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七夕は縁結び

―七夕ってなんだっけ?


織り姫と彦星が年に天の川に一度だけかかる鳥で作られた橋を渡って逢瀬をする日。


年に一度願いが叶うか日って事で、短冊に願い事を書いて飾る日か。

改めてよく考えたら、クリスマスより重要な日なんじゃなかろうか…。

てか、織り姫彦星って夫婦で別居だっけ。それとも、ただの想い人同士?


どちらかが浮気してたような気もした。


なんにしても、牛丼食べながら考える事じゃないな。


―うん。


「それなら。夕方から彼女達を誘っとけ?」


「なんで」


「オレたちが帰ったら暇になるだろ」


七夕祭りの本番は夜だ。


電飾とか屋台のせいで明るくなるから、星なんかまったく見えないだろうけど、浴衣の女の子くらい見せてくれるだろう。


「家の子達は甚平だからな」


浴衣柄だが、甚平は甚平。


「浴衣着て来いとか、どんだけ本気なんだよ」


「浴衣美少女を見たくないか?」


「だからって、彼女達は誘わない」


「なんでよ」


「地区も違うし、自治会のお祭りは商店街ほど賑やかじゃないじゃないか」


近所の広場。自治会のお祭りに彼女を呼ぶ本気。


イマイチだな。


「そこは、商店街のデートに誘えよ」


選択肢が間違ってるわ。

自治会の祭りに他の学区の子達呼んでどうするよ。


「…だから、どんだけ浴衣好きなのってなったらどうすんだ」

「あれ、去年は事あるごとにカナちゃんに浴衣を着させようとしたくせに」


「そりゃ、あの肌に浴衣は似合うだろうからな」


「残念。今年は、ガッツリ焼ける予定です」


去年は、日焼けしなくてもやしっこだったが、サーファー並みに黒くなる予定だからな。


OLさんに、サンオイル塗ってちとか頼まれちゃったりとか、どーするよ?


どーーーするよ??


うへへ。今年は夏が待ち遠しいわ。


「奏は年中夏仕様だから今更な感じ?」


笑いかけてくるが、海パンの事か?


「女物の下着で目覚める高校生男子になって欲しいか?」


「ちょい待ち。俺別に海パンを悪く言ったつもりないからな!?」


「いや、上の外し忘れした奴と肩を並べて登校したいのかなと思ってさ?」


店内なのでオブラートにブラを上に言い換える。


「人から見たら致命的だけど、俺が気づくよ」



SNS投稿されたら社会的にアウトだ。変態のレッテルなんか貼られて学校も行けなくなる。

下着は、ユニセックスとかないんだから、下着と性別の話はノーセンキュー。


元々男のニョタに女物履かせる作品は間違いなく鬼畜だと思う。 見開きは、“史上初、海パンニョタキャラ”?

小さい頃から性格変わってないから、健気でも薄幸でもない。

「肩幅もちがうから、サラシ巻くと朝死にそうになるし、ブラだってホック壊れるし、そんな簡単な話じゃないからな」



「…女性用のカッコイい水着とかは?」


「海パンと違って値段が諭吉さんになる」


やっすい海パンは500円とかだが、男物と違って女物って高いんだよ。


そんな中で女の子達は自分に見合った物を求めて街を彷徨うわけで…。


「ネットで買うとか…」


「安いらしいけど、予算がないしサイズもわからない」


身体測定は男だし、スリーサイズなんか計った事ないんだよ。


「出来れば、一生計らないで過ごしたいんだけどねぇ」


「当事者にしかわかんない悩みか…」


ホントは、こんな馬鹿らしい悩み海人でも打ち明けたくなんかないんだが?


「マンガみたいに、急に女の子の仕草とかに目覚められても俺が困るけどな」


ああ、あるね。


ニョタして、いきなり男に恋して女らしくして失恋したりするマンガ。


「…小さい頃からだから、そのあたりの意識は男女で統合出来てるんじゃないかな?」


精神的な変化はない気がする。


「俺も、奏が男女で性格違ってたりしたら、付き合いきれなかったかも知れないしね」


「意外に辛辣…」


「それと比べたら俺なんかホントに普通高校生なんだよ」


―そうね?


ニョタする事に比べたら、海人は意外に普通だよね。

誰がどうこうじゃなくて、オレが一番変なんだ。女帝アマゾネス・イケメン。 状況を鑑みれば、わりかしそれらも普通に見えてくるな。


生まれながらの変態でスイマセン。


「見捨てないでくだしゃぁ」


「骨くらいは拾ってやるから安心しろ」


それ、どんな状況でしょう。


「それから、今年は海の家でバイトするんだろ?」


「にゅっ!?」


「何、知らないとでも思ってた?」


なんで海人に知られてんだ??

「…どうして?」


「美幸ちゃんとおばさんとおじさんからだよ」



ちょ、身内ーーーー!?


