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09

半年の婚約期間に入る。半年って長いと思う。半年もあれば子爵様の気が変わり、私が不要になるかもしれない。早めに手を打とうと、子爵様さえ良ければ屋敷に住まわせてほしいと願い出る。婚約期間から屋敷にいると言うことは、良からぬ想像をするものもいる。淑女としての評判は落ちるが、社交をしていない私の評判など元々存在しない。


父も私のことなど気にしないため、子爵様の了承を得られたため、移り住むことを執事を通し事後報告する。さすがに移り住む当日は、父も挨拶をすることになったが、挨拶が終われば早々に帰っていった。



婚約者となったため、お互い名前呼びを了承する。女主人の仕事は私にして欲しいとのことだったので、早速執事と侍女長を呼び、状況を確認する。西棟には愛する方、バイオレットが既に住んでいるので、私は近づかない。だが、確認したいことはある。


バイオレットに当てられている予算を、ロバートに報告させる。少し渋りながらも報告してきた予算は、平民の彼女にかける金額として度を越している。サミュエル様は愚かなのかしら?邪魔はしないし、近づきもしない契約だが、口を出すなとは言われていない。しかし、すぐに行動しては目に付くだろう。ロバートには少しずつプレゼントのランクを落とすように指示を出す。


侍女長にも確認すると、侍女が3人も付いているそうだ。夜会に行くわけでもないのに、そんなにいらないだろう。付けられている侍女達と話してみるが、好きで付いているわけでもなさそうだ。来月は理由を付けて1人減らすようにし、再来月にはもう1人減らす。最終的には週替わりで1人しか付けないように指示する。


専属の侍女がついた今わかったのだが、侍女がコロコロ変わるのって地味にストレスなのよね。契約については理解しているが、執事も侍女長も、もちろんお義父さまお義母さまも、バイオレットの存在は良しとしていないようだし、自分の居場所は自分で整えるのが当然だろう。



サミュエル様は愚かなのかと思ったが、領地経営は安定した利益を出しているし、施策も不十分なく、立派な領主様だと思えた。愚かなのは、色恋が絡んだ時だけのようだ。愚かと言うか、単純だ。


ふと、サミュエル様は何故令嬢たちに冷たかったのかと疑問を口にしたところ、ロバートが昔の婚約者のことを教えてくれた。


隣国の第二王子と結ばれたミザリー様なら知っている。シンデレラストーリーとして有名だし、真実の愛と言われ、令嬢たちの憧れだ。裏にサミュエル様の存在があったとは知らなかった。バイオレットの外見は少し、ミザリー様に似ている。未練なのか、なんなのか、サミュエル様が少し気の毒になった。



襲名披露と婚約披露を同時に行うため、準備で慌ただしくなる。社交を行なって来なかった私に、開催者という超高度な問題が叩きつけられた。オーレノアの顧客に、私がシュナイダー伯爵家の娘ということを知っており、夜会を主催したことがある貴婦人がいた。今回の夜会の招待客でもあるため、恥を忍んでご指導をお願いした。刺繍のデザイン2つで快く了承してくれ、指導の元、準備に取り掛かった。


夜会の準備をしていく上で、1つ問題があった。夜会だけの問題ではないが、バイオレットの存在だ。さすがに当日バイオレットが敷地内に居るのは、色々よろしくない。問題が起これば、スペンサー家だけでなく、私にも火の粉がかかる。ロバートや侍女達の話によると、バイオレットは激情家で怒りっぽいそうだ。最近はサミュエル様も手を焼いていると言う。恐らく私と言う存在に、少しずつ彼女の待遇を落としていることがストレスになっているのだろう。


サミュエル様も頭を悩ませているそうだから、ロバートに進言する。旅行と称して連れ出してはどうかと。お義父さまたちがいる別荘なら、サミュエル様は馬で移動できるし、お義父さまたちも夜会に参加するため、屋敷に来るのだから、入れ違いにすれば顔も合わすことはないだろうと。バイオレットが夜会のことを聞きつけても、お義父さまたちが馬車を使っているため、屋敷に戻る手立てはないし。


早速、ロバートはサミュエル様に進言し、その案は聞き届けられ、無事バイオレットは別荘へと旅立った。本当はそのままそちらにいて欲しいが、まぁ贅沢は言わない。私としても、ただ楽しませるわけではない。バイオレットに付けた侍女に密命を出す。芽が出るといいが。



子爵家に居住を移してからというもの、栄養たっぷりの食事とセシルによる手厚い手入れで、私の髪には艶が戻り、肌はハリが出て、痩せすぎて乏しかった胸も成長期にようやく入った。伯爵家では疲れが抜けない日々だったが、疲れが抜けた分、体重が増えても身体が軽い。やはり食事は大事だなと実感した。


夜会当日、無事サミュエル様は屋敷に戻られたと報告を受ける。私も自分の準備に取り掛かり、婚約者らしく、サミュエル様の色を入れたドレスに自ら刺繍を施した。これはまた売れるなと自画自賛する。


サミュエル様は私が用意した衣装に身を包み、いつもと違って前髪を後ろに流し、綺麗な御尊顔を惜しみなく出しておられる。目に(←の)毒だと思うが、なんとか平静を装う。私の色を身につけていることに気づいているだろうか?




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