海の家だから
4時に終わるって話だし、基本的に男の時間帯だけですませられるそのほうがいい。
行きだけで、チャリで海まで一時間くらいかかるが、日のある間には帰れるだろう。
学校ある間は土日限定だけど、夏休み入ったら向こうに下宿させて貰えるって話だ。
三姉妹と二十歳越えた長男一人居るが、長男は一人暮らし始めたから、部屋に空いがあるって話だったかな。
海パンにエプロンだから、若者らしく、体を引き締めて遊ぶつもりで来なさいとは言われたわ。
それにしたって、まだひと月は先だ。
いま、夏の予定立てたら鬼が笑うか…。
「携帯はいいや。予定もないし、連絡したい相手なんかないからな」
そもそも、いまどき携帯も無しにチャラ男になろうなんて、チャラ男の生態をナメてたんだろな。
「俺、メールやら電話やら結構来るよ?」
「それ、ほとんど女の子だろ」
「あたり。用事とかなくても世間話みたいのきたりする」
さっき、ちょろっとアドレス帳を覗いたが、連絡先のほとんどが女の子なのは予想の範囲内だ。
オレの私物じゃない、兄妹の持ち出し用の携帯がリビングに一台あるのよ。
たまに、妹に連絡用に持たせたりするが基本的にオレには用がない。
―年齢制限云々により。
どう足掻いても、未成年には見れないと告げておく。
普通のサイトでも、エッチなのあったけど、ボカシとかあるし、18禁じゃないと意味がない。
年齢制限あるサイトは、きっとボカシがないんだと思う。
自分は、パツキンアメリカンのサイトとやらに興味津々です。
「中には、ちょっとエッチな写真送ってきた子も居たけど…」
「今から携帯かいに行くから帰れ」
「わかりやすいな?!未成年じゃ親御さん居ないと契約できないよ」
エッチなメールとかなにそれ羨ましい。
「とりあえず、変なの送りつけられる前にソッコー着信拒否した」
相手も、何が原因かわかっているから言い出しては来ないそうだ。
「オレなら、ホイホイ釣られておかしくないってのに、なんて鋼の精神力だよ」
「鋼じゃないよ。世間様とか両親に見られでもしたら、大変な事になるからに決まってるだろ」
「オジサン達なんか言って来る?」
「女の子のアドレスばっか増えてくのに、なんで奏のがないのか不満そうに話してたよ」
「そりゃ、携帯ありませんしな」
ちなみに、共用携帯の番号も調べればわかるのだが、暗記してない。
「寂しかったら、家族用でも登録しとくか?」
家電あるのに、家電がわりの一台の番号。
「…必要になるか?でも、一応聞いとくよ」
「あいさ。家族が見るから変なメールとか送るなよ」
「わかってるよ」
「ちょっとでも、変なの送り始めるたら着信拒否の上他人のフリだ」
「絶対しない」
スマホを弄る画面を後ろから覗き込む。
「ちょ、登録名前カナちゃんとかやめて!?」
「まんま奏だと、いつか誰かに悪用されそうだろ?」
「ほぼ本名のコードネームとか意味ないから!!」
「それに、母さん達がいつも奏の事カナちゃんって呼んでるからわかりやすいだろ」
「そうだけど。あれ、どうにか止められないかな?」
年が年だし、男子でちゃん付けはそろそろキツいモノがある。
「…父さんはともかく、母さんは無理だと思う」
「」
オジサンほとんど会わないけど、オバサンがやめてくれなきゃいくつになっても、人前でカナちゃんとか呼び止められたりするのツラいよ。
「最近、ウチに遊びに来ないから気にしてるみたいだけどね」
「ああ、それこそ最近学校以外出てないかな」
特に用事もないし、VR買ってからは海人が家にくるばかりだからな。
もう、6月も終わりなのに、なんの進展もなかったな。
変わった事と言えば、女帝アマゾネスが爆誕したくらいか。
あの手この手費やして、最終的に海人と二人でいるこの状況が意味分からんよ。
本来の計画では、今頃海人は彼女の一人や二人モノにしてていいはずなんだが…。
「オレ遊ぶより、女の子と遊ぶ時期だろうにな」
「だから面倒なだけだってはなしたよね」
「贅沢ものめ」
「静かに過ごせるのが贅沢なら俺はこうしてられる方がいい」
そうか。
なら、我が家に入り浸る贅沢三昧には、入れ替わりでオレはバイト先でランチキ騒ぎに参加しよう。
―そうしよう。
とりあえず、バイトは早めに連絡しとこう。
お前がいると目立たなくなるから連れていくつもりは全くない。
くく、高校一年の夏休みが始まる前に、海の家でフライングの夏をマンキツしててやる。
OLさんまっててください。若いツバメが飛び立ちます。




