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下火



海人の、女の子からのオファーが下火になり、休み時間はもっぱら二人で話をしてる…。


女の子達は、海人から女の影が見えるから、遠巻きにする事にしているらしい。


らしいと言うのは、海人と一緒にグループで遊びにいった連中に聞いたからだ。


そっちも、仲良い同士で分裂し、固定メンバーができていると言う。


ーその集まりに誘われたかった。


晴れてフリーになった海人は、休み時間の度に席まで歩いてくる始末だしな。


女の影ね…。


オレだって、四六時中海人と一緒な訳じゃないからな。


知らない事もある。と言うか、コレは知らない方がいいだろう。


てか、ガハガバなのもどうかと思うけど、お前のガード堅過ぎないか。


私生活から、女っ気ないのに、女の影とはこれ如何に?



夏休みまで後数日と迫ったある日の朝。


「あっ?」


一緒に登校してきた海人が、下駄箱を開いて面妖な声をあげた。


固まった海人の隙間から覗けば、下駄箱の中にピンク色の封筒が入ってる。


俗に言うラブレターと言う奴だろう。色からして、わかりやすくて中々よろしい。羨ましい。


「とりあえず。内容は胸の中にしまっとけよ?」


目で訴えかけてきてるけど、恋愛相談は受け付けません。


友人に見せたりすんのは、送り主からしたらプライバシーの侵害だからな。


「帰ってから読めばいいか…」


そう呟きながら、カバンに手紙をしまったんだが?


「持ち帰んな。とりあえず人気のないとこ探して今の内に読んでこい」


普通、ラブレターの呼び出しって言ったら、同日の昼休みとか放課後とかが定番だろ。

それなのに、どうして手紙のお持ち帰りなんて答えが出たんだよ。


「…わかった」


すっげー面倒くさそうな顔してる。喜べとは言わないが、もうちょっとこう何とかならない?


「ラブレターってさ、大概知らない人からだから、あんまり好きじゃないんだよね」


余裕か貴様。それとも、休み時間に廊下に呼び出されて、お前へのラブレターを手渡された経験のある俺への当て付けか?」


一回二回じゃねぇぞ。手足の指で数え切れないんだからな。


ああ、そうだよ。その度に純情弄ばれたよ。


最後にゃ、そうした呼び出しの区別ができる様になったくらいだからな。


最悪だよ。面識ないの呼び出しといて渡して欲しいとか言う奴は正直頭ん中おかしい。

恥ずかしくて、意中の人の友人を頼るにしても、呼び出されてラブレターを渡された相手の尊厳を軽く無視してると解ってない。


なに、可愛らしさの演出効果でも狙ってんの?


今回のは、直接下駄箱に入れてるあたり、まだ好感が持てる。

「わかった。先に教室行ってて」


「あいよ…ってどこ行った」


カバン持ったまんまトイレ行ったけど、まさかの個室すか。


それ、一応ラブレターぞ。


確かに人目につかない場所だけど、 読む雰囲気は大事にしてやれよ。


結果、放課後しばらく教室で待たされる事になったんだが、告白されるとわかってて、普通に一緒に帰ろうとしてる海人もどうかと思う。


案の定。奴は一人で戻ってきたが、何故か超不機嫌だったので、余計な口は挟まない事にした。



バックドラフト現象

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