で
なんだこの状況。
「いい加減わかってくれよ。俺だって男なんだ…」
ツラそうな声で耳元で囁く海人。
女になってしばらく、やおら海人がオレを押し倒し―。
そりゃ、オレだって男だ。美少女と二人きりで居れば、そうしたくなるのも解らないでもない。
―けどな。
「乳首のアルナイだけで、抑えが効かなくなるお前が解らないよ」
「魅惑のパイツブに乾杯ハスハス」
上着を被せ満足げに体を避ける海人。薄着のまま夕方迎え、しばらくしたらああなってしまったと。
揉んだり触られたりはしないんだが、不意に限界を迎えるから分かりにくい。
「頼むから先に言えよ」
「もったいなくて言えないんだ…」
男だし、男だからこそ仕方ないとは言いたくない。
後一秒でも遅れたら、襲ってたと曰う海人だが、なんで他の女の子だと耐え抜けて、オレだと限界越えるまで口に出せないかね。
ノーブラの娘は普通いないから、そこら辺は検証が必要?
ノーブラが条件なら、喜んで情報漏洩すんぞ。
「花は手折れば枯れてしまう。おパーいは、揉めばしおれてしまう儚い夢…」
「しおれてたまるか?!」
揉んだ程度で、いきなりババ乳にされてたまるか。
「てか帰って来いよ」
「イタいイタいっ!?蹴らないでっ!!」
ゲッシゲッシと海人の脹ら脛に蹴りを入れる。
他の奴の前でやるなよ?他人だとソッコーアウトだからな。
そもそも、ジャケット被せる為に押し倒してくるのはどうよ。
勢いとか、身の危険を感じるレベルの行為(視線+クンカクンカ)で紳士とかふざけんな。
「…やっと理性が戻ってきたよ」
「理性なくなってもジャケットを渡してくえる奴が何を言うやら…」
「はは、奏がいつも通りで助かった気がするよ。真剣に…」
いつもの笑顔で笑うが、視線はオッパイ付近だ。
インパのコアスプレンダじゃあるまいし、そこに本体ないからな?
「でも、恥ずかしがるくらいしてくれていいじゃないか。もう少し萌えたら一線を越えられると思うんだ」
どの面さげて、そんなセリフを口に出せるよ。
「恥ずかしいのはお前の頭だと思う」
「うん、知ってる」
このバカどうしてくれようかっ!!
「!!?…今ちょっと反応した」
虚ろな目で息子を凝視する。
イケメンがそれするのマジ勘弁してください。
病んでくイケメンとか止めてホントに。
まあ、男同士の下ネタの範囲内だろうと思うが、同じ事を女子にしたら、ドン引きされるからな。
え、今時は襲われなかった事で引いちゃうって?
そこは。海人の紳士的行為に、キュンキュンするべきだろ。
ほら、ちょっと強引だけど上着を渡そうとして押し倒されたとか、押し倒されたけど上着を押し付けて引き下がったとか。
どう解釈しても、押し倒されたが全てを台無しにするが、イケメン補正で美化してくれ。
よし、上着を肩に掛けたに美化して終わろう。
ほらキュンキュン来るだろ?あまりの勢いにオレはキュンキュンするより肝が冷えた側だけどな。
今更ながら、コイツと二人きりにして女の子無事で済まされるか?
グループ交際で、女の子からちやほやされてるくらいが、ちょうどいいのかも知れない。
女の子が可哀想だ。
…それか、根こそぎ喰っちゃってくれる女の人とくっつけた方が、平和的でいい気がするな。
肉食系女子か、女子大生とかか?
全くアテがないし、下手したら相手の人が捕まりかねないから保留だ。
他人に迷惑はかけられん。
「ヤッパリ相手が奏だからだよね」
「奏だからで済ませるなよ」
ウンウンと一人で納得してるが、オレ相手にしてどうすんだ。
「可愛い女の子集めても、奏みたいにサバサバした子いないからな」
「オレに対してサバサバで済ませられるお前がコワいわ」
基本的に男子対応なだけだぞ。
「奏に嫌われたくはないから耐えてみせるし」
「耐えても、何もありませんがね」
「ご褒美は…(ハアハア)…」
「だからやめろと!?」
変態行動やめろて。
「俺にとっては、一番身近な異性なんだけどねぇ」
身近過ぎてキャラ崩壊起こすくらいにな。
「それならカッコ良くしてりゃいいのにな」
「カッコつけてる間に、奏はサッサと居なくなる」
「よくわかってるな」
「そもそも、カッコつけるにしても、現状じゃ“何を”しろって話だよ」
リビングに二人で…。
「出張ホスト?」
「ピンドン入りまー…て、そんなの全然カッコよくないよっ!!」
本職なら許されようが、素人がマネだけしてたら、とりまカスだな。
「でも、一般的にカッコいいってどんなんだ」
イケメンがカッコイいいのは常識として、何を以てカッコイいの基準とするか。
「ヤッパ、美幸みたいにファッション雑誌とか買わないとダメなのかな」
「あれも割と値段するよ…」
「メンズのファッション誌なんてあった?」
「…探せばあるハズ」
二人でウンウン言いながら予定を立てていく。ファッション雑誌なんか買った事ねーんだもん。
「まず、近くのコンビニにいってみようか」
「…おうよといいたいとこですがお時間です」
そろそろご飯作らないとならない時間なんだよ。」
7時になるし、海人も家に帰らないと…。
「わかった。明日帰りに見ていこう」
「一人じゃみないのね」
「一人で服見て楽しいと思う?」
いや、ジャージがあれば生きてけるしな…。
「乳首出てなきゃ、靴下履いてなくても同じだろ?」
「それは頭の可笑しい人の発言だね?」
意味がわからん。
「ピチピチのシャツか、ダボダボのスカスカか…悩む」
何を
「攻めるなら、革かな…」
「未成年で革製とかありえなくないか」
「ジャケットくらいなら良くない?奏の乳首も隠れるし」
「これから暑くなるのに厚着しろとか…」
「ノースリーブスのフード付きジャケットとかあるじゃん」
「ワイルドだろ?みたいな?」
「…あれは、奏には似合わない。ほらここの灰色の迷彩柄似合いそうだけど」
美幸達が置いて行った女性向けファッション誌を広げて指差す。
「わりと細身だけど、男の時でも着れそうだし、下海パンでもおかしくないと思う」
「…ははぁ、なるほど」
悪くはなさそうだけど、悪くはなさそうだけど。
何かが違うと思わないか。
これ基本女物ぞ?
「ワイルド系よりマシだと思うよ」
「革製もアレだと思うけどな…」
「ノースリーブのジャケットならアリじゃないかな」
ノースリーブなら許されるとでも?
「そもそも予算がない」
「五千円あったら買えないかな」
「この迷彩ジャケット七千円」
「なら、一万必要か。ユニークも行ってみよう安いのあるかも…」
ユニQと言う全国的な安い服屋さんだが、そこで、ユニークを頼ったら、ファッション誌の話は一体なんの為に…。
「先立つ物がないからファッション誌も買うだけで考えちゃうしね」
「この本も、シャツ一枚買える値段だよ」
定価が灰色一枚くさい
「もったいない」
「それよか、帰りに牛丼食べてきたいよな」
「おお、いいねソレ」
これが学生の限界点。
色気より目の前の食い気?
やり直し




