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七夕

七夕祭り。


高校付近の商店街のイベントと違い。当日限定だが、子供会による笹の飾りつけから始まる地域限定のお祭りだ。


公園内限定だが、自治会が出店をだし、お昼から夜の花火まで賑やかなイベントだ。

近所の人しか来ないから安全。

夕方から、フェンス沿いの空きスペースは、ブルーシート持参したおっさん達の酒飲み場となる。

自治会の焼きそばフランクイカ焼きがつまみになる様子。


おかげで、昼夜通じて公園内は安全である。


会場中央に設置された数本の笹は七夕飾りで盛りに盛られているが、願い事を書いた短冊は日が落ちてから参加者全員で飾り。


お祭りラストは、照明を落とした中での花火。

事前に下処理(移動・切断)された七夕飾りは、ラストのナイアガラの前で火をつけられ、短くも壮絶な最後を迎える。



その当日の昼。


自宅に一人。水色と藍の甚平で待機していたオレは、ネズミ色の甚平をきてきた海人を出迎えた。


「…あれ、美幸ちゃん達は?」

「チャリで出掛けたまま帰って来てない」


昼間っから中学生の安全を気にするほどじゃないし、ベランダ側から祭り会場は見える。


祭り以外の場所に行ったみたいだから心配するだけ無駄。


海人は来たし、売り切れる前に食料買いに行くか。


「もう少ししたら、一人でイカ焼きだけ買いに行こうかと思ってた」

「ああ、イカ焼きは毎年売り切れるの早いからね」


毎年、日が落ちるまであるのは、カキ氷の出店のみ。イカ焼きに至っては下手すると四時前にに品切れになってしまう。


毎年、フランクフルトを食べながら回りエコバッグに入るだけ買って、後は部屋でゆっくり食べる。


両親とも会場に行っているが、夕飯を兼ねた焼きそばは、二家族分買い込む必要がある。


夜は、海人の両親を交えた大人達の酒盛りがあるから、大盛イカ焼きそばと称し、フライパンで纏めて炒めれば、大人達のツマミくらいにはなる。


「てか、お前は携帯買ったんだから少しは電話しろよ」


朝は下で合流するが、基本的に下まで来たら家に電話すれば、オレが降りてくだけで済むんだからな。

四階まで上がらないですむから楽なはずだぞ。


「わざわざ、電話する程の距離じゃないよ」


「わざわざ登る必要もねぇよ」

そうして、男二人の買い出しは、何のイベントもなく終了。


―とは行かなかった。


こう、非常に海人がイケメンであると言う事を、フワッと忘れてはいけない。


最近騒がれなくなっていたから、ついつい忘れてしまったが、海人はモテる。


女の子のみならず、近所のオバチャンからオネエサマまで幅広く声を掛けられる。


気が付けば、日が暮れるまで一緒に居させられていた。

一度ある事は二度あるとは言うが、先に帰らせてくれればいいものを。

ギャルの巻き添えにされぬよう半歩下がろうものなら、手首掴んで“一人じゃ逃がさないよ”とか…。


流石にそれはヒドいと思う。

男装備だから暴れる事も出来ないっての。

そのあたりわかってるか?


とっくにイカは冷めて冷たいしよ。


「酷い親友が居たもんだ」


「いや、おかげで自由に回れるようになったんだし」


一通り話込んだ上に、“生贄”引き連れてるからな。


てか、せめて中学の知り合い連中は遠慮しといて欲しかった。

「買い出し中だからとか言って切り上げたらよかったのに」


知り合い居る所に、いちいち顔出すから余計時間かかるんだよ。


「いいじゃん。高校生だし近所のお祭りなんだからさ」


知り合い連中は、面白がってすれ違い様に写メ撮ってったりするし最悪。昼間も、海人と一緒じゃなければ、ノンビリ見て歩けたんじゃないかね。


…まあ、笹か屋台しかないから長くても一時間で帰れたはずなんだよな。


五時間を超えるロスタイムは想定してないのに、早くに帰りたくて焦っても、全然帰らせてくれない。


今も、どこに向かうでもなく、ゆっくりと歩かされている。


何コレ周りの微笑ましい視線がイタい。


「そろそろ花火始まるから、おじさん達の所行こうか」


「わかったから、あんま動すなよ」


大人達の溜まり場であり、元焼きそば売り場に向かう。


毎年。同じ組が同じ出し物してるんだが、役員以外は自由参加のハズなのに、毎年作業が始まると最終的に馴染みの面子が混じってるのが不思議と話していた。


楽しんでいるようで何よりでは?


ウチの組も周りと同様に、既にテントは方されて、ブルーシートの上に集まって酒を飲んでいた。


一杯百円と子供向けの価格なんだが、今年のカキ氷も終わる気配がない。


「とりあえず暑苦しいから手を離せ。手のひらじっとりして気持ち悪いんだよ」


あと、若干ヌルヌルしてる。


「キモ…わかった」


「はぁっ、マジで赤くなってるし」


無闇に抵抗しながら掴まれてたせいか赤くなってた。

力は入ってなかったし。怪我だ痣だじゃなくて、摩擦と密封されてたのが原因だな。


海人は、放した手をポケットに突っ込んでんだ。


「さり気に、その手でチンポジやめろ」


「違っ、してないからね!?」


長時間繋いでた上に、反対の手は荷物持ってたんだから、チンポジくらいは仕方ないが…。掴んでた手を、見えない場所に忍ばせてのチンポジは、下心ありそうだから勘弁してくれ。


「次に両手塞がったら、チンポジのサポートしてやるよ」


「収まりつかなくなるから絶対やめて」


手首痒い。

父さんとこ着いたら、氷とビール浮かんだバケツで手拭い冷やして巻いとこう。







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