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「……もう一度、聞こう。宮野君、君が入学してから起きてきた騒動全てが遠城君が行っていたというんだね?」
「はい!彼女は"悪しきモノ"です!」
天使も間違いないと言っていましたと自信たっぷりに豪語する生徒に教師一同が頭を抱えたくなった。
"悪しきモノ"という用語は魔法を使い、罪を犯した咎人のことを指す。
差別に厳しいこの世界においては魔力の有無関係なく教えられてきた言葉なのに彼女は何も躊躇もなく口に出している。
ここにブラッドキャットがいなくてよかったと安堵してしまった。
遠城がもしそのように言われていると知ってしまったらと想像するだけで冷や汗が出る。
ひとまず、目の前にいる問題から片づけようと思い生徒指導担当の教師が頭を切り替える。
彼女の言い分には矛盾がありすぎる。
騒動が起きている時には遠城はその場付近にはいない。しかも、他生徒と一緒にいることが目撃されており騒動を起こすことは不可能だ。
騒動がどうして起きたのかこちらも調査をしたのに何も見つからないのだ。
念入りに証拠が消されているし、それにそこまで遠城が出来るかというと不可能に等しい。
学園が依頼して魔法のエキスパートのみが入れる”魔法省”の役員が来てまで調査したのに何も出てこなかったのだ。
そして、その結果、遠城は全くの無関係。いくら学園では天才と言われている彼女であっても詰めが甘いところがある。まあ、あのブラッドキャットを使えばできなくはないが、そのブラッドキャットも傍にいたというのもあり無理だろう。
それに、こんなまどろっこしいことをあの魔物がするとは思えない。
でも、宮野自身はそうは思っていなく最終試験後の騒動が起きてしまったということだ。
あの場にいた生徒たちには他の生徒に話さないようにと指示はしたが、恐らく明日には広がっているだろう。
ただでさえ、問題行動の多い生徒が優等生且つクラスメイト思いの生徒に危害を加えたとなれば最悪だ。
問題が山積みになっていく。生徒会にも話をしとかないといけない。
「………ちなみに天使殿は何処に?」
いつもなら彼女に肩にとまっているはずの天使がいつの間にかいなくなっている。
天使からもどうしてこうなったのかを聞かないといけない。
「あ、あれ?どこかに行っちゃたようです」
彼女が気づかないうちに何処かへ行ってしまったようだ。
『(………いやいや、使い魔の行動ぐらい把握しておけよ!!!)』
一同がそう心の中ではあるが突っ込みを入れてしまった。
ただでさえ、使い魔の扱い方が未熟な上に問題を起こしまくっているというのにっ。
そういえば、苦情の中に天使からの勧誘の件もあったな。
聖女を守るために配下になれと言われて困っていると。
そんなに数は多くはないが増えている傾向にはあった。
主従の契約上、使い魔が主人を乗り換えること自体、大問題となる。
正式に契約の解除を行わないと契約違反となり、その代償を支払わないといけなくなる。
体の一部を持っていかれたり、寿命や魔力を削られたりなどランダムではあるが使い魔のクラスが高ければ高いほど代償は大きくなってしまう。
……もしや、あのブラッドキャットにも勧誘を掛けているのではないよな!?それこそ、逆鱗に触れて学園なんて一瞬にして更地になるぞ!
それぐらい、遠城の扱いは言っては悪いが聖女よりも慎重である。
本人は物分かりのいい子なので問題が少なくていいが、そんな彼女を害したことで大惨事になりかねない事態を起こしていることに宮野は全く理解していない。
ちゃんと理解させるところから始めないといけない。
「とりあえず、宮野君。遠城君が、君が巻き込まれた件に関しては決して関与してはいない。これは魔法省からも調査報告で確認が取れている。それに記録もとられているから間違いようがない。彼女は君の勘違いで傷ついたんだ。彼女が回復した後に謝罪の場を設けるからちゃんと謝るように。いいね?」
念を押すように告げた。
しかし、彼女はでも、だってと言い訳をしてきたがその都度訂正をしていく。
これは時間がかかるなと思いながらも根気強く理解をしてもらえるようにするのも教師の役目だと思い話をしていく。
これで事態が収まるのであれば、安いものだ。
…………………………………………………ホ ン ト ウ ニ ?




