねぇ、皆の前で緑羽に抱きつきたかったんだって」
双子弟の言葉。ちょっといみがわからない。
「クリスマスを過ぎてテニスに打ち込み出してから、前より格好よくなってたもんね、緑羽。成績もよくなったみたいだし、教え方が上手くなって声もかけやすくなったって噂されてたよ」
双子兄。誉めてくれるのは嬉しいけど、何を話している?
「つまり、逆ハーレムを作ったけど、その後で貴方が本当に好きになったそうです。ゲームで貴方に好かれている自信があるから強引に恋人になるのをためらわなかったし、イベントを利用してカメラの前で周りにもそれを知らしめたかった、と」
さすが副会長、わかりやすい。けど、理解できないぞ?
「ずっとゲーム感覚で生きてきたから、攻略対象を相手に表情を読んで気持ちを推し測ることをしなかったようだな。嫌われているというか、ドン引きされてるなど思ってもみなかったそうだ」会長まで。何を言ってるんだか。
「それじゃまるで、テニス関係なく本当に俺が好かれてたみたいじゃないか」
そう乾いた声で笑うと、その場の全員が一斉に頷いた。
え。なにそれ。




