2 推しのいる世界
「きゃあ〜〜〜〜推しカプだぁ♡ え!? 好き♡♡」
「はぁ?」
「「え??」」
(ん?)
周りにいた人が引いているような目を私に向けた。
(なにをそんなに……いや、でも、そんな表情をしても推しカプは尊いんだが?)
何に対して引いているのかがわからなかったが、推しにしか視線を向けていなかった莉奈はすぐに推しに思考を奪われた。
「かわいい〜〜〜」
「お、おまえ、自分が何をしたのか覚えてないのか?」
「え? なにを?」
(推しが動いて、話している!! 良い!!)
恐る恐るといたふうに聞いて来た『ヒーロー』の言葉に疑問を抱き、聞き返したとたん、頭の中にいろいろな場面の映像が流れた。
(あーーーそういう系)
そういう漫画も読んでいたから、すぐに理解した。
どうやら、私は推しカプがいる《くらすく》の世界に転生したらしい。推しカプがいるから《くらすく》は十中八九合っているだろう。
この体の『主』が『ヒーロー』のことが好きすぎて、『ヒロイン』のことを妨害したり……妨害??? いやいや、気を取り直して……階段から突き落としたり……突き落とす??????
(なにしてんの?? カーミラが怪我したらどうすんじゃあ!!! ばかやろう!!!!)
他にもユリウスを追いかけ回ったり……うん、これは大丈夫だな。まあ、世にいうストーカー状態になってたってことか。うんうん、推しを眺めたい気持ちはわかる。
心の中で頷きながら、思う。
しかしな、『ヒロイン』の邪魔はしちゃダだめなんだよぉ〜。推しカプができなかったら、どう責任とってくれるんだよっっ!!!
「今まですみませんでした!! 『ヒロイン』を邪魔するなど、死んでも許されない罪!! 代わりに私が責任を持って、切腹いたします!! 一度死んだ身、推しカプの生存を見られただけで、この莉奈、幸せでございます!!」
「は??」
部屋にいる全員が呆気に取られた。
といっても、私、怒鳴ってきた令嬢、カーミラ、ユリウスしか人はいないのだけれども。
(あれ?? 間違えた??)
「わ、わかったならいい、早く戻れ」
なんだか、おどおどしているユリウスの言葉に気づく。
そうか! 『ヒロイン』の前で切腹……そういうものをやってはいけない。なんてことを………こんの考えなし!! 私のバカ!!
「はっ、この莉奈、絶対に推しカプの命令に逆らいません!! では失礼します!!」




