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『鑑定』のスキルは、ステータス、状態、性質などあらゆるものが判別できる万能スキルである。
よくゲームで見ていたものだ。
ただ、この世界における『鑑定』のスキルはかなり特殊である。
百年に数人しかスキルが覚醒をしないのだ。
元々素質のある人間が生涯の中で突発的にこのスキルを習得するという。
これに関しては研究者の中でも不透明な部分があるのでよく分かっていないらしい。
ただ、『鑑定』のスキルがなくても解析、分析の魔法で補えるこの世界だが、重要性は高いという。
これは『世界の混沌』に関係してくる。
とある魔法使いが『鑑定』のスキルを習得し、世界を駆け、そして命を懸けて"古代魔法"を発動させて世界を救うための神を召喚した。
これは今でも語り続けられている伝説である。
古代魔法とは世界の始まりで誕生した"始まりの魔法使い"達が石板に記したとされる魔法のことだ。
今でも研究家の中で解析を進めているが『鑑定』のスキルがあれば、全ての古代魔法を解析および使用できる可能性があるとされている。
ただ、膨大な魔力量などが必要となってくるため、あまり使用をおすすめできない。
「…………………………先生?」
考え込んでいた私を心配した冬夜が声を掛けてくる。
はっと我に返って、冬夜に顔を向ける。
「あ、ごめん。考え事していた」
「いえ、考え事しながら走る先生の姿が大変美しく、ずっと見ていたいと思っておりました」
ああ、先生の障害となりそうな小石などは排除しましたといつも通りな猫に安心感さえ覚えてきてしまった。
「それにしても、随分と長いコースですね」
「…………………………いや、そうだよね!!?」
いつものペースで走っているなら確実にゴールが見えているはずなのに見えないし、なんか人もいなくなっている!!
一旦足を止めて端末で時間を確認した。
既に三十分が経過しているっ。てか、ここコース内だよね!?
キョロキョロと周囲を見回して、目印を探すが見当たらない。
「…………………空間遮断ですか」
「え、幻術じゃないの?」
地面の感触と言い、視界に広がる景色から察するに幻術だと判断したが冬夜は違うようだ。
「ここは良く出来た偽物の空間でしょう」
その証拠にとどこから取り出したか分からない小石をある方向に投げる。
投げた方向には森があるが、カァンとまるで金属に当たったかのような音が鳴り響き、透明な壁があるのか波紋のようにそこ部分だけ歪む。
「どうやら、獲物がとある位置に来た時に発動するようにしておいたようですね」
「………………………え、獲物って」
もしかしなくても私の事ですかと訊きそうになったが、冬夜は私が訊きたいことを読み取ったように頷いて肯定する。
「しかし、詰めが甘いですね。空間遮断したところで空間自体の範囲は狭すぎるし、あまり頑丈ではない。三流以下ですね」
おおう、辛口ですな。冬夜さん。
とりあえず、状況は分かった。
空間遮断を解くには、簡単にこちらも空間遮断の魔法を使って相殺することがベストなやり方だ。
ただし、デメリットとして空間遮断にはかなりの魔力量が必要だから疲労困憊になりかねない。
さて、どうしたものかと考えていると冬夜がこれまたぶっ飛んだ提案をしてきた。
「先生。よろしければ、同系魔法を使用するのはどうでしょう」
……………………………………………………いやいや!!!?ここを更地にする気か?!!!




