ほすと、まじほすと
一限目授業終了のチャイムがなると、本当にヒロインが飛び込んできた。
俺は布団にくるまって震えながら必死で寝たふりをする。
「翔くんが倒れたってきいたんですけど!大会があるのに大丈夫なんですか!?もし出られなくなったら!」
「緑羽は奥のベッドで寝てるよ。単純な疲労だ。大会に向けて頑張りすぎたんだろう」
「よかったぁ」
安心したように座り込むヒロインに、ホスト教師が背後から抱き締めるように囁く。俺は布団に隠れて眺めながらホスト教師を応援する。
「そんなに緑羽を心配するなんて、妬けてしまいますね」
耳に吹き込むように言われたそんな言葉にヒロインは顔を赤くして答える。
「だって、緑羽くん、大会にむけて本当にがんばってるから」
「ふふ。本当にそれだけ?寂しいなぁ。この間まで僕にもいろいろしてくれたのに」
そういいながら頬をなで、髪を漉きながら背中へ動く手。ってこの雰囲気、俺、見てていいのか!?
「センセイはとっても魅力的だけど、気付いたんです。彼氏にするなら、誠実な人がいいって」
そうクスッと笑いながらも、撫で回されるままになっているヒロイン。
あれは本当に、無邪気に笑いかけてくるあのヒロインだよな?こうして直接変わりっぷりを見ると、心底恐怖を感じるな。
「それは残念。僕って誠実に見えない?」ホスト教師はいつのまにかヒロインを膝の上にのせ、横抱きにしながらなおも囁く。
どうしよう、このまま隣のベッドでとか、ないよな?
「だってセンセイ、こういうコト慣れてるし。いろんな娘としてきたんでしょう?だからもう、お・し・ま・い」
そう言いながらホスト教師の鼻をつつき、ヒロインは身を離す。
「じゃあ、また次の授業が終わったらお見舞いに来ますね!」
がらっと変わった雰囲気は、とても今までオトナな雰囲気を出していた人物とは思えない。
そのままヒロインは保健室を出ていった。
「ざんねん、僕はふられちゃった」
ホスト教師がそう言いながら楽しそうに俺を見てくる。
「どうだった?」
「どう…ってか、なんですかあのオトナな雰囲気!」
「僕に合わせるとあんなキャラになるみたいだねぇ。まぁ確かにキライじゃないけど、あんな会話を楽しむのも。でも本気になるには足りないな」
言いながらざっと髪をかき揚げるホスト教師。もはや教師が抜けてホストだよ、本物の。
「てわけで、本気で緑羽一人にしぼるつもりみたいだね、彼女。ガンバれ。とりあえず今日一日は保健室にいていいから」
そう言ってホストは机に向かって仕事をしだした。
二人とも、どこまで本気だったんだろう…演技派ってすごいんだな…




