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03

こうして、俺の婚約者が決まった。エレノア。それが彼女の名だ。婚約期間を経て結婚となるのだが、俺さえ良ければ婚約期間中も、我が屋敷に身を置きたいと言う。


そういえば俺と初めて会った時、彼女は父親である伯爵を連れずにやって来たことを思い出す。18やそこらの娘であれば、父親の同席を希望するのではないかと思うが…。契約の件も、伯爵から何もお咎めがないことを見ると、恐らく伯爵には報告していないのだろう。彼女と家族の関係性が良くないことは、考えるまでもない。


同じ屋敷にいる方が何かと便利だし、バイオレットには近づかないと言うため、彼女が屋敷に滞在することを許可した。それにしても今までどう過ごしてきたのだろうか。彼女の所作は美しく、先のやり取りを見ても、賢い人であることがわかる。社交もしていないはずなのに、怖気付く様子もない。不思議な人だ。



早速、エレノアは侍女を1人連れ、当家に居住を移す。さすがに伯爵も挨拶のために訪れたが、挨拶が終われば親子らしい会話もなく、伯爵は早々と立ち去った。バイオレットは既に屋敷に呼び寄せているため、東棟にはエレノア、西棟にはバイオレットと、少々カオスな状況だがやむを得ない。父と母は色々と嘆いていたが、療養のために別荘へと向かった。


女主人の役割はエレノアが行うため、婚約者の身でありながら、執事や侍女長と協力し、女主人として振る舞うようになる。俺も忙しいのでとても助かる。エレノアは宣言した通り、バイオレットには近付かず、西棟のことは執事と侍女長に任せているようだ。これなら安心してバイオレットに会えると、浮かれ気分でバイオレットの元へ向かう。


愛しい人を存分に愛でようと思うのに、顔を合わせた彼女は、来るのが遅い、だ、この花は嫌い、だ、あの使用人が腹立つなど、口を開けば文句ばかりだ。耳にタコができそうなので、キスをし黙らせる。なし崩しに彼女を愛すのだが、事が終わると、エレノアについて色々と聞いてくる。バイオレットが嫉妬してくれるのは嬉しいが、まだエレノアには一切触れていないと言うのに、初夜を迎えたらどうなることか想像すると寒気がした。



襲名披露と婚約披露を一緒に行うのだが、さすがにこの日にバイオレットが屋敷にいるのはマズい。しかし、そう言うときっと逆上し、下手をしたら居座る可能性もある。どうしたものかと悩んでいると、執事のロバートから進言があった。


「お2人で旅行と称し、別荘に連れ出してはいかがですか?あそこなら馬で2時間もかかりませんし、旦那様はそこからお仕事やパーティーに出ることもできます。」

「しかし、あそこには両親がいるし、母は、その…バイオレットには会いたがらない。」

「大旦那様たちには、同じ日にこちらに来ていただけば宜しいのですよ。どちらにしても、パーティーには参加していただくのですから、出発が少し早くなるだけかと。そうすればバイオレット様と顔を合わすこともございませんし、機嫌も損ねることはございません。」

「ふむ、バイオレットを騙すようだが、悪くない案だ。いや、俺の心の平穏のためにも、その方法しかないな。さすがだな、ロバート。」

「いえ、この提案はエレノア様によるものです。本当に…旦那様のことをよく理解した聡明な方です。」


エレノアの考えとは驚いた。しかし、バイオレットや両親のことまで気を使わせてしまい申し訳なく思う。いずれにせよ、波風を立てなくて済むため、エレノアの提案に乗った。



1週間程休暇をもらい、何も知らないバイオレットと、別荘へと向かった。エレノアのおかげで、バイオレットは上機嫌であった。夜会当日は帰ってこれないことを伝えると、不貞腐れたが、それくらいなら可愛いものだ。


当日、屋敷に戻ると準備は全て整っていた。大体は終わらせていたものの、別荘にいる間は手を付けれなかったため、エレノアにお願いする形になったが、夜会の手配が初めてとは思えないほど、手際良くやってくれたようだ。


自分の準備も終わり、エレノアの元へと向かう。実際エレノアに会うのは久しぶりだ。お互い忙しくしていたのもあるが、用件はロバートに言付けていたため、顔を合わせる必要がなかったのだ。同じ屋敷にいながら3回程しか会っていない。


コンコンコン…。エレノアの侍女が顔を出す。もうすぐ準備が終わるから応接室で待っていてほしいとのことで、少し待つと、準備が終わったエレノアがやって来た。


久しぶりに見たエレノアは、記憶の中の人物と違っていた…。いや、正確には同じ人物なのだが、エレノアって、こんなに美しかったっけ…??


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