いたちごっこ
帰ってきて、麦茶を飲みながら改めてトウモロコシ。
「とりあえず青春っぽい事がしたかったぁ?」
「ほら、奏は男女両方だから俺は一人でどっちも体験できないかなと」
「青春ってエロゲだっけ?」
「エロゲじゃない!ありがちを体験したいだけ」
ありがちな青春って…。
だいたい、ラブホで雨宿りするのはエロ漫画の中の青春だろ。
…自分で言っといてなんだが、エロ漫画の中の青春ってなんだ。オレはそんなただれた青春に用はない。
ヤられる側になりそうだからな…。
まぁ、海人はオレ以上に自重がきくけから無事でいられたんだが、他のヤツとは一緒にいられねぇよ。
「この夏休みだけで色々やってみたいんだよ。頼むから付き合ってよ」
「まぁいいけど業腹だな」
夏休みだけで、ありがちをなんここなすつもりやらな。
「ありがとう」
トウモロコシにかじり付くと正面から麦茶がバッシャ。
「…濡れちゃったね」
空のコップを持って笑う海人。
イジメ?え、なんでいきなり?
顔からトウモロコシから滴り落ちる麦茶を、呆然と見下ろしていると「急いでタオル持って来るよ」と、爽やかな笑顔のまま風呂場に消えていく海人。わかんない。今あいつが何を考えてるのかがわからない。
「いまお風呂沸かし直してきたから」
「????」
戻ってきた海人は、躊躇うことなくオレの身体をバスタオルで拭き始める。
それも、おっぱいがとか言う問題でもなくただ事務的に
もしかして脳に何か?いやでも、頭打つような事なんかなかった。
麦茶にお酒でも混じって…る訳ないな。
さっきお茶パック入れたばっかだし、混ざりようがない。
コーラで酔っ払う人も居るとは聞いた事あるが、麦茶じゃ聞かないし。
「もうすぐお風呂に入れるから」
「まった。離して。手を離せ
脱衣場に連れてこうとする海人手を振り払い正面に向き直る。
「麦茶をかけられた意味がわかんないけど、不満があるならいま言って欲しい」
正直、気が触れたか何かとしか思えない。
「…協力してくれるって言ったから、女性にお風呂を貸して出てくるまでのモヤモヤした雰囲気を味わいたいなって」
これは間違いなく壊れてる。
「麦茶ぶっかけてまでやるかフツー」
「カルピは外道すぎるし、ちょっと濡らしたくらいじゃ奏は風呂入らないと思ったから…」
なんでお前が困り顔で答えてんの?
心底困ってんのはコッチだよ。
青年誌とかラブコメならありがちだけど。
なんつー力技でイベントおこしてんだよ。
手が滑ったとかならまだしも、友達に麦茶ぶっかけてまで引き起こす意味がわかりません。
「お前が居る時間に、散々美幸や三崎ちゃんと春香ちゃんが風呂場使ってるだろが」
「…二人きりじゃないし」
そりゃ、確かにオレやら居るけどな。
「人んちじゃなくて、自宅の風呂場でやってこい」
ここオレんちだからな?お前の言うシチュエーションと絶対違ってるからな?
「じゃあ、間違えてお風呂の最中に着替えに行くから待っててよ」
…海人。ホントに頭大丈夫?




