中小企業過去最多 ”アトキンソン”倒産
初出:令和6年10月26日
帝国データバンクの発表では、2024年度上半期の企業の倒産件数は163件。これは前年度を上回っており、通年では過去最多の780件を超える見通しです。
全業種を通じて従業員数10人未満の小規模事業者の倒産が多く、従業員の退職や採用難、人件費高騰などの「人手不足倒産」が増えているとのことです。
Q:最近の中小企業の倒産は本当に人材不足が原因でしょうか?
A:そう思う
B:そう思わない
マスコミは盛んに人手不足が中小企業の倒産理由と報道していますが、どうもピンと来ません。
そもそも人材不足倒産という語はバブル経済真っ只中の80年代末から90年代初に個人商店の倒産理由としてよく聞きました。
景気は絶好調。注文はいくらでも入る。だが若者がうちよりいい条件の職場を選ぶので従業員が雇えない。
バブル時代にはこうして潰れた近所の床屋などの話をよく聞いたものです。
ところが今は個人商店はシャッター街。そもそも客からの注文がありません。
マスコミはまた円安で外国人労働者が減ったので人材不足になったと説明しますがこれもどうでしょう。
街を出ると移民や外国人労働者をよく目にします。コンビニに行っても、スーパーマーケットに行っても、喫茶店に行っても外国人の店員が必ずいます。
そもそもAI時代に労働人口は余るはずではないでしょうか。
コロナワクチン接種の後遺症で、死亡や体調不良により労働人口が減ったということは考えられます。
しかし、中小企業の倒産理由はこれとは別にあると思うのです。
1.ジャパンハンドラーズの中小企業潰し
菅政権時代、成長戦略会議が開催され、ゴールドマンサックス社の元アナリスト、デビット・アトキンソン氏がメンバーの一人に選出されました。
アトキンソン氏は日本の中小企業を潰して今より半分の数にすべきだと提言しました。
陰謀論的にはアトキンソン氏は経済部門のジャパンハンドラーズと言っていいでしょう。
こうして中小企業を意図的に潰すための政策を行政は実施したのです。
ゴールドマンサックス社など外資系ハゲタカファンドが、バブル期以降、日本経済や日本企業になにをしたか思い出してください。
それまで日本の大企業は株式持ち合い制で、それぞれ国内の大企業同士で株の大半を所有し合い、勝手に転売しませんでした。
これにより日本企業とその財産の所有権は日本人にありました。またこの時代、大企業の役員の給料は低く、普通の会社員とそれほど大きな差はなかったようです。
一億総中流という言葉がバブル時代にはありました。上場大企業の社長でさえオーナー一族でもなければそれほど大金持ちではなく、企業が稼いだ富は社員に等しく分配する風潮がありました。実はこのとき米国では大企業の役員は平均して一般社員の100倍の給料が相場でした。
ところが米国の政治的圧力で株式の持ち合い制はなくなり、日本の大企業は株式の大半を外資系ハゲタカファンドに買われてしまいました。
大企業のオーナーとなったハゲタカファンドは自分たちの傀儡となる役員を企業に派遣しました。傀儡役員がやったことはまず役員報酬の大幅増加です。これは日本の役員たちにとってありがたいことでしょうし、だからこそ傀儡役員の命令に素直に従うようになりました。しかし一般社員の給料は低く抑えられました。
傀儡役員はまた企業の株価を上げるべく内部留保を増やし、研究開発費を削りました。これにより日本の特にメーカーは次世代製品の開発力が奪われ、世界市場で技術的な競争力が弱まりました。
こうして日本企業は衰退していきました。
外資系ハゲタカファンドからすれば未上場の中小企業は消滅させ、すべて上場企業に市場を独占させた方が都合いいのです。
企業が上場すれば、後はその株を買い占めれば自分たちが企業を所有できます。優良な大企業ほど株式を買い占める費用はかかりますが、そこは世界的大手証券会社です。合法違法を問わず、様々なインサイダー取引で最安価格で株式を買収するテクニックを持っているでしょう。
日本の中小企業が倒産に追い込まれている背景にはアトキンソン氏の暗躍があります。
消費税を上げる。インボイス制度を導入する。監督官庁傘下の第三セクターが安全管理と称して拠出金を要求したり、不必要な規制を作る。
これらの行政の活動は大企業なら困りませんが、中小企業には負担になる場合が多いのです。
円安株高といったアベノミクスの経済政策も輸出を中心とする大企業には追い風ですが、海外から部材を仕入れ国内市場で販売している中小企業の製造業には向い風になります。
2.外貨獲得経済から自給率経済へ
中小企業の労働人口は全体の68.8%とのこと。また大企業の社員も必ずしも全員がいい思いもしているわけではないと思うのです。ただ大企業の役員だけが外資系ハゲタカファンドのおかげでうるおったかもしれません。
70年代の高度経済成長期から日本政府は大企業優遇政策をしてきました。
ところがここへきて、むしろ中小零細企業優遇政策に切り替えてはどうでしょう。
70年代は個人商店に活気がありました。昔の状態をそのまま復活させるのでなく、ITやAIなどハイテク技術を生かした新しい零細企業が経済のメインストリームになる社会はできないでしょうか。
またこれまで日本は資源がないので加工貿易で外貨を稼ぐしかないという考えが一般的でした。そして経済はGDPの成長率を目指すべきという考えがありました。
私は発想を180度転換して、食料だけでなく生活必需物資全般の高自給率(できれば100%)を目指す経済を提言したいと思います。
(つづく)




