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008 トライアル&エラー

ご愛読ありがとうございます。


拙い文章ですが、面白いと思って頂けましたら“ブックマーク”や“いいね”、“感想”等にて応援頂けると幸いです。


これらの応援は執筆に際しての大変励みなりますので宜しくお願いします。

こんにちは、フロレアールです。

一人旅開始3日目にして早くもトラブルに巻き込まれましたが無事に逃げ切ることが出来ました...よね?

日の高さから察するに時間帯は既に正午近い様です。

随分と遅くまで寝ていたみたいです。

前日は不寝番などで徹夜もしていた。

その上、2日間の慣れない徒歩移動による疲れもあった筈。

だから仕方が無いと思うところもあります。

でも、もっと早く、普段通りに起きていれば無用なトラブルにも遭遇せずに済んだかもしれない。

なので、今後はもう少し色々と気を付けることにしましょう。

誰でも失敗することはあるのだから同じ失敗を繰り返さないことが大事だと私は思うのです。


私は外套のフードを気持ち深めに被り、素知らぬ振りをして街道を歩く。

見た目が怪しいのは理解してる。

けれども、すれ違う人を片っ端から魅了するのも気が引ける。

だから当面はフードを被ったままの姿で街道を進もうと考えています。

と脳内ボッチ反省会を繰り広げつつ歩を進める。

私は時折振り返りながら風壁を確認する。

探知で五人組が風壁から抜け出してはいない事を確認している。

だが、探知範囲が広いため五人が一つの点にしか見えない。

これではいざっと言う時に目視確認が可能な距離まで接近しなければ反応が一人か複数人なのかが区別出来ない事に気付く。

その為、任意地点の部分的拡大が可能か試したところ呆気なく成功したのであった。

部分拡大はポップアップウインドウが該当地に重なる形で表示されている。

その小窓には赤い点が五つ集まっている。

どうやら五人組はドーナッツ状の風壁の内側中心部分に集まっており無事なようである。

風壁が消えるまで待てず無理に風壁に突っ込みでもしたら砂塵と共に風壁の渦に囚われて間違いなく命を落とすことだろう。

そうこうしてる内に五人組の赤い点が探知結果の隅っこに差し掛かる。

直径5m程の風壁がゴマ粒程の見た目になった頃にマナの抜け出る感覚が消えた。

どうやら風壁が意図せず解除された様である。

同じくして、閉じ込めていた五人組が探知の有効範囲から外れる。

このことから現時点での魔術行使の有効範囲外に達したと考えられる。

折角なので現時点の有効範囲を風壁の視認サイズから導き出してみると概算ではあるが2km程となる。


「ちょっと2kmって凄くない!?探知で相手の位置を把握して、遠距離からの魔術行使で攻撃すれば一方的に蹂躙することも可能じゃない!!」


とやや興奮気味に独り言をブツブツと呟いている外套のフードを目深に被った怪しいボッチが街道を歩いていた。



探知を発動させつつ歩みを進めていると、進行方向前方から距離が全く変化しない二つの点が徐々に迫ってくる。

距離としては1km程離れているので目視では確認できない。

その為、不気味さを感じても手の打ちようが無いのである。

そうして緊張しつつ歩み続けると目視で判別がつく距離となった。

それは何て事は無い、行商人風の男が荷馬車の御者をしつつ街道を移動していただけであった。


「うーん、探知の判別基準を改めないといけないかなぁ。攻撃すべき相手なのか視認可能な距離まで近付くとなると有効射程2kmの魔術が宝の持ち腐れになっちゃうしね。それなら離れた位置の物を見えるように魔術で何とかするのもアリかも。でも、遮蔽物とかがあると無理だしなぁ」


