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夏季合宿と呼ばれる魔力強化の合宿だ。
三泊四日の合宿であり、学園がランダムで場所を選んでいくというもの。
一昨年は森林、昨年は沼地という過酷な場所になってしまうこともあるのだとか。
合宿時はチームごとに分かれて行動するということでチームワークなども試されるというのだ。
まあ、楽しみなのは確かだが。
「じゃあ、再来週から始める合宿のしおりを配るわね。しおりの中に準備物リストが書かれているから忘れ物しないようにしっかりと準備するように」
ホームルームで合宿のしおりとスケジュールが渡された。
中身を見ると座学で学んでいることを合宿内では実技として行うようだ。
班分けに関しても五人で1チームだ。
「なお、班分けに関しては先生たちが振り分けします。楽しみにしてね」
えぇ~!?と不満の声が一斉に上がる。
それもそうだ。昨年までは自由に生徒が班を作れたのに今年はそれが出来ないのだ。
理由も話さないまま、ホームルームは終了となり班分けについては端末に送信されるとのことだった。
「先生、こちらをどうぞ」
いつものように隣に座り、私に端末を渡してくる。
受け取って班を確認する。
第D班
班長 遠城 琴羽
副班長 日向 夏
班員 一ノ瀬 光
永澤 忍
松村 百合子
おお、夏ちゃんと永澤君と一緒か。他の二人はあまり話したことなかったな。
他には今回行く場所が書かれており『風音の谷』と書かれていた。
『風音の谷』とはこの世界にあるキャンプ場の一つである。
初心者にもおすすめのキャンプ場であるが、この場所にはダンジョンが存在している。
いつできたか、誰がこの場所を発見したのかなど不明であるが古くからあり歴史上だと貴重な場所とされて考古学者などがよく訪れては調査をするという。
調査で分かっているのはダンジョン内にはいくつかの道があって、道次第ではすぐに出口につくこともあるという。ダンジョンの入り口は一般人立ち入り禁止となっており、間違って入ることはない。
ダンジョンがあるだけで、普通のキャンプ場である。
しかも、海もあり谷もあり合宿にはもってこいな立地だ。
「準備物とか用意しないとな」
「ご安心ください。先生が忘れたとしても私が持っていきますので!!」
キラキラした目で見ないでくれるかな、眩しくて目が潰れそうになる……。
「あーあー、琴羽と一緒がよかったぁ」
「一緒の方が楽しいのにぃ」
昼食は部の皆と取っている中で薫と志乃が不満げな声を上げた。
「でも何で今年だけ先生達で決めたんだろう」
「それなら彼女達が理由の一つじゃないかな?」
ちらっと後ろを見ると何人かで囲って笑いながら談笑している宮野の姿があった。
「あのグループっていつ見ても一緒にいるよね」
「というか、あいつらの目見たことある?」
頬を引きつりながら志乃はそう言ってきた。
そういえば、宮野と仲良くしている生徒たちとは前に何回か挨拶した程度だったけど今じゃ廊下ですれ違うたびに睨まれるんだよね。
あまり刺激を与えたら嫌だから距離を置いているけど、なんだか違和感があるんだよね。
「なんかふとした時に目が虚ろになることがあってめっちゃ怖いの」
「そうそう。なんかぼんやりしている時とか多いよね」
それで先生に注意されることもあったしと話す内容に確かにそれは変だと感じた。
虚ろな目、ぼんやりとしている様子。これらに該当することはただ一つ。
”黒魔法”に掛けられたものの症状に似ている。
そもそもなんで”黒魔法”と言われる魔法があるのかって話。
これはこの世界において滅亡寸前まで起きた『世界の混沌』の大きな要因の一つとなった魔法だからだ。
どういう経緯かは謎のままではあるが、人間側に魔物のスパイがいた。
魔物が支配する世界こそが真の楽園であると崇拝する一団が信者を集めるために使用したのが黒魔法と言われる禁術である。
死者蘇生など人の理から外れた魔法のことを統一して黒魔法と呼ばれている。
これを使い、人間界に魔物の呼び寄せたことにより『世界の混沌』が始まってしまったと言われているからだ。
黒魔法を使用するということは魔法使いではなくなる。
魔力そのものの封印を施され、魔法界から永久追放されるのだ。
ちなみに魔物はこの制限はない。
黒魔法を扱えるのがA級以上の魔物でその中でも数少なく、冬夜がその一人だ。
制限はないのが不思議ではあるが、魔法省における使い魔の黒魔法の使用に関しては世界に混沌を招かない程度であれば許されるという曖昧な文章が記されている。
ただし、使い魔が黒魔法を使用し、人に害をなすことがあれば連帯保証として主人である魔法使いが処分されるとも記されており、その為、冬夜には黒魔法の使用は厳禁と命じている。
また、黒魔法を使用することで使用者や対象者にもかなりの負荷がかかるという。
魔力が大幅に消費するとか錯乱、発狂するなど異常状態になったりするとかとにかく一目見てもおかしいと思える状態になると言われている。




