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少女はいつまでも彼を虜にする。
凛は病室の窓から見える桜の木を見ていた。
桜の花は満開に咲いていた。風で枝から桜の花びらがぱらぱらとこぼれて落ちる。
「桜が綺麗ですね。……桜? ……そうだ、私高校生になれたんですよ」
ベッドの側の紙袋の中は母親がたたんでくれたのだろう。自分の制服が入っている。
「私、ここの高校の制服ずっと憧れていて、着るのが楽しみだったの」
男性は以前と変わらずずっと下を向いている。
「ねぇ、どうして、泣いているの……?
私は無事なのに、
どうして、泣き止んでくれないの……?」
桜の花びらが一枚。動かなくなった懐中時計の上に落ちる。
「……すまない。本当に申し訳ない。俺がもっと早くに気付いてあげれれば……痛い思いを何度もさせてしまって……本当に……申しわけなかった……」
男性はそっと凛の手を握った。
この暖かい感触、ぬくもり、以前どこかで。
それはもう思い出せないけれども、
私はこの人とどこかでーー……。
「……凛。無事で良かった」
ーー魔王はいつまでも勇者を虜にしましたーー