「奏一人で、行き来するつもりだったみたいだけど、おばさんが何かあったら怖いから絶対ついて行って欲しいって言われて…て、お店出て歩きながら話しようか」


まさか、いつもは軽めの大盛牛丼が、胃を重くする日が来ようとは…。




帰り道。チャリを押すからだが重い。


まったく走らせようとしないでくどくどと文句を言い続ける海人と二人で亀ようにゆっくりとした歩みが続く。


ここで、海人置き去りにして爆走したらメチャクチャキレるよな?


「俺言ったよね。夜になれば美幸ちゃんと同レベルか上の美少女になるって。それなのにチャリで移動?世の中バカにしてんの?安全な訳ないじゃん」


「ホントにスイマセン」


「ほんとにキレたいくらいだね。普段外出なんかしないクセに、こんな訳わかんないとこで行動力発揮しちゃってさ。怒って当たり前だよ。おばさんが、バスと電車賃くらい出すから行き帰りは電車だよ」


恐ろしいくらいに冷えめた目で見つめてくる海人。

心配されてるのはわかる。それでも、友達なんだからちょっとした自由くらい許されて然るべきではないだろうか。


「バイト…。やめた方がいいか?」


「ヤケに起こすなよ。俺も海で遊べるのは悪くないし、絶対にバイトは行くからね」


「じゃあ、なんでそんな怒ってんだよ」


「抜け駆けして、一人だけで行こうとした事だよ」


「でもほら、女の子か面倒とか言ってたじゃん!?」


「大学生とか、大人の女性にちやほやされるなら、誰だって大歓迎に決まってるだろっ!?」


オレの言葉に、激しい反論を返す海人。ヤベェ。モテモテのイケメンが“どうしようもない”フツメンに見えるってどうゆう事?


「ヤッパリモテたいんじゃないか」


「激しく違う。奏は全然わかってない。ちょっと家じゃなくて近所の公園で話ししよう」


公園って、そろそろ暗くなりそうだから、家の中とか…。


「俺がいて近所なんだから大丈夫だよ。そんなの気にしててどうして1人でチャリで帰ってこれるんだって話しだよ」


チャリを公園の入口に止め自販機に向かう海人。

ちょっとキレてる所か、マジ切れしてないか?


「はい、ミルクティー」


「あっつ!?」


夏なのにホットを買って渡すさり気なさ。

なんで、夏なのにホットのミルクティー入ってんよ。お陰で取り落とす所だったわ。


「とりあえず座って、買い間違えてアレだけど。俺は怒ってる訳じゃないからね」


「絶対怒ってる!?」」


そうでなきゃ、買い間違えなんかしないし、奢っておきながら飲めないとか嫌がらせ意外の何者でもない。

渡されたミルクティーをリュックのポケットねじ込もうとした所で、両肩を掴みながらベンチに座らされ、そのまま話を始める海人。


こうゆう人は絶対メーター振りキレてる。



「わかっ、落ち着こう。マジ落ち着こう」


てか、一緒に買ってきたコーヒーは今の振動で下にに転がってるあるけど、もしかして空?

いつ飲み終わった。


やべぇ。幼なじみでもイケメンに肩掴まれて見下ろされると威圧感ハンパないっ?!


「大学生とか居て危ないって聞いたし、俺だって心配くらいするよ」


「ああ、ヤリサーとかよく聞くけども…」


「ヤリサーじゃなくても危ないんだよ」


余計な口挟むと余計怒られる。

「下宿先も一緒なら安心出きるし絶対ついてくからね」


「女の子が釣れそうだな…」


「例え釣れても、奏の送り迎えが最優先だし、学校ある間は日焼け止め塗るからね」


「えぇーっ」


「だって、他にバイトがバレたら後々面倒くさい事になりそうじゃない」


どちらにしても、近場なら遭遇しそうだけど…。


「後、夜は下着つけないならパーカーかジャケットくらい羽織ってもらうからね」


「え」


「俺はともかく他人に下着もつけずに見せて歩くの誘ってる以外にあり得ないよ」


「制限増えすぎ」


「今までの奏が無防備すぎただけで、普通ならありえない話だよ」


夜なんて回覧板くらいしか来ないぞ。それだって美幸とかに任せてるけど、危険なんて無かったけどな。


「その返は、俺は美幸ちゃんも甘いと思うからね。今度は遅くまで美少女一人しか居なくなるとか無防備すぎてないかな」


…………あ。


「オレがバイト行くと美幸だけにな、る?」


「そうゆう事」


そこまで考えてなかった。

いや、土日はそれでもどっちかいるだろうし。


「つまり、おばさん達の心配してるのは奏だけじゃないって話ね」


「で、お前がオレの所くれば少しはって事ぉ?」


「普通に男ならそうはならないだろうけど、出先だと本当に何に足止めされかわからないからさ」


「そんなの言い出したらキリがないじゃないか」


「少なくとも、二人で行けば俺の心配事はなくなるからね」


その後しばらく話をし、気が付けは辺りはすっかり暗くなっていた


お兄ちゃんしっかり

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