7-7
それは数十分前のこと。
リストの薬草を手分けして探そうと提案したのだが、二人が反対をした。
「なんで手分けして探さないといけないの?遠城さん一人で別によくない?」
「そうそう、天才の遠城さんなら私たちの分までやってくれるでしょ?」
そう言って私を見下すような言い方をしてきた。
「は?何よ、その言い方?」
「ていうか、これ、チームワーク必要なの分ってる?これを時間内に集めないといけないんだけど?」
そんな二人に何言ってんだ?こいつと言ったような表情を浮かべながら諭すように言う。
「でもさぁ、遠城さんなら全部集めれるでしょ?まさか、ブラッドキャットがいないと何もできないの?」
「ええー、それはないでしょ。ブラッドキャットが手伝っているから天才でいられるの?」
ニヤニヤと笑みを浮かべる二人。
まるで人を逆撫でにするような台詞に少しムッとしたが、こういうのは社会人経験散々やってきたから慣れているから直ぐに落ち着く。
「なら、三人と二人で分けて採取するのはどう?私のことが嫌なら分けてやろう」
「…………………………まあ、それなら」
「だったら、私達のこと邪魔しないでよね」
とこうして、当初の手分けして収集することとなったのだ。
「でもさ、あそこにブラッドキャットがいなくてよかったわよ」
「いたら、その場が血の海に変わる…………………」
「あ、あはは………。そ、そんなことはしないと思うけど……」
確実とはいいたがたい……。
「まあ、あいつらの採取はあてになりそうにないから俺らで頑張るしかないじゃん?琴羽ちゃん、後どれぐらい残ってる?」
「えっとねー」
リストにレ点チェックを入れていきながらやっていたので、残りはあと二つ。
「ああ、この二つかぁ。少し面倒な分類だな」
「え?でもさ、これらってよくポーションとかで使うやつじゃん」
・リリブス草
・ココット花
そう、この二つの植物は良くポーション作成でお世話になるモノ達なのだがそれはあくまで採取した後の用意されたもので、自分たちで採取をするとなるとかなり厄介なのだ。
「とりあえず、ココット花から採取を始めようか。リリブス草は、餌を集めれば集まってくるし」
「え?え?」
「??」
時間内に採取するためにも時間が惜しいから早く行動を始めないといけない。
夏ちゃん達には悪いけど、説明している暇がない。
「ココット花は甲羅のように固い表面の中に咲く花なの。で、その表面っていうのがこれ」
「……皆がバンバン魔法を打っているのに罅一つ入らないなんて」
そう他の班の子たちもいて皆して躍起になって表面を壊そうと魔法を打っているのだ。
一見、ココナッツの表面に似た形と色をして地面に生えているからすっごく違和感には思えるけどこれがココット花である。
成長する前は地面の中にいて成長するにつれて表面が先に出で花を守るように覆い隠すのだ。
「というか、この表面って……」
「ああ、魔法のマントの素材にもなるんだよ」
「へえ、流石琴羽ね。じゃあ、この表面を何とか出来る?」
そんな時だった。ココット花の表面を何とかしようと魔法を打ち付けていた別の班が、やっと表面が割れて花が見えた。
「よし!!」
「三十分も打ち続けたよぉ」
「これで次行くぞ!!」
と足早に他の植物を採取に走り出していった。
「…………………まさか、三十分間も魔法を打つの?」
「いやいや、あれは効率が悪いよ。それに打つ相手の魔力の消費量を考えるとかなりの負担になるし」
「じゃあ、どうするの?」
永澤君にそう言われたのでとある魔法を唱えた。
「”ファイアウォール”」
ココット花の表面の周りに炎の壁が出現する。
メラメラと燃える炎が表面を焼いていく。
「ちょっ、こ、琴羽!?」
「大丈夫、大丈夫。これが簡単に表面を剝がすための方法だから」
「剝がす……??」
どういうことなのか理解できてないようだったので説明した。
そもそも、ココット花の表面は木属性の魔法で覆われているため、魔法耐性がついているのだ。
なら、火属性の魔法を唱えれば?と思うかもしれないが、花自体がそんなに強い魔力耐性持ちではないのだ。
上級の火属性魔法を打つと花ともども灰になってしまう。
だからと言って、初級の魔法を打ったところで魔力耐性の所為で上手くいかないのだ。
で、実験を重ねてできたのがこのやり方だ。
「表面が真っ黒になったのを見計らって魔法をやめて、ゆっくりと表面を剥がしていくの」
するとあら不思議っ。まるで蜜柑の皮のようにすんなりと剝がれていくではないですか。
一枚一枚丁寧にはがしていき、ようやく小さくも可愛らしい桃色の花が見えてくる。
何十にも表面に覆われているため、火がここまで来ないのだ。
「これでココット花が採取できるの」
「ほへー、すごい」
「あ、これってポーション作成時に使う資料集に書いてあるね」
そう、リストにある薬草はすべて資料集に書いてあるものばかりだ。
そして、この地形や環境において全部採取できるのだから先生達も考えたものだ。
「じゃあ、残りはリリブス草ね」
「そうだね。それじゃあまずは、海藻を探そう」
そう言った私の顔をきょとんとした顔で見つめる二人が可愛いと思ったのは胸に秘めておこう。




