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バイオレットには、エレノアに近づかないよう警告する。目も当てられないほど、怒りを露わにしたが、機嫌を取る気にもなれず、自然とバイオレットの元から足が遠のいた。


ある日、ロバートより報告があがる。バイオレットが帰らない日が増えたとのことだ。他に恋人でも出来たのかと考えるも、俺に迷惑をかけなければ良いとしか思えず、嫉妬心が湧いてこない。離れてしまった心は元に戻りそうもないし、この辺が潮時かと考える。だが、ここに帰って来ていると言うことは、ここの暮らしをやめられない可能性が高い。彼女には不自由ない暮らしをさせてしまったためか、新しいパトロンがいないことには、別れ話も拗れそうだ。急ぎ侍従に調査をするよう指示を出す。


調査の結果、バイオレットは幾人かの男性と懇意にしており、食事など共にしているようだ。その中でも、ある男爵家の令息が夢中で足繁く通っているが、まだ目立った進展はないとのことだ。昔の俺のようだな。更に調査すると、一代男爵家のようで、子息は平民である。しかし、家は裕福だし、バイオレットと結婚することも可能であろう。バイオレットが満足するくらいの生活力はあるだろうし、少し突いてみるか。



軽く変装をし、男爵令息が出入りする紳士クラブへと顔を出す。さりげなく話しかけ、好きな女優、つまりはバイオレットのことだが、彼女のことを話題に出すと、嬉々として彼女の魅力を語り始めた。思っていたよりも惚れ込んでいるようだ。彼女がパトロンと、つまりは俺だが、そこは伏せておこう。パトロンとうまくいっていないと噂で聞き、そこに漬け込み口説いている最中だが、愛する彼女のことを愛人にしかできないため、このままでいいのか迷っている、と言うと、怒りを滲ませながらも何やら考えているようだった。ダメ押しに、彼女を妻へと望み、幸せにしてくれる男が現れるならば身を引くんだが…とも言っておく。


巻いた種は芽吹き、彼は必死にバイオレットを口説き、贈り物をし、見事彼女の心を手に入れた。芽は花となり、結婚を申し込まれたから、出て行くと彼女から申し出があった。こんなにも上手くいくと思わなかった。笑みを隠し、残念そうに、幸せになってくれと言うと、彼女は涙を流した。夢中で愛した女性なのに、何も心が動かなかった。プレゼントしたものは手切金として全て渡し、最後に、今後、妊娠しても俺の子ではないと念書をしたためた。事実、月のものが来た後より抱いていないため、絶対に俺の子ではないが、念には念を入れておく。



バイオレットが俺の元から去り、胸を撫で下ろす。ロバートや侍女長などあからさまに喜んでいた。あと少しで婚約期間も終わるため、ようやくエレノアに触れることができそうだ。


彼女と何度か社交場に足を運び、共にいる時間を増やした。知れば知るほど彼女の利発さに惹かれ、触れたい気持ちを抑えるのに必死であった。刺繍にも詳しく、いや、詳しいってもんじゃない。なんなら職人レベルであり、彼女が刺してくれたハンカチやタイ、シャツなどを身に纏うと、どこに行っても注目の的で、貴婦人たちから褒められた。



ようやく婚約期間が終わり、待ちに待った結婚式。ついに大手を振って、エレノアに触れることができる。


ウエディングドレスを身に纏ったエレノアは美しく、しとやかで、可憐で、艶やかで、彼女を褒める言葉に終わりがない。少し緊張した面持ちなのも、非常に良い。お互い誓いの言葉を述べ、神の前で誓いのキスをする。初めての彼女の唇は柔らかく、やはりいい香りがする。うっかり時を忘れ、長めに堪能していると、牧師の咳払いが聞こえたため、やむを得ず離れる。顔を真っ赤にしている彼女を見ると、期待に胸が膨らむ。


夜になり、エレノアがいる東棟を訪ねる。こんなに緊張することが今まであっただろうか。期待が大きいが、彼女に嫌われたらどうしようと不安も感じる。コンコンコン…。侍女が扉を開け俺を招き入れる。そのまま立ち去り、俺はコッソリと深呼吸をする。


エレノアはローブを羽織っているが、その下には魅惑的な夜着が見え隠れする。緊張していたはずなのに、俺の理性は彼女の姿を目にした途端、限界を迎えた。酒を用意しようとする彼女の手を止め、軽いキスを何度もする。初めてである彼女を怖がらせないように、ゆっくりと手を引き、ベッドへと誘導する。頬を赤く染め、潤んだ瞳で俺を見上げる彼女に気持ちが高揚する。押し倒し、緊張をほぐすために頭を撫でていると、気持ちいいのか力が抜け、目がトロンとしてきた。寝られてはたまらないため、深く長いキスを皮切りに、存分にエレノアを堪能した。

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