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第1話 ブラックホールという落とし穴

 世界の中心は、誰?


 貴女(あなた)?


 この螺旋(スパイラル)から、世界を取り出すのも、突き落とすのも貴女(あなた)?


 僕等を狂痴(きょうち)という混沌の穴から助けてくれるのは、きっと――――貴女(あなた)。



* * * * * * * * * * * *



 嗚呼、神様。何故貴方(あなた)は、こんな仕打ちをするのでしょう。


 罰が当たるようなことは、してな―――――くなくなくないような気もします。(どっちだよ)


 眼鏡っ娘らしからず(自分で言うのも本当は気が引けるけど)、勉強をちゃんとしていなかったことが悪かったなら、ちゃんとやります。

今日買いに行こうと思っていた漫画を買いに行かないで、ちゃんとやります。

今夜のアニメは、録画にします。


 お姉ちゃんと戯れてあげなかったことが悪かったなら、家に帰ったら即行(そっこう)やります。


 ですから、神様。


 このブラックホールのように口を大きく開ける穴から落とさないでください!!


 わたし 鈴木亜理子(すずきありす) 十六歳 女子。ウサ耳の悪魔に突き落とされて、真っ黒な穴に落下中です。


 嗚呼、神様。


 助ける気がないなら――――― 一度、宇宙の果てまで蹴り飛ばして良いですか?


 ―――――・・・え?神様以外の皆さんに説明しろ、と。


 えーえー。いいですよ。ことの始まりは、公園でのことですよ。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




 今日で学校終わり!!

地獄の課外とかあるけど、とりあえず明日から、高校生活初めての夏休み!!!


 そんな気分で、わたしは、街灯だけが光り、チビッコも家に帰って、静かな公園いた。

そして、ブランコに座り、ちゃんと他人にバレないように、カバーをかけた漫画を読んでいる。


 家に帰って読まないのは、読んでるわたしの周りをチョロチョロ歩くお姉ちゃんが、いるから。

かまってほしいのか、電気を消したりわ、椅子をキコキコ言わせたりしてくるわなのです。本当にわたしの姉なんて信じらんないくらい。


 だから今日も門限ギリギリまで読書――漫画も含まれるかは分からないけど――をしている訳ですか。

今はちょうどいいシーン。

ヒロインとイケメン君いい雰囲気。


 だけど、急に暗くなった。


 『場面が』ではありません。

読むために必要な『光が』です。


「探しましたよ。さぁ、行きましょう」


 わたしの頭の中に、機動戦士なんたらでありそうな台詞(セリフ)が流れた。


――何やら頭上には、男性がわたしの安眠ならぬ、安読を邪魔している模様。

亜理子(ありす)隊員。即刻、ソイツから『光』を取り戻せ。

――了解(ラジャー)!


「ちょっと貴方!人が読書中なのに、真上に立つなんて、どういう神経をし・・・て・・・・・・」


 わたしの言葉は、顔を上げていくと同時に弱まっていった。


 その理由は、金髪の外人イケメンが何故か目の前にいたこと。

もう一つは―――白いウサギの耳をつけていること!!


「こ、コスプレ?!」


 あ、明らかにコスプレだよね!!

だ、だ、だって、白いパリッとしたシャツに黒いベスト。腰には銀時計なんかつけちゃってるし、外人さんっぽい綺麗な顔立ちで、カラコンと思われる紅い瞳をしている。

いわゆるアレだよね。

外人さんが、コスプレしたら、日本語で真似してみたかったんですー、的なノリ。

よし。こうなったら、乗ってあげ―――れないな。

彼が何の分野のキャラになりたいか分かんないし。

予想としては、執事系だけど。


「えーっと、あいどんとすぴーくイングリッシュ!!」


 漫画を鞄にしまい、身ぶり手振り付きで、喋ってみた。

それには、何故か呆れ顔が返された。


「何がしたいんですか…」

「…え。日本語喋れるの?」


 頑張り損だ。

恥ずかしくて、顔から火が出そう。


「そんなことよりも・・・・・・」


 わ、わたしの頑張りを『そんなこと』で流された・・・。

なんて外人なんだ。


「さぁ行きましょう。【アリス】」


――はて。今、何て言いました?

初対面のくせに、この外人さん、わたしの名前を知ってた・・・・・・よね。


 つ、つまり―――ストーカー?!

えっと。ストーカーに会ったときって、どうするんだ?


「わ、わたしを食べても美味しくないわよ!?」


 対処法は、何か違うけど、気にしない。


「食べませんよ。僕は基本的に草食ですから」

「あ。そうですか――って、ちがーう!!」


 普段のわたしなら、瞬殺ノックアウトなスマイルだったけど、今回ばかりは、そんな余裕なし。


 と、とりあえず・・・・・・逃げる!!

わたしは、せめてもの妨害に、鞄を外人に投げつけ、公園唯一の出入口に走った。


「待ってくださいよ【アリス】。走ったら、危ないですよ?」

「ま、待てるかー!!」


 振り返ることはできなかったけど、妨害の甲斐なく、すぐについてきていた。

狭い公園のお陰で、一番奥にあるブランコからすぐに出口につける!!

あと少し・・・。


 だけど、わたしの足は止まった。

その出口には―――ブラックホールみたいな大きな穴ができていて、公園から出させてくれなかった。


 くそ。こうなったら、後ろの外人を強行突破して、植木の間から――とも考えたが、それさえも出来なくなった。


 身体が傾き出したからだ。


 ブラックホールへと。


「・・・え?」


 ねぇ、誰か嘘だって言おう!!


 無限大の落とし穴に突き落とされたこと。

しかも、外人さんに。


「いやアァァァー!!!!」


 真っ黒なスマイルが落ちていく途中見つけた。


 皆さん。

怪しい人をカッコいいなんて思ってはいけません。



 真っ黒なスマイルでも、ゼロ円です。



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