再び独り言をブツブツと呟きつつ歩いていると荷馬車がだいぶ近付いていた。

荷車を引く馬や御者を見ていると探知の丸い印は胸と言うよりも心臓を中心として示されている事が確認できた。

すれ違いざまに軽く会釈をして通り過ぎようとした時に御者の男が声を掛けてきた。


「こんにちは、少し尋ねたいことがあるのですが、お願いできますかね?」

「こんにちは、お答えできることであれば構いませんよ」


そう応えると御者は街道の隅に馬車を停める。

私は馬車の近くまで移動して話をを聞いてみることにする。


「わざわざありがとうございます。実は先にすれ違った人から貴方が進んできた方角で昨晩に大きな爆発音の様なものを聞いたと言われたもので何かご存知ありませんか?」


はい、存じているも何も私がやりました。

なんて口が裂けても言えない。


「...。そうですね、確かに昨晩大きな音は耳にしました。ですがアレが何の音だったのかは私には判りません。加えて私も音以外は何も分からないもので...、お役に立てず申し訳ないです」

「いえいえ、お気になさらないで下さい。足を停めさせてしまい、こちらこそ申し訳ないです。それではお気を付けて、引き続き良い旅を」

「ありがとうございます、そちらも良い旅を」


こうして御者とは簡単な受け答えを済ませて別れたのであった。


この感じだとかなりの範囲にあの(環境破壊)音が響き渡っており、それなりの数の旅人などに聞かれていると考えるのが妥当と思われる。

そうなるとあの五人組は自主的又は可能性は低いが何らかの依頼を受けて原因を探りに来たと考えるのが自然なのかもしれない。

砂塵混じりの風壁でコチラの姿は見られてはいないはずだが、念の為暫くは注意しておくことにする。

そうなると今のうちに取り掛かるべきこと、それは探知の改良である。

御者さんのお陰で改良が必要な点もみえてきている。

それに加えて爆発音についてもある程度知れ渡っている可能性も認識できたのも重要であった。

本当に感謝である。

改めて、ありがとう御者さん。

それでは早速だけど探知の改良を始めますかね。

これまでというか創りたての魔術だったので致し方がないが、これまでは一定の大きさ以上の生物を同色の赤い点で示していた。

その為、対象生物の位置しか判別が付かなかった。

それでも五人組と対峙したから分かるのだが、見えない相手の位置が判るだけでも優位性は段違いだった。

改善点の一つとして、赤色の点のみだった対象位置情報を複数色で表示することにする。

これが可能になれば、事前判別が楽となるし得られる情報量が格段に上がるとの結論に至る。

サイズでのフィルタリングは問題は無かったので変わりなく30cm以上の生物。

そして傾国の美貌を考えると人を捕食・蹂躙の対象としている生物、つまりは魔物やモンスターに強襲される危険性が私は人一倍高い。

このことから魔獣やモンスターは一目瞭然にしたい為、危険色の黄色とする。

そして傾国の美貌の対象となる人などの生物は私に対する精神状態で区分する。

緑:友好・従属、赤:敵意・悪意、灰:中立・無関心の計3色で状態を把握するものとした。

改良案考えもまとまったところで改良版の探知を早速試してみる。


「うん、これは良い。赤1色と比べて警戒すべき対象が一目瞭然なのが素晴らしい」


強いて言うならば、探知範囲内には進行方向の街道から外れた森に黄色と灰色の点が探知範囲のギリギリに見受けられる程度であり、当然ながら緑色の反応は一つも無い。

これは精神衛生上大変宜しくない。

探知結果を眺めているだけなのにSAN値がゴリゴリと音を立てて減るのを感じる。

くぅ、ボッチで悪かったわね。

ぐすん。

視野角を46度として遠近法の計算式から魔術有効範を導いた形です。


用いた計算式は、視野角θ、対象までの距離L、対象の視界での大きさ(H)として、


H=2L*tan(θ/2)


となります。


風壁の実寸5m、有効範囲が約2km、有効範囲ギリギリでの風壁の見た目がゴマ粒程で約3mm、これらを概算根拠としてみました。



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