009 魔改造
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私は改良を終えた探知を改めて確認していると街道後方に赤い点が現れていることに気付いたのであった。
どうや探知の改良をしながら歩いた為に歩行速度がかなり落ちていた様である。
この感じだと注意力も散漫になって探知の隅々まで意識がまわっていなかった様である。
尤も探知の有効範囲ギリギリの隅っこなので探知範囲内に入ってきてからさほど時間は経過していないと思われる。
「でも、赤ってことは私は敵意やら悪意を向けられてるのよね。心当たりは特段無い筈なんだけどって、ひょっとしてあの五人組か!?」
旅商人風の荷馬車の御者に対してヘイトを稼いだとは考え難く、真っ先に思い当たるのは風壁に閉じ込めた件の五人組である。
御者は私と会話の後に街道を進めば、風壁から出られた五人組と出会って話をした可能性は非常に高くなる。
私と五人組は、短いながらも受け応えを交わしている。
声から私が若い女であることは相手方に間違いなくバレてる。
加えて応対から一人でいた事も見抜かれている可能性も否定できない。
そう考えると五人組から若い女とすれ違わなかったかといった趣旨を尋ねられれば、御者は少し前に一人旅の若い女とすれ違い話しをしたと答えることだろう。
このままだとマズイかもしれない。
そう考えた私は街道を進むことを諦め、街道から離れた森へと進行方向を変えて急ぎ移動したのであった。
私は森の浅い場所から探知で状況を確認する。
後方の赤い点は何かを追い掛ける様に駆け足といった感じの速度で街道を移動してる様に見受けられる。
尤もいくら街道を急いでも私には辿り着けないけどね。
さて、現状の探知だと見れる範囲は広いけど複数人が集まっていたとしても判別ができない。
それならばと先程試した探知範囲内で任意指定したエリアをポップアップ的に拡大して表示させるイメージを改めて追加してみる。
あ、やっぱり赤い点が五個あるから、まず間違いなく風壁に捕らえていた五人組ですね。
探知さん、ありがとうございます。
探知反応や被疑者を走って追っていることから、どうやら五人組は激おこプンプン丸なご様子ですね。
私は一先ずはこのままやり過ごすことに決定である。
とは言え、ただ森に潜んでいても意味が無い。
探知の改造が捗っている事から、この際に魔改造を試みることにする。
「生まれたてなのにスパルタでゴメンよ。君は優秀な子だから更に成長できる筈と母は信じているのよ」
既に任意指定エリアの拡大ポップアップ表示は可能となったので、真上から見下ろす映像から視点をズラして様々な方向から覗き込むイメージを更に追加する。
「これ、自分でやっておいてアレだけど酷いわ。相手が何人いても遠方から配置とか丸わかりだもの」
こうなってくると魔改造は止まらなくなる。
想像が加速度的に広がり、欲求が溢れでてくる。
そう、この世界の魔術はステータスさえ行使要求値を満たしていればイメージしたことが事象として得られるのである。
私により生み出された探知魔術の魔改造は留まる事を知らぬとばかりに進み続ける。
現状の赤などの丸で示してた存在情報を実際の輪郭に這わせたモノへと変更する。
これによりに相手の体格を遠方からでも把握することが可能であり、魔物やモンスターの場合に至ってはある程度の種類までもが判別可能となった。
なお、輪郭表示は視認している視界にも反映され、遮蔽物の影に潜んでいる相手の姿すら容易に認識させるという酷い結果を齎したのであった。
加えて探知範囲の有効距離を把握出来ていたことから一目で概算距離が判るようにする。
自身の位置を中心点と交差する十字線と等距離の位置を繋ぐ円を線で描く事により対象との距離をひと目で判断することを可能としたのであった。
探知の魔改造に終焉が訪れた頃、件の五人組は私が街道から外れた地点を既に通り過ぎており、森から街道が覗ける位置に差し掛かっていた。
私から五人組までは直線距離にして約1kmほど離れていた。
残念ながらその姿は視認することが叶わない。
そこで私は御者を探知した際に考え付いていた、遠距離から対象を拡大して目視可能とする事を魔術として行使する。
魔術はイメージ通りの結果をもたらし、件の五人組をやや後ろ姿とはいえ認識することに成功する。
男3人に女2人との構成で見た目からは冒険者然とした印象を受ける。
装備からして、男3人が盾タンク、大型篭手を着けたブロードソード使いがタンク兼物理アタッカー、槍使いが物理アタッカー、女2人が魔術アタッカーなどの後衛なのだろう。
とその時、大型篭手の男が突如として私の方向に振り向いたのである。
私は一瞬目が合わさったと錯覚し慌てて身を潜める。
しかし実際の距離を思い出して身を潜めるのを止めて改めて五人組を覗き見る。
振り向いた大型篭手の男に対して、残りの四人が何か尋ねたり揶揄っているように見受けられる。
「ひょっとすると振り向いた男は何らかしらの感知系スキルで私が覗いていたのを感じたのかも。これ以上覗いても特に得るものも無いのでリスクを負う必要も無いわね」
そう小さく呟きフロレアールは身を潜めながら五人組が探知の範囲から抜けるまでの今しばらくの間、探知をに意識を割り振りつつ身を潜めて過ごしたのであった。




