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6-17

「う……、あ、れ?」

ふっと意識を取り戻した時にはいつの間にか自分のベットで寝ていた。

「ああ、先生。目を覚ましましたか?」

横を向くと冬夜が椅子に座ってこちらを見ていた。

ほっと安心したような表情で話しかけてくる。

「あの後、痛みで気絶してしまったようでして私の方で処置を行いました」

「そう………」

腕に触れると何故か包帯が巻かれていた。

え、包帯を巻くほどひどいの?

「ああ、赤みがひどかったので塗り薬を塗って包帯を巻いただけです」

「あ、そういうこと」

成程、確かにあんなに掴まれたら赤くなるな。

のろのろと起き上がろうとすると冬夜がそっと支えてくれた。

「あまり無理をしない方がよいかと。疲労で少し熱があるようですし」

そういえば、少しだるいな。テスト勉強のし過ぎと先ほどの……。

「先生、ホットココアです」

いつの間にか用意してくれたマグカップを受け取り、一口飲む。

ココア特有の甘みがふわっと口に中いっぱいに広がる。

「おいしい………」

「それは良かったです」

そして、あの後のことを冬夜から聞いた。

宮野は私たちが去った後に教師たちに連れられて生徒指導室に連れていかれて事情を聞いたようだ。

どうやら、試験でのトラブルや今まで起きた騒動全て私が仕組んだことだと思い込んでいたという。

なんで、そんな発想になるかが不思議でたまらないが天使による”神託”があり、私が”悪しきモノ”だとそう神託されたのだという。




……いやいや!!?何その被害妄想はっ!!


しかも”悪しきモノ”って言い方、よく堂々と言えたな!




”悪しきモノ”とは言うなれば禁忌魔法を使用する者のことを示す。

差別用語の一つになっており、あまり使用する者はいない。

何故なら、侮辱罪に直結するぐらい言ってはいけない単語なのだから。

「流石にそれは神託ではないと教師一同が言っております」

「そ、そうだね。だって、神託は教会で行うことで出来ることだもの」

そう。ゲームでも”神託”という特殊スキルである。

これはステータスの急上昇やスキル解放が出来る。

ただしこのスキルを使用するには教会や神殿などの神を祀る場所でないといけない。さらに言うと体を清めて七日間神に祈りを捧げないと信託を受けることができないというデメリットがある。これに関してはこの世界に転生してから気になって調べたことだ。

でも、どうしてそんなことになってしまったんだろう。

よく分からない。

あの時も腕を尋常じゃない力で掴まれて痛かったのもあるが彼女の目が凄く恐かった。

黒く濁った瞳、その中にあるのは悪意だ。

憎悪、嫉妬が入り混じった感情が覗いていた。

ふるっと寒気が走ってしまう。

前世であんなに悪意を受けたことはなかった。

今思い出すとやはり恐怖でしかない。

体が小刻みに震えてしまい、手先が冷たくなってくる。

「先生」

そっと冬夜が私の手を包んで温めてくれた。

「先生、私はあなたの味方です」

俯いていた私を覗き込むように見てくる紫の瞳。

そこには、悪意など全くない宝石のように輝いている。

「使い魔である私は貴方様を裏切ることは決してありません。例え、世界が敵に回ろうというのであれば私が殲滅しましょう」

他ならぬ貴方様の為であれば、私は何でもいたしましょう。

「琴羽様、私は命に代えてでも貴方様をお守りします。貴方様が天命を迎えるまでずっと」

だから、安心してください。

冬夜の声が頭の中にすんなりと入ってくる。

さっきまでの震えが嘘だったかのように止んでしまった。

物騒なことも言っているのに今は凄く安心している自分が不思議だ。

「……ありがとう、冬夜」

「どういたしまして。さ、先生。もうお休みください」

笑みを浮かべて流れるようにベットへ横にされた。

「眠るまでここにいます」

そっと目元に手が軽く添えられる。

すると、うとうとと眠気がきた。

やはり、熱が出ているせいなのか。さっきまでは意識がはっきりしていたのに今はぼんやりとする。

「……ゆっくりお休みください。先生」

その言葉と共に私は瞼を閉じ、眠ってしまった。


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