もうにげられない
さんざん俺で遊んだあと。
「「これからも楽しみにしてるから!」」
そう言って双子は帰っていった。
うん、まぁあれでも一応心配して見に来てくれたんだな。
お陰で気も紛れた。
ヒロインの演技力で受けたダメージからも復活してきたぞ。
その後会長と副会長も来てくれた。
「ヒロインのアドレスを着信拒否したことで焦らせ、興味を持たれたようだな。本命になったことだし、カメラの前で抱き締めるイベントは逃れられないな」
「私たちはさっぱりと振られてきましたから、あとはよろしくお願いしますね」
と言って、購買の焼きそばパンを置いて去っていった。
いや、確かに焼きそばパンは好物だけど。できればそんなだめ押しでなく有効なアドバイスが欲しかった。
「今後、どうしようなぁ」
もう口癖になってしまったこの言葉を呟くと、ホスト教師が返してきた。いたな、そう言えば。
「適当に付き合って別れればいいじゃないですか、そんなのは」
皆さんそう仰いますけどね。それが出来るのは遊び慣れてる方々だけでヘタレな俺には難しいんだよ…
「それにもう、付き合うことになったんでしょう?」
「そうだった…」
続いて言われた言葉に、頭を抱えてうずくまる。
ヒロインはあのあと、休憩時間の度にやってきたが保健室には入ってこなかった。
代わりに何をしたかというと。
扉の前でやって来た噂好きの野次馬を集めて「翔くんは疲れて寝てるの!代わりに私が何でも話すわ!」と宣言したのだ。
そしてクリスマスの俺の行動を逐一語り「今日から付き合うことになったんだよ」「翔くんが一番好きだから、他の人たちにはごめんなさいしたんだ」と話しまくった。
なんとかしようと出ていこうとしたが、あの演技派ヒロインを相手にしてどんな弁明も出来る気がしない。むしろ利用されて終わるだろう。
そう考えるとなんの対処もできなかった。
この状況で、付き合わないなんて言ったらどうなる?
完全に俺がヒロインをもてあそんだ悪者になるだろう。
うん。完敗だ。
認めるしかない。俺は、ヒロインと付き合うことになった。